さまざまなメディアで話題を振りまくひろゆき氏は、歴戦のゲーマー(特にシミュレーションゲーム好き)でもある。そんな彼が、これまでの人生で出会ってきたゲームや今のゲーム業界について、じっくり語る連載コラムだ。
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■2ちゃんねるで「フライトシム板」を立ち上げた
前回、レースゲームは実車さながらのシミュレーター的な挙動を追求するより、無茶な走行だったり加速の気持ちよさが体験できるほうが、僕にとってはおもしろいという話をしました。けど、実は最もリアルを追求しているゲームジャンルである、フライトシミュレーターにハマっていた時期があります。
2ちゃんねるという掲示板の管理人をやっていたときには「フライトシム板」を作りましたし、最近でも『Microsoft Flight Simulator』シリーズのプレイ動画はそこそこチェックしていたりします。
飛行機は自動車やバイクと違って毎年新型が登場しないので、フライトシミュレーターの新タイトルも数年単位でしか発売されません。"スロットルの数値が微妙に変わる"や"ハンガーのグラフィックが微妙に更新された"といった細かいアップデートを積み重ねつつ、ユーザー作成の膨大なMODもあり、ひとつのタイトルの息が長いのが特徴です。
なので、数年ぶりに新タイトルが登場すると一部のガチ勢は相当盛り上がります。僕も現役のパイロットが「この着陸時の挙動は実機とはちょっと違います」「管制からの指示が出るタイミングが遅い」という細かすぎる解説レビューを読みつつ、ニヤニヤしているひとりだったりします。
■海外のガチ勢は「コクピット」も再現する
そして、海外のフライトシミュレーターのガチ勢の中には実機と遜色のない航空機の挙動を楽しむだけでなく、そのプレイ環境も忠実に再現している人もいます。実機から流用した計器類が設置されたコックピットを自宅に作り、ゲームプレイではハンガーで3時間待機するところから離陸するといった楽しみ方をしています。
しかし、日本ではこういった遊び方はまだまだ一般的ではなく、僕が作ったフライトシム板もまったく盛り上がりませんでした。
日本では飛行機よりも、『電車でGO!!』シリーズのような鉄道シミュレーターのほうが人気だったりします。これも飛行機と一緒で新型が頻繁に登場するものではありません。さらに"その国限定の車両"が多いので、『電車でGO!!』シリーズは日本以外ではまったく売れません。
そもそも、実在する交通インフラのシミュレーターに、一般ユーザーが普通に喜ぶような派手な演出を求めるのは難しんですよね。それこそ自動車のように"レースゲーム"にしたところでって感じだし。
ということで、フライトシミュレーターは、今後も一部のガチ勢に支持されるジャンルとして進化していくのかなと思ったりしています。
●ひろゆき(西村博之)
1976年生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『考えて生きる~合理性と好奇心を併せもつ~』(成毛眞氏との共著、集英社)など。