撮影協力/株式会社SEGA、株式会社GENDA GiGO 秋葉原3号館 Retro G 撮影協力/株式会社SEGA、株式会社GENDA GiGO 秋葉原3号館 Retro G

さまざまなメディアで話題を振りまくひろゆき氏は、歴戦のゲーマー(特にシミュレーションゲーム好き)でもある。そんな彼が、これまでの人生で出会ってきたゲームや今のゲーム業界について、じっくり語る連載コラムだ。

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■スマホとSteam、ゲームを売りたいならどっち?

ゲームクリエイターを目指している若い人たちから質問されることで、「スマホとSteam、自分で作ったゲームを売るならどっちが正解?」というのがあります。

これは即答でスマホです。なぜなら、「App Store」や「Google Play」にはランキングあるので、まあまあの上位にあがってくれば自動的に売れだします。ゲーム制作の目的が「とにかく儲けたい!」というのであれば、まずはスマホゲームを開発するほうが難易度は低いでしょう。

Steamにもランキングはありますが、PCゲーム専用というハードルは高い。WindowsやMac、それぞれのバージョンごとに「こっちで動いたのに最新のはダメ!」とデバックに費やす時間が多く、さらにユーザーサポートの環境も整える必要があります。

正直、ゲームだけでなくアプリの制作・運営においても、これが最もめんどくさい作業になってくるのです。

もちろんAndroidだってバージョン細かいし、バグだってたくさんあるけどと「だってAndroidなんだからしょうがないよね」と、なぜか寛容なAndroidユーザーは納得してくれるんですよね(笑)。

■ゲームのプロモーションで実はすごく重要なこと

そしてスマホとSteamに共通する課題がプロモーションです。有名なゲーム実況者に配信してもらったり、頻繁に動画広告を流したりするのは札束の殴り合いになります。その勝負ではインディーズゲームのような個人レベルでは勝ち目がないでしょう。

そこで重要になってくるのが"口コミ"なんですけど、これは制作したゲームそのものがいくら面白くても、簡単に拡散されるものではありません。

あまり費用をかけずにプロモーションをやるなら、ネット上で何がバズるのかをちゃんとわかっている人、そして英語が堪能な人が必要だと僕は思っています。

例えば、『NEEDY GIRL OVERDOSE』っていう世界で売り上げが100万本を突破したADVがあります。このゲームのヒロインは"病んでいる"ですが、日本でならそのニッチな部分の意味がそこそこ伝わるけど、これを英語圏で理解してもらうのはかなり難しいです。

でも、このゲームの制作チームには英語が得意なスタッフがいて、英語圏のスラングを使って効果的なプロモーションを行ないました。配信プラットフォームで全世界を相手に商売するのだから、ゲームのプロモーション担当の高い英語能力は結構重要なのかなと思います。

ちなみに僕はスマホの言語設定を英語やフランス語にして、日常から外国語を覚えるようにしています。そもそもアイコンとその機能は知っているので使っていれば自然と言語を覚えます。

ゲームでも同じ事をやっていて、こっちは「ファイヤーボール」や「分身」など、日常生活にはまったく役に立たない語彙ばかり増えているんですけどね。

●ひろゆき(西村博之)
1976年生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『考えて生きる~合理性と好奇心を併せもつ~』(成毛眞氏との共著、集英社)など。

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