7月17日(月)、24日(月)のよる10時から、TOKYO MX にて2週連続で放送されるドラマ『無限オーディション』で、地上波初主演を務める黒崎レイナ。配信映画のキャストオーディションが舞台となった本作で彼女が演じるのは、新米映画プロデューサーの宮園凛。10名の候補者が集まる会場で、なぜか凛だけが何度もオーディションをタイムリープ。選考を繰り返すたびに成長する凛の姿とともに、映画制作の裏側にある苦悩や情熱をリアルに描いた、新感覚ミステリーとなっている。
今回は、ドラマの内容にちなんで、過去に彼女が受けてきたオーディションの記憶を中心にインタビューを実施。『仮面ライダーエグゼイド』(2016-2017年)の西馬ニコはじめ、数々のオーディションを経て射止めてきた役への思いを聞いていると、多趣味な一面と負けず嫌いな人柄が浮かびあがってきた。
■「睨(にら)んでみて」と言われた初めてのオーディション
――地上波初主演、おめでとうございます!
黒崎 ありがとうございます。地上波初主演にして、映画のキャストオーディションという自分が生きている世界に近い題材の作品に出演させていただけるなんて! 「どんな物語になるんだろう」って、ワクワクしながら台本を読ませていただきました。
――普段は女優としてオーディションを受ける側の黒崎さんですが、本作で演じられたのは、キャストを選ぶ側の新米映画プロデューサー。普段とは逆の立場の役柄ですね。
黒崎 もう10年以上も女優業を続けさせてもらっていますが、監督やプロデューサーの具体的な仕事内容は意外と知らなかったので、スゴく新鮮でしたね。
監督の長尾(くみこ)さんが、制作スタッフのリアルな裏側を丁寧に教えてくださったおかげで、「オーディションで見ているポイント」や「プロデューサーが抱く悩み」などを改めて知ることができました。いつも以上に、制作チームのみなさんと一致団結して撮影に臨めたと思います。
私が演じた凛はとにかく負けず嫌いな性格。立場は真逆ですが、人間的には自分とソックリでした(笑)。うまくいかないことに落ち込んだり、気持ちが折れそうになったりもするけど、一度決めたことは最後までやり遂げる。その真っ直ぐさに共感しながら、自然と役に入っていけましたね。
――とはいえ、やはりオーディションを受ける側の気持ちにも感情移入してしまったのでは?
黒崎 そうですね。今回、オーディションを受ける候補者を演じられた10名は、ランキングエンタメアプリ「mysta(マイスタ)」でリアルに行なわれたオーディションを通して抜擢された方たちなんです。中には、本当にここから役者を目指そうとされている方もいらっしゃって。
作中のオーディションシーンでも、かなりホンモノに近い緊張感が伝わってきました。「私も、こんな感じだったんだろうなー」って。まだデビューして間もない頃、右も左もわからず受けたオーディションの記憶を、いろいろ思い出しちゃいましたね。プロデューサーを演じながら、心の中では、みなさんのことを応援せずにはいられませんでした。
――実際に、これまで黒崎さんが受けてこられた中で、いちばん印象に残っているオーディションは何ですか?
黒崎 やっぱり、女優デビュー作となった『ハガネの女 season2』(2011年)のオーディションですかね。審査員の方に「私を睨んでください」って言われたんですよ。当時まだ小学6年生。人から"睨みつけること"を要求されたのは、このときが初めてでした。
――『ハガネの女』は、吉瀬美智子さん演じる小学校教師が生徒たちの問題に向き合う姿を描いた人気シリーズ。『season2』で黒崎さんが演じられたタオは、不法滞在の罪により目の前で両親が国外退去させられた転校生。初めての配役にしては設定が重ための難役でしたよね。
黒崎 学校ではいじめを受けるし、近所の人からは「お前も国へ帰れよ」と心ないことを言われるし......。お芝居とはわかっていても、みなさんの演技が自然すぎて、本気で傷つきましたね(笑)。
最初に撮影したのが両親と引き離されるシーンだったんですけど、子どもながらに大好きな家族と離れ離れになることを想像したら、本気で悲しくなってきちゃって。力加減もわからず、取り押さえに来た人たちを押し退けようと、全力で抵抗していました。
いちばん難しかったのは、最後に、涙を流してクラスのみんなに「ありがとう」と伝えるシーン。次第に周囲の誤解が解け、いじめもなくなり、みんなとの関係性を築けるようになった矢先にタオも国外退去させられるのですが、なかなか心からの「ありがとう」が言えずに苦労したのを覚えています。
例え感情のイメージが湧かなくても、ただセリフを言うだけじゃダメだと思っていたので、似たような作品を見るなどして、わからないなりに気持ちを模索していました。われながら、必死でしたね。
――放送を通して、初めてご自身の演技を見られたときの心境は覚えていますか?
黒崎 第一話が2時間スペシャルだったんですけど、結構出番が多かったんですよね。自分の顔が全国に放送される恥ずかしさを感じつつも、私は子どもの頃からドラマや映画が大好きで、自分から「女優になりたい」とこの業界に飛び込んだので、放送を見たときに初めて女優の第一歩を踏み出した実感がありました。撮影中は、そんなことを考える余裕がなかった分、余計に。
夢が現実になったことで、責任感も芽生えてきました。「厳しい世界だろうけど、この先、何十年も続けていける職業にしていかなきゃ。絶対に。中途半端なところで投げ出しちゃいけないぞ」って。大袈裟かもしれませんが、憧れが覚悟に変わった瞬間ではありましたね。
■西馬ニコはリアルゲーマーの私が演じなければ!
――2016年には『仮面ライダーエグゼイド』の放送がスタート。黒崎さんは、天才ゲーマーの女子高生・西馬ニコ役を演じられました(第12話『クリスマス特別編狙われた白銀のXmas!』初登場)。
黒崎 子どもの頃から特撮が大好きだったので、『仮面ライダー』への出演が決まったときは、本当にうれしかったです。オーディションの時点でゲーマー少女の役ということは決まっていて。私自身ガチのゲーマーだったので、「この役は絶対に射止めないと!」と、勝手な使命感を抱いていました(笑)。
オーディションでは、「アクションシーンを見せてください」とも言われました。当時、まだ学生だったので、制服のままオーディションへ行ったんですけど、ローファーと靴下を脱いで、裸足で走り回ったり、飛び跳ねたり。「活発な女のコの役」というところにも共通点を見出して、思いっきり自分を開放しました(笑)。
――元気いっぱいで、ちょっぴり生意気なニコの役柄と黒崎さんの雰囲気がスゴく合っていました。反響も大きかったのでは?
黒崎 「医療×ゲーム」がテーマの作品だったので、お医者さんを目指されている方や闘病中の方からもお手紙をいただきました。まだ文字の書けない小さな女のコから、ハートや星の形に切り抜かれた折り紙をいただいたときは、「こんなふうに気持ちを表現してくれるんだ」って感動しましたね。幅広い年代の方に作品が届いて、とてもうれしかったです。
ニコは、ワガママで言動が乱暴だし、相方の(花家)大我(はなや・たいが/仮面ライダースナイプ)にたびたび迷惑をかけるキャラクターだったので、「お子さんが見てどう思うだろう?」「どちらかというとウザがられる役なんじゃないか?」と、その見られ方を心配していました。
でも実際は、宇宙柄の帽子にヘッドホンを首にぶら下げるなど、ニコのファッションを真似してイベントに来てくださる方がいたり、私を見て「ニコちゃーん!」と呼んでくれるお子さんがいたり。予想以上の愛されキャラになりました。今年は、TTFC(東映特撮ファンクラブ)配信のスピンオフで久々にニコを演じたんです。懐かしかったなぁ。当時のファンの方には、是非観てもらいたいです!
――他にも「この役は私が演じなければ!」と思った役はありました?
黒崎 『ハイポジ1986年、二度目の青春。』(テレビ大阪/2020年放送)で演じたヒロインの小沢さつき、かなぁ。心は46歳のまま16歳の自分に戻った主人公が昭和時代にタイムスリップし、初恋の相手(さつき)と、当時は話すらしなかった現在の妻(幸子)と、二度目の青春を謳歌するという内容の作品なんですけど、そもそも私、子どもの頃から昭和歌謡曲が大好きなんです。
「悲しみにさよなら」とか「恋の予感」とか。80年代ヒット曲から各話のタイトルがつけられていたんですけど、私、全部知っていて! しかも安全地帯さんが大好きなので、これまた勝手にご縁を感じてしまいましたね。
――挿入歌もすべて昭和の曲でしたよね。
黒崎 そうなんです! 憧れの昭和を生きられたみたいで、とても幸せでした。それに、私、キックボクシングをやっているんですけど、たまたま作中で、さつきが不良にハイキックするシーンがあったんです。「渾身の蹴りを披露せねば!」と力が入りましたね。
――ちにみに、7月7日に公開された映画『先生!口裂け女です!』では、ヒロインのヤンキー女子高生・アヤカを演じています。金髪ロングヘアに、男勝りな性格。ふたりのヤンキーとともにバイク窃盗に明け暮れるヤンチャな役柄です。
黒崎 ここまでお話しした中だと、アヤカは、わりと自分と正反対な役柄かもしれないですね。常にふたりの男のコと行動をともにしているので、女らしさを出し過ぎないほうが自然かなーと思いつつ、ホラーバトルでありながら笑えるポイントが多い作品でもあるので、ヤンキーっぽくもチャーミングな仕草を取り入れるよう心がけました。相手の拳と自分の拳をぶつけて「よろしくッ」と挨拶する場面が多々あるのですが、言い方をちょっとだけかわいくするとか。
......あ、でも私、密かにバイク乗りに憧れていたんですよ。普段、車は運転しますけど、バイクに乗るのは初めてだったので、これも"ご縁"のひとつと言えそうです。窃盗は良くないですけどね(笑)。
――本当に多趣味ですね。しかも、特撮、ゲーム、昭和、キックボクシング......と、どれも男のコが好みそうなものばかり(笑)。
黒崎 恐竜や深海魚、最近は古代エジプト文明にハマっています。イラスト制作も長く続けているので、いつか、それらの趣味もお芝居に活かしてみたいですね。
――古代エジプト文明を活かした役......、考古学者とかですか?
黒崎 もしくは自分と全く無縁の......、能力者みたいなフィクション系の役にも興味があります。「えっ、私がこれを演じるの!?」みたいな(笑)。役作りが難しそうなほど燃えるので、自分に限界を決めず、オファーをいただけた役にはとことん向き合っていきたいですね。「この役は、絶対に私が演じてやるんだぞ!」って気持ちで。
ただ、もう25歳なんですけど、童顔だからかいまだに学生役が多いんですよ(笑)。そろそろOLさんとか、大人な役柄にも挑戦したいですね。
●黒崎レイナ(くろさき・れいな)
1998年11月11日生まれ 愛知県出身
身長160㎝ 趣味=読書・歌 特技=イラスト制作・キックボクシング
2011年『ハガネの女 season2』(テレビ朝日系)で女優デビュー。2016年~2017年出演した『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)の西馬ニコ役で注目を集める。ヒロインとして出演している映画『先生!口裂け女です!』が現在公開中のほか、東映特撮ファンクラブ(TTFC)にて『仮面ライダーアウトサイダーズep.2 滅びの予兆とデザストの覚醒』が配信中。7月23日より『仮面ライダーアウトサイダーズep.3バトルファイトの再開とゼインの誕生』も配信スタート
公式Twitter【@reina_official1】
公式Instagram【@reinakurosaki_official】
■黒崎レイナ初主演ドラマ『無限オーディション』
7月17日(月)、7月24日(月)TOKYO MXにて、夜10時から2週連続で放送!
本作の舞台は、とある番組のオーディション会場。主人公である映画プロデューサー・宮園凛は、配信映画の候補者を選定するオーディション会場で何度もタイムリープしてしまい......!? 個性豊かな10人の候補者達と主人公・凛の成長を描く、前・後編で紡がれる新感覚ミステリーです