左上から時計回りに岡本姫奈、井上 和、菅原咲月、小川 彩、一ノ瀬美空、川﨑 桜、中西アルノ、池田瑛紗、冨里奈央、五百城茉央、奥田いろは 左上から時計回りに岡本姫奈、井上 和、菅原咲月、小川 彩、一ノ瀬美空、川﨑 桜、中西アルノ、池田瑛紗、冨里奈央、五百城茉央、奥田いろは

12月3日(日)まで1ヵ月にわたり開催された「新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za」。乃木坂46/櫻坂46/日向坂46から、それぞれ最も若い世代が全10公演ずつ行なった今企画。乃木坂46五期生は、どんな心境でこのライブに臨んでいたのか。

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■加入当時との違いをお見せしたい

乃木坂46五期生、櫻坂46三期生、日向坂46四期生。坂道シリーズ3グループの最も若い世代がそれぞれ単独ライブを行なう「新参者」公演。乃木坂46五期生にとっては、久々に迎える〝先輩のいないステージ〟。彼女たちは、リハーサル前からとあるプレッシャーを感じていた。

一ノ瀬 「櫻坂46の三期生さんと、日向坂46の四期生さんと一緒に盛り上げていくライブですが、3グループの中で最初にデビューしたのは私たち。全員、パフォーマンスは『負けたくない』という気持ちでリハーサルをしていたと思います」

菅原 「リハーサル期間は特に、『乃木坂46の看板を背負ってライブをしなければ』という思いでした」

会場となる東京・新宿のシアターミラノ座は約900席。ファンの間では、「そんな近い距離で見られるライブなんて、どこでも神席じゃん」と話題になっていた。

奥田 「今回は距離感が近い会場だからこそ、ダンスをじっくり見ていただきたいと思っていました」

五期生は燃えていた。この会場で、どうしたらより良いライブを作ることができるのか、11人でしっかりと話し合った。

冨里 「ステージを映すモニターがないので、表情以上に『全員で動きをそろえること』を意識しようという話をしていました」

中西 「お互いにアドバイスし合ったり、みんなで相談したりすることが多かったです。今まで個人で努力してきたものを、そろえる意識を強めていきました」

川崎 「振り付けを教え合ったり、移動をスムーズにする方法を相談したり。とにかくお互いの足りない部分を補おうとしていたと思います。個人的には、誰かが歌詞を飛ばしてもカバーできるように、自分以外のパートの歌詞も覚えられるように頑張りました」

全員がパフォーマンスに対して意識を高め、いよいよ迎えた本番。ライブは彼女たちのデビュー曲『絶望の一秒前』から始まり、『制服のマネキン』『ガールズルール』『裸足でSummer』と、乃木坂46のライブを代表する歴代シングル曲を続けていった。

井上 「『絶望の一秒前』は昨年、一番多くの場面で披露させていただいたので、パフォーマンスしながら今までのことを思い出せるような気がします。だからこそ、加入当時との違いを皆さんにお見せしたいなと思っていました」

池田 「レッスン中、『制服のマネキン』は〝カッコよく踊るんじゃなくて、カッコ悪くてもとにかく全力で思いをぶつける曲なんだ〟と教わりました。私はこの曲でフロントに立たせていただいたんですが、ダンスが得意ではないので、とにかく全力を尽くすことを目指しました」

一ノ瀬 「3曲目の『ガールズルール』。空気が締まる2曲の後に披露するので、ここで会場の雰囲気も、メンバーの気持ちも明るく変えられるようなあおりや表情を意識しました」

おのおのが自分の役割やライブの流れを汲(く)み取りながら始まった「新参者」。頭の4曲だけを切り取っても、五期生は今の自分たちを真摯(しんし)に届けようとしていた。

■11人それぞれが歴史を受け継ぐ

MC、そしてユニット曲を挟み、続く「五期生 おひとりさま天国」コーナー。〝乃木坂46の歴史を受け継ぎ、乃木坂46に新たな道を切り拓く〟をテーマに、11人が公演ごとにひとりで、自らが選んだ楽曲を披露する――櫻坂46、日向坂46の公演にはない、彼女たちならではの挑戦だ。奥田いろはは、このコーナーについてこう語る。

奥田 「ひとりずつにフォーカスが当たるうれしさはありつつ、すべて自分で成立させなきゃいけない恐怖もありました」

初日、このコーナーのトップバッターを務めた井上 和が披露したのは、一期生・深川麻衣の卒業時に生まれた彼女のソロ曲『強がる蕾』。〝乃木坂の聖母〟と呼ばれた彼女を、乃木坂46に優しさや温かさをつくった先輩とし、「深川さんのような人になりたい」。そんな思いを込めてこの曲を選んだという。

井上 「先輩方も歌いつないできた曲で、その背景を知っているからこその怖さがありました。でも、その怖さこそが歴史で、私たちが受け継いでいかなければならないものだと、自分に言い聞かせて歌っていました」

2日目以降も、五期生はひとりずつ、歴代の楽曲に立ち向かっていった。

小川 彩は、乃木坂46が『NHK紅白歌合戦』で歌唱したこともある名曲『きっかけ』をピアノで弾き語った。

小川 「今まで先輩方が大切に歌ってきた曲を弾き語ることは、ピアノも歌も特別うまいわけではない私にとって勇気がいることでした。でも私はピアノや音楽が大好きで、乃木坂46で音楽に携われていることがとてもうれしいんです。だからこそ、先輩方が大切なときに歌ってきたこの曲を歌い継ぎたかったんです」

歌以外に、自分の特技を披露したメンバーもいた。

小学生時代にフィギュアスケートを始め、今年3月には世界フィギュアスケート選手権のオープニングセレモニーでスケートを披露した、川﨑 桜。

川崎 「今まで培ってきたダンスのしなやかさと、普段のステージとは違うスケートでの一面を見てもらえるように、『シンクロニシティ』に乗せてインラインスケートを披露しました」

活動休止からこの「新参者」で復帰した、岡本姫奈。国内のバレエ大会で複数の受賞経験を持つ彼女が見せたのは、『命は美しい』に乗せたバレエダンスだった。

岡本 「休養期間中、私を待ってくださっていたファンの方々に感謝を届けたいという思いでした」

また、東京藝術大学に在籍中の池田瑛紗は、アート方面で活躍する一期生・伊藤万理華の個人PV用に作られた『まりっか'17』を、「てれっさ'21」と歌詞を変えながら披露。

池田 「乃木坂46に加入してから自分の役割に悩むことも多く、その時期に答えをもらえた気がしたのが、万理華さんの個展に伺ったときでした。このコーナーの楽曲を考えたとき、この曲しか浮かばなかったです」

11人が思い思いの理由で臨んだ「五期生 おひとりさま天国」コーナー。一ノ瀬美空は、歴代の楽曲についてこう語った。

一ノ瀬 「私は乃木坂46の歌詞が大好きで、今までたくさん救われてきました。それらは先輩方から受け継いできたプレゼントです。私たちも未来に贈り物ができるように、新しい風を吹かせられるような楽曲を残していきたいと思いました」

■今の五期生が一番強い

その後は、最新曲『いつの日にか、あの歌を...』をはじめとする五期生楽曲を中心に、『君の名は希望』や『インフルエンサー』など、乃木坂46全体のライブでも肝となる楽曲を披露。終盤も、彼女たちは挑戦や思考を止めることはなかった。

五百城 「『初恋の人を今でも』を(奥田)いろはとふたりでギター演奏しました。初めての〝指弾き〟で、最初の頃はやめておけばよかったと思うこともあったんですけど、チャレンジして良かったです」

菅原 「私は、ライブ終盤のカッコいい曲からかわいい曲への切り替えを今回の見せ場だと思ってパフォーマンスしました。11人しかいないステージなので、それぞれの変化をはっきり感じてもらえたんじゃないかと思います」

今回の「新参者」の収穫は、五期生全員が乃木坂46という存在を考え抜き、より結束を深めたことだろう。

井上 「私たちはいろんな場所で個性が強いといわれることが多く、良くも悪くもまとまりがないと感じていました。でも、みんなきっと10公演を通して、自分たちなりの歩き方が少しずつ見えてきたんじゃないかなと思います」

冨里 「本当にリハーサルが大変な日々の中、励まし合って、助け合って全公演走り切りました。これから何があっても乗り越えられると思います。今の五期生が一番強い気がします」

11人で駆け抜けた全10公演。彼女たちはまた一歩、スターへと近づいていく。