「僕は、応援したいお店があるとガンガン酒を注文します!」というリュウジ 「僕は、応援したいお店があるとガンガン酒を注文します!」というリュウジ

ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。先週から『週プレNEWS』でも始まったこの連載、ゲストは先週に引き続き料理研究家のリュウジさんです。今回は安くておいしい料理を出すお店の探し方、そして、そんなお店が長く続いてもらうために僕らがしたほうがいいことなどを語ってもらってます。

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ひろゆき(以下、ひろ) リュウジさんみたいに自分でおいしい料理を作れる人って、あまり外食しない感じですか?

リュウジ(以下、リュウ) 新しいメニューの発想を得るためにも外食はかなりしています。お店は、Googleマップで調べるんですよ。駅だけ決めて、マップ上で「飲食店」と検索すると一覧が出てくる。で、その店のメニューを見るんです。

ひろ レビューではなくメニューを?

リュウ 料理をやっていると、メニューを見るだけで「この店はどれくらい仕込んでいるか」がわかります。例えば「季節の野菜のムース」って仕込みに手間がかかるんです。そういうメニューが多いと「手間を惜しまないお店」と言えますし、手間をかけているぶんマズい料理を出す可能性は低い。

ひろ じゃあ、世間的に無名なお店でも入っちゃうんですか?

リュウ ガンガン入りますね。それで発掘したお店は多いですよ。

ひろ リュウジさん的には「売れない理由」もわかったりするんですか?

リュウ わかります。簡単に言えば「売ろうとしていない」んです。腕はいいのに宣伝ができていないパターンはよくあります。

ひろ 料理の腕前と、お店の名を広める能力は別ですもんね。

リュウ そうなんですよ。飲食店って、かなり高度なビジネスの能力が必要なんです。しかも、そんな難しい仕事にもかかわらず、あまり儲からない。

ひろ むしろ腕がいいシェフほどアコギな商売をしないから、儲からずに潰れやすい。お客さんが「おいしい」と言ってくれるから精神的には満足しているけど、お金が回らなくなって、突然閉店しちゃうみたいなこともありますよね。

リュウ 特にご夫婦でやっているお店では多い。だからたまに「大将、この値段でこの料理を出しちゃダメです」って言います。そういうお店を見ると応援したくなるんですが、かといって僕がSNSで宣伝をすればいいわけでもない。

ひろ というのは?

リュウ そもそも儲からない構造なので、新規客が一気に押し寄せても忙しくなるだけなんです。逆に常連客が行きづらくなってマイナスになる可能性がある。「売ろうとしない問題」もありますが、もっと深刻なのは日本の飲食店の構造上、お酒で儲けるしかないこと。だから僕は、応援したいお店があるとガンガン酒を注文します。

ひろ 逆に言うとお酒をほとんど飲まない人に紹介しても、オススメのメニューと最低限のドリンクを注文して帰っちゃう。へたすると、客単価が下がっちゃう可能性もありますよね。

リュウ 苦い経験があって、僕の地元にすごく安いもんじゃ焼き店があるんですよ。名物は牛タンの丸焼きで、ほぼ原価で出している。よかれと思って紹介したら、みんなお酒は頼まずにほぼ原価の牛タンばっかり注文して、お店の儲けがほとんどなかった。

ひろ 「お酒をしっかり飲むこと」ができる人じゃないとオススメのお店は紹介しづらいんですね。ミシュランを獲得するようなフレンチだと「ワインを含めてひとり10万円」という会計になることは珍しくない。フレンチやイタリアンだとワインが高いのでかなり儲かるじゃないですか。でも、それ以外の料理って難しいですよね。逆に「これをやったらちゃんと儲かる飲食店の仕組み」ってあるんですか?

リュウ 残念ながら僕なりの正解は「飲食店はやらない」になるんです。値段と味に納得してもらおうとすると利益はほとんど出ない。有名になって単価を上げると「え、こんなに高いのかよ!?」とか思われちゃう。

ひろ ブランド化しても、値段をぐんと上げられないわけですね。

リュウ フランチャイズ化して、どんどん店舗を広げていくならありかもしれませんけど。

ひろ でもフランチャイズ店の多くは「1回食べたからもういいや」となるパターンも多いじゃないですか。あと、料理人が急に変わって味が下がる店もある。

リュウ そうなんですよ。僕がずっとお店に立てないことも、僕が飲食店をオープンしない理由のひとつなんです。僕がいないタイミングで味がブレる可能性を考えると怖いんですよ。だから、シェフに依存するような飲食形態には限界がありますね。

ひろ ちなみに「サイゼリヤ」はどうですか? けっこう手堅いモデルだと思うんですけど。

リュウ サイゼは素晴らしいんですよ。「どうせファミレスでしょ」と侮る人もいますが、使っている食材はイタリアから直輸入しているこだわりのものが多い。

ひろ イタリア人が「日本で一番おいしいエスカルゴを出す店はサイゼリヤだ」と言ってました。

リュウ そして、マニュアルがきちんと決まっているので、どのバイトさんが調理しても基本的に同じ味になる。

ひろ そういえば、リュウジさんって「缶詰バー」に行ったことあります? 読んで字のごとく、缶詰をつまみに飲むバーなんですけど、これってサイゼよりもさらにビジネスモデルとしては突き詰めている感があるんですよ。

リュウ 行ったことありますよ。確かにめちゃくちゃいいビジネスモデルだと思います。まず、飲食店を悩ませるロスがない。例えば、サラダって、1日置いておくだけで黒ずんでしまう。だから、飲食店は基本的にサラダを出したがらない傾向にあるんですよ。

ひろ その点、缶詰ならロスがない。しかも、バイトさんでも味がブレずに提供できる。

リュウ ただ、個人的には儲かりづらいお店のメニューを食べたいですね。だって、そっちのほうが新しい発見があるし、何よりおいしいじゃないですか。だから、そういったお店が長く続くように、体調が悪くてお酒が飲めなくても、ソフトドリンクを必ずお代わりするようにしています。

ひろ なんか、今の状況って日本の食文化的にはマイナスですよね。若い人が「料理人になっておいしいものを提供しよう」と思わなくなる気がするんです。「飲食店=キツい」というイメージもありますし。「フランスで修業をしてから日本でレストランを開きます」みたいなパターンだったらわかるんですけど。

リュウ それはありですよね。

ひろ でも、それができるのはフレンチやイタリアンのごく一部。

リュウ 居酒屋さんとかでは、かなり厳しいですね。

ひろ 居酒屋さんで「あの有名な◯◯で修業しました」とか聞いたことがないですよ。韓国料理でもそういう話は聞かない。すると、きちんと稼げて、ちゃんと手の込んだ飲食店をやるなら、フレンチ、イタリアン、サイゼリヤという3択になってしまう(笑)。

リュウ おいしい料理を提供するために、働く側が身を削らなきゃいけないのはおかしいですよ。

ひろ でも、それはすぐに解決しそうにないので、とりあえず僕らにできるのは、自分がひいきにしているお店ではガンガン酒を飲むってことですね。

リュウ そうですね(笑)。

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■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 
元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など 

■リュウジ(RYUJI) 
1986年生まれ、千葉県出身。料理研究家。近著に『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)など。公式X【@ore825】、公式Instagram【@ryuji_foodlabo】、公式YouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』

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