『週刊プレイボーイ』に登場するタレント、女優、アイドルなど、各分野で活躍する女性たち。彼女たちの記念すべき「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いを綴る連載シリーズ、『初グラビア物語~My First Gravure Story~』。今回は女優・小松彩夏さんの後編。
小松さんはジュニアファッション誌のモデルを経て、2003年『美少女戦士セーラームーン』のセーラーヴィーナス/愛野美奈子役で女優デビューし一躍、大きな話題に。また翌年、日本テレビのイメージガール『日テレジェニック2004』に選出され、グラビア活動をスタート。以降、女優、モデルとして活動しています。
2019年以降は事務所を退所し、フリーに。従来の活動に加え、地元・岩手県一関市観光大使やアパレルブランド【502EASY】のプロデューサーなども務めるほか、今後さらなる活躍が期待されています。
前回に続き、『週刊プレイボーイ』のグラビアに関するエピソードやグラビアへの思いを聞きました。
――『週刊プレイボーイ』には、2004年30号(7月13日発売)に、日テレジェニック2004の紹介企画で初登場し、2006年14号(3月21日発売)に初単独撮り下ろし。「never seen, such a look」というグラビアで、同時に初表紙・初巻頭を飾っています。
小松 懐かしいですねぇ(誌面を見ながら)。これは台湾ロケだったんですけど結構、過酷だったんですよ。『週刊プレイボーイ』のお仕事で、しかも海外。現地は暖かいから、楽しく撮影できると言うので、ワクワクして行ったら、それが想像を絶するくらい寒くて(笑)。しかもどこへ行っても暖房がない! ずっと凍えそうな顔をしていました。
――暖かいって話じゃなかったんですか?
小松 まったく違いました! あまりに寒いから途中でマネージャーさんに言いましたもん! 話が違いません?って(笑)。あと表紙カットは浅瀬の海で撮影したんですけど、私のそばにウミヘビがいたらしくて。ずっと知らないまま撮影して、終わった後にスタッフさんが「さっきいたよ」って。思わず腰を抜かしそうになりましたよ!
――確かに過酷ですね(笑)。初めて水着を披露した『Sabra』から三年経っていましたけど、この頃になるともう恥ずかしさや緊張はなかったですか?
小松 なかったですね。その三年間に写真集を3冊出させていただきましたし、『ヤングサンデー』など雑誌の撮り下ろしもかなりやらせていただきました。むしろこの頃になるとグラビアをすっかり楽しめるようになりました。
どの現場に行ってもデビュー当時と比べるとスタッフさんとコミュニケーションを取れるようになっていたし、毎月のように海外ロケにも連れていってもらえたし。本当に貴重な経験をたくさんさせていただいていました!
――その後、2019年まで、小松さんは『週刊プレイボーイ』に20回近く登場されています。特に2006年から2012年までのグラビアは、デジタル写真集『34 ―AYAKA KOMATSU 2006~2020―』にすべて収録されていますが、特に印象的な撮影は?
小松 2度目の表紙になったグラビアですね(「融点。」2007年6号/1月22日発売)。これ、北海道ロケだったんですけど、見てわかる通り、雪上の撮影があったんです。これが本当にキツくて。特に横たわっているカットなんて、腕から腰から脚まで身体中が痛い! ありえないですよ! 凍傷になるんじゃないかって思いました(笑)。
――いまも雪のロケは時々ありますけど、肌が直接触れないよう小さな生地を置いたりとか配慮しますね。
小松 え! 私の時代は生地なんてなかったですよ(笑)! 当時はまだデジカメでの撮影が少なくて、テストでポラロイド撮影をするんですけど、寒いからなかなか画像が浮かんでこなくて......。その待ち時間も寒さのせいで異常に長く感じた気がします(笑)。あとニューカレドニアのロケも印象深いですね。
――「the milestone」(2006年28号/6月26日発売)。
小松 岩場のシーンで、ものすごい土砂降りに遭ったんですけど「すごいね~」なんていいながら頑張って撮影していたんです。だけど雨がまったく止まず、しまいには洪水みたいになって道がなくなってる! どちらに向かえばいいかわからず、全員ずぶ濡れになりながら「こっちだ!」なんて声を掛け合って逃げ出しました。
ニューカレドニアって「天国に一番近い島」と言われますけど、その時だけは「違うだろ」って思いました(笑)。あと、ベトナムのロケも大変だったのを覚えています!
――5度目の表紙になった「my journey」というタイトルのグラビアですね(2007年51号/12月3日発売)。
小松 砂丘のシーンがあったんですけど、現場まで自動車では行けないので、40度超の炎天下、みんなで機材や衣装、メイク道具を担いで延々と歩いたんです。途中でもうヘトヘト(笑)。
着いてからも着替える場所はないので、大きな布を張ってその中で着替えたり、汗だくの中、必死でメイクを直したり。困ったのはトイレ。当たり前だけど、どこにもないんです。ただただ我慢しました(笑)。
――なんだか罰ゲーム、いやテレビの冒険バラエティみたいです。
小松 本当そうです。もちろん都内のスタジオなどでも撮影しましたが、週プレは過酷なロケが多くて。編集さんは「こまっちゃんは過酷なところに追い込んだほうがいい表情をするから」って言うんですけど......。過酷じゃなくてもちゃんといい表情しますって(笑)。
恐らく『ヤングサンデー』などの漫画誌では「太陽の下、笑顔で爽やか~」みたいなグラビアが多かったので、それとは一線を画したものを撮ろうとしてくれたんでしょうね。漫画誌は笑顔が多いけど、週プレのグラビアは大人っぽかったり、力強い表情のものが圧倒的に多かったです。
――週プレのグラビアで転機なんてあります?
小松 2019年に5年ぶりに撮った『KOMAPHOTO[real][fantasty]』(2019年25号/6月10日発売)ですね。ふたりのカメラマンさんに、温泉宿と都内各所という異なるシチュエーションでそれぞれ撮っていただいたんですけど、ちょうどこの頃、長年所属していた事務所を辞め、フリーになった直後で。活動をリスタートする上でもう一度グラビアをやりたいと思っていたので嬉しい撮影になりました。
――温泉パートでは衣装もメイクも自前で行うなど、小松さん自身、それまで以上に撮影に入れ込んだとか。
小松 そうなんです。衣装とメイクを自前にしたのは恋人と温泉旅行する感覚だったので素に近い方がいいかなと。都内では公園に行ってボートに乗ったり、普段着ないような衣装を着てみたり、いろいろな自分を引き出してもらいました。
――無邪気な姿も多く、なんだか可愛さが増した印象です。
小松 ありがとうございます(笑)。この頃、いろんな方に「印象がやわらかくなったね」と言われるようになりました。「以前のほうがキツい顔してる」って(笑)。当時よりも年齢を重ね、大人になったんだと思います。
――小松さん自身、グラビアの面白さはどこにあると思います。
小松 いままで知らなかった自分を引き出していただける喜びはありました! でも、やっぱり気心のしれたスタッフさんたちと一緒に素晴らしい作品を作れることですね。撮影までの過程も全部楽しいし、過酷な撮影だからこそのやりがいもあり、雑誌に掲載された時の達成感もすごくありますね。それに尽きると思います。
――週プレの過去グラビアを拝見して思いましたけど、どれもじつに熱量が高いですよね。現在はグラビアのアザーはデジタル写真集としてまとめられることはありますけど、当時はないわけで。本誌に掲載される数ページのためにチームを組み海外へ出かけ、毎回大変な思いして撮影していたことを考えたら本当にすごいというか。
小松 本当にそう思いますね。特に週プレさんの撮影は、編集、カメラマン、スタイリスト、ヘアメイクの皆さんがいつも同じメンバーで家族みたいな存在だったんです。
そんなみんなが「絶対いい撮影をしたい」って本気の思いを持っていたから、私も普段は絶対に見せない表情や姿も見せられたし、どんな過酷な撮影も一緒に乗り切ることができました。チーム一丸になってという点ではグラビアは格別な気がします。
――グラビアって映像などと違って人数も最小だし、ロケ中は寝るまでずっと一緒にいますもんね。では皆さんに聞いていますけど小松さんは初グラビアや過去グラビアを見返しますか?
小松 実家に帰ると雑誌などついつい見ちゃいますね。デジタルが主流となったいまの時代に、自分の姿を、本や雑誌など「モノ」として残せているのはありがたいですね。
――最後に小松さんにとってグラビアとは?
小松 う~ん、なんでしょう(笑)。でも恥ずかしさのあまりグラビアに挑戦しないでいたらいま、自分はここにいないと思います。芸能生活を20年以上続け、自分を応援してくださったり、自分を知ってくださる方がいるのはグラビアのお仕事があったから。その意味で自分の原点だと思いますね。
●小松彩夏(こまつ・あやか)
1986年7月23日生まれ、岩手県出身。身長160cm、血液型=A型。
○2003年、テレビドラマ『美少女戦士セーラームーン』にてセーラーヴィーナス役を演じ脚光を浴びる。2004年には日テレジェニックに選ばれ、グラビアアイドルとして活躍後、映画やドラマなと゛にも多数出演、女優としても人気を博している。また地元・岩手県一関市観光大使 やアパレルブランド【502EASY】のプロデューサーも務め 幅広く活動中。
公式Twitter【@ayaka_502】
公式Instagram【@official_ayaka_502】
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