さまざまなメディアで話題を振りまくひろゆき氏は、歴戦のゲーマー(特にシミュレーションゲーム好き)でもある。そんな彼が、これまでの人生で出会ってきたゲームをじっくり語る連載コラムだ。
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■本当の"クールジャパン"
今年、ゲーム界で話題になっている日本発のタイトルだと、ゼルダ(『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』)と、FF16(『ファイナルファンタジーXVI』)ですね。
これらは海外でも評価が高く、その売り上げも膨大なものになっています。正直、公金を投入してやっているクールジャパン事業なんかよりずっと話題になって、かつ収益を得ているんです。なので、国内でもゲームの内容以外の部分でも、もっと評価されるべきだと思っています。
そして特に優秀だなと思うのが、FF16を率いるスクウェア・エニックスの吉田直樹さんです。本来、ゲーム製作は資金を集めるプロデューサーと監督であるディレクターを別々の人が担当しますが、吉田さんはふたつの役職を兼任しています。
また、ファン向けのイベントではカラオケを歌い、各種生配信にも積極的に出演。さらには、FF14(『ファイナルファンタジーXIV』)でもプロデューサー兼ディレクターを務めています。
■吉田Pのことで心配しているのは......
そもそも、FF14はリリース直後は失敗作という扱いでしたが、それを吉田さんが担当することで見事に立て直し、今では全世界で総アカウント数が2700万を超えるほどのMMORPGに成長しました。
さらに吉田さんって「自分の作っているゲームは、自分たちでもちゃんと遊べよ!」という方針で、プライベートの時間にもFFをやっているんですよ。
吉田さんだけでなくスタッフの人たちもゲームをしっかり遊んでいて、これは"お金を払って遊んでいるユーザーの気持ちを理解する"って部分でとても意味のあることなんです。それが理解できていれば、ユーザーの期待する以上のものを作れますから。
この吉田さんの方針は、どんな職種にも言えることで、"プライベートな時間にも自分のサービスを使ってみる"ことは、僕は正しいことだと思っています。でも、これをやりすぎちゃうと闇残業とかブラック化するんですけど(笑)。
とりあえず、現在のFF14と16の世界的な成功は吉田さんあってこそと言えるでしょう。
ただ、吉田さんってあと10年ぐらいしか生きられないんじゃないかと思うことがあります。だって、これだけの仕事をひとりでこなしつつ、ゲームもたっぷりやっていたら休む暇なんてないだろうし。まー、これは僕が勝手に心配しているだけですけど。
●ひろゆき(西村博之)
1976年生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『考えて生きる~合理性と好奇心を併せもつ~』(成毛眞氏との共著、集英社)など