さまざまなメディアで話題を振りまくひろゆき氏は、歴戦のゲーマー(特にシミュレーションゲーム好き)でもある。そんな彼が、これまでの人生で出会ってきたゲームや今のゲーム業界について、じっくり語る連載コラムだ。
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■アクティビジョン買収騒動でいちばん得するのは
ゲーム業界でここ1年ぐらい話題になっているのがマイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収騒動だったりします。これ、当初は9兆円とかで買収する話だったんですけど、アメリカとEU、そしてイギリスからもダメ出しされてなかなか合意できない事態となっています。
ちなみに買収が成立しなかった場合は、マイクロソフトからアクティビジョンへ最大で約6000億円の違約金が発生する契約になっていますから、一番儲かるのはアクティビジョンの弁護士だけという状態なんですけどね(笑)。
こういったゲーム業界の再編は今後より活発になるでしょうし、日本のメーカーも買収対象になってくると思っています。問題なのは海外メーカーに買収されると、これまでのような日本独自のゲーム性を持ったタイトルが生まれなくなる可能性があることです。
■『信長の野望』の新作はもう作られない?
僕はコーエーテクモ(コーエーテクモゲームズ)の『信長の野望』シリーズが大好きなんですけど、例えばこれを海外向けに作っても「信長、誰それ?」ってなるじゃないですか。そうなったら1円にもならないので、海外メーカーは信長の野望シリーズの新作を作らなくなってしまいます。
逆に買収した日本メーカーのIPが安定して利益率が高い、もしくは既存の人気IPとコラボさせやすいゲーム性があると、海外メーカーは積極的に新作をリリースするでしょう。例えば、『三国志』シリーズはすでに中国で人気ですし、『無双』シリーズはどんなIPとでもコラボできますから使い勝手の良いタイトルだと言えます。
と、ここまでコーエーテクモを例にして話してきましたけど、ここって毎年株で数十億の利益を出してて、もはや純粋なゲームメーカーとは言えないんですよね。
そんなコーエーテクモの代表取締役会長の襟川恵子さんは、株もゲームのプロデュース能力も優秀ですけど、口も押しも強い方なんです。これだと海外メーカーとは揉める可能性が高そう。
なので、コーエーテクモの買収を海外メーカーが検討しはじめたら、「もれなく襟川恵子さんもついてきますよー」と言っとけば、僕の大好きな信長の野望シリーズが安心してずっと遊べるじゃないかと思ったりしています(笑)。
●ひろゆき(西村博之)
1976年生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『考えて生きる~合理性と好奇心を併せもつ~』(成毛眞氏との共著、集英社)など