さまざまなメディアで話題を振りまくひろゆき氏は、歴戦のゲーマー(特にシミュレーションゲーム好き)でもある。そんな彼が、これまでの人生で出会ってきたゲームや今のゲーム業界について、じっくり語る連載コラムだ。
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■世界のゲーム産業は中国の金で回っている
最近は、『原神』や『崩壊:スターレイル』『荒野行動』、そして動画広告でおなじみの『おねがい社長!』すらも、中国企業が開発したスマホゲームだったりします。
スマホゲームだけでなく、『League of Legends』のライアットゲームスは中国企業のテンセントゲームズの子会社ですし、『フォートナイト』のエピックゲームズもテンセントから大きな出資を受けて開発されています。メーカーだけでなく、大手のゲーム制作スタジオが中国資本ってことも多く、業界そのものが中国企業のお金で回されている状態です。
そんな中国企業の強いところは「◯◯がすっげー面白い!」となったら、即パクってより面白いゲームを作れてしまうこと。この"◯◯"の部分は日本発の人気タイトルだったりするんですけど。ゲームだけじゃなくTwitter、インスタ、アマゾンなど、アプリやサービス、製造業も含めて臆面なくパクリます。
ランキングの上位にあるゲームをパクって提訴されるまでの一発勝負的にやる企業もありますけど、技術力は高いのでそこそこのクオリティになりますし、パクることで他社の技術を吸収することもできます。
また、出資した企業と技術提携も行ないつつ、高給で雇った優秀なエンジニアがそれを研究開発するので、気づいたらゲームやアプリが中国を代表する産業になっていました。
■日本人向けに特化したゲームづくりがうまい
そんな中国メーカーが、自分たちの作ったゲームを海外で販売する場合はローカライズという作業を行ないます。ゲームの音声やテキストを各国の言語に変更するだけでなく、販売する国や地域の風習や文化、宗教的に不適切にならないようシナリオやキャラクターの容姿を変更します。
このようにローカライズをすることで販売網を世界中に拡大でき、より大きな収益となります。これはアプリも同じことで、もともと中国のアプリだったTikTokもローカライズされて世界中でヒットしました。
まあ、この辺は中国に限らず、どの国のゲームメーカーもやっていることです。
ただ中国メーカーは、"日本人向け"に特化したゲームづくりがうまいです。特にソシャゲは日本語に対応しつつ、キャラクターの衣装は際どい露出のコスチュームにしたりします。そしてコスチュームの多くは課金アイテムです。当然、「ガチャ」も実装します。
そもそもガチャって中国をはじめとする多くの国で禁止されているんですけど、日本のユーザーは喜んで回していますよね。
はじまりはパクリであっても、その収益を基に中国国内のゲーム産業とエンジニアを育て、技術も生活も豊かになっているのです。ただ、それらの原資になっているのが日本人のガチャというのは、いろいろと大丈夫なのかなと思ったりしています。