さまざまなメディアで話題を振りまくひろゆき氏は、歴戦のゲーマー(特にシミュレーションゲーム好き)でもある。そんな彼が、これまでの人生で出会ってきたゲームや今のゲーム業界について、じっくり語る連載コラムだ。
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■「eスポーツ」が流行る条件
今年10月、国際オリンピック委員会が「Olympic Esports Games」を創設して今後は本格的にeスポーツに取り組むことを発表しました。ただ、日本のeスポーツの現状は海外の盛り上がりとは違って、ちょっと微妙かなと感じています。
海外のeスポーツで主流ゲームとなっている「LoL(League of Legends)」や「Fortnite」は"基本プレイ無料"です。ただ、これらのゲームは課金要素はありますけど、それはキャラの衣装を変更するスキンであって、ゲームの勝敗を左右するものではありません。
とりあえず海外ではパソコンさえあればeスポーツに参加できる環境で、こちらのほうが"お金をかけなくても楽しめる"という部分で、一般的なスポーツに近いと言えるでしょう。なので、海外ではeスポーツが普及しているのです。
さらに、若い人たちがeスポーツに積極的に参加する理由として、LoLやFortniteの大会には"大きな賞金が発生する"というのもあります。例えば、LoLなら最高で7億円を超える賞金があり、そこそこ上位のプレイヤーならプロスポーツ選手として十分な稼ぎが得られます。
■格ゲーは世界的にマイナー競技
一方で、日本では大会での高額賞金は規制されていますし、日本人が得意とする格闘ゲームも海外では超マイナー競技だったりします。日本のゲーム業界は「まずゲームを買ってください! でも賞金は認めません!!」という世界的な潮流とは真逆のやり方で、どう考えても優秀なeスポーツ選手が育つ環境ではありません。
日本が海外のようにeスポーツを普及させるには【無料で参加できるゲームがあって、それが上手ければ賞金が稼げる!】という環境になるのが理想ですけど、賞金制度に関しては法改正が必要だったりします。
仮に法改正を行なっても、日本だと行政や大企業だけが利権を吸い尽くしてプレイヤーは搾取されるだけということも起こりがちじゃないですか。なので、腕に自信のある国内のeスポーツ選手は、とりあえず海外へ出てしまうのが一番なのかなと思ったりしています。
●ひろゆき(西村博之)
1976年生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『考えて生きる~合理性と好奇心を併せもつ~』(成毛眞氏との共著、集英社)など。