さまざまなメディアで話題を振りまくひろゆき氏は、歴戦のゲーマー(特にシミュレーションゲーム好き)でもある。そんな彼が、これまでの人生で出会ってきたゲームや今のゲーム業界について、じっくり語る連載コラムだ。
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■「なぜアクションRPGだったのか」を考察
そんなわけで、『ファイナルファンタジーXVI』をクリアしました。クリアまでは56時間です。
ターン性のJRPGのイメージが強いファイナルファンタジーシリーズですが、今回はアクションRPGになってるので、旧来の作品と比べるとだいぶイメージが違う気もします。
「なぜ、アクションRPGになったの?」というのを勝手に予想すると、理由としては2点。
1点目、オンラインRPGである『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクター・吉田直樹さんが作ったというのもあって、似たようなRPGを作っても面白くないよなぁ、ということ。
2点目、アクションRPGである『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』が「PlayStation Blog ゲーム・オブ・ザ・イヤー 2022」で16部門中10部門で受賞してたりします。「FF16は吉田直樹さんの作る『ゴッド・オブ・ウォー』だよ」と僕は説明してたりしますが、スピーディーな展開が続きまくるとかゲームの内容としても影響は受けてそうな気がします。
んで、ストーリーとしては吉田さん自身がどこかで語っていたように、中世のヨーロッパ的な舞台で権謀術数が繰り広げられるドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を意識しています。複数の国家が政治的な駆け引きをしつつ大陸を侵攻して、主人公は翻弄されるみたいな......。
■黒人が出てこない理由(ネタバレ注意)
といったところで、個人的にFF16が面白かったポイントの一つはストーリーと世界観なのですが、そのせいで発売前に海外のゲーム評価サイトからはボロクソ言われてました。発売前に「黒人が出てこない」ということを理由に多様性を重視する評価サイトとかがゲームをプレイする前に低評価をつけたりしました。
黒人が出ない理由は、ストーリーのネタバレになってしまいますが、奴隷制度を扱っているからです。
ある属性の人達を奴隷として扱い、ボロ雑巾のように使い倒して殺すとか、人身売買をするという世界でのお話なのです。
そういった世界観の中に現実の黒人なりの人種を登場させてしまうと、ややこしい話になってしまうのですよね。「このキャラクターは黒人だから奴隷なのか?」とか。
そんなわけで、FF16はアジア系も出てこないし、黒人も出てこないし、ラテン系も出てきません。人種の見た目によるものではなく、同じ人間なのに差別される属性があるという理不尽さとそれを無くそうとする人達の話になってるわけです。
子供向けのストーリーにしないという舵を切った結果ですが、空想世界のゲームだからこそ現実を反映してない設定があってもいいと思うんですよね。
それはともかく、ゲームや映画はやったり見たりしてから評価をするもので、映画を見る前に評価したり、ゲームをやってないのに評価したりするのは無礼だよなぁ......って思います。
●ひろゆき(西村博之)
1976年生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『考えて生きる~合理性と好奇心を併せもつ~』(成毛眞氏との共著、集英社)など