ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。今回は料理研究家のリュウジさんを迎えての9回目。チェーン店にもよく行くというリュウジさんは、この間、スシローに行って大感激したとか。また、鳥貴族も値段の割においしいという。その理由とは?
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リュウジ(以下、リュウ) この前、「スシロー」に行って感動したんですよ。
ひろゆき(以下、ひろ) お、どうしたんすか?
リュウ ユーチューブで「料理研究家達が教えるスシローのおいしい泥酔の仕方」みたいな企画をやったんです。僕のいとこがスシローに毎月2回行っていて、とにかく「スシローの『カニ風サラダ』を食え!」と言うんですよ。
ひろ それって、どんなネタなんですか?
リュウ 要はカニカマのマヨネーズあえが軍艦巻きになっているんですけど、これがめっちゃうまかったんです。
ひろ あんまり、そそられないっすけどねー(笑)。
リュウ だまされたと思って食べてみてください。本当においしくて、僕は3皿も食べました。結局、お会計はふたりで1万2000円くらいになりました。
ひろ スシローで何を頼んだら1万円超えるんですか(笑)。
リュウ ほぼ酒代ですね(笑)。それに、いとこは人の金だからって特選にぎりとかを頼んでました。それで、気がつけばこんな値段に......。
ひろ 回らないおすしも食べられますよ(笑)。でも、数ある回転ずしチェーンのメニューの中で、スシローのカニ風サラダがイチ押しなんすね。
リュウ そうですね。
ひろ それにリュウジさんの手にかかれば、そのカニ風サラダは家で再現できるんじゃないですか?
リュウ できます。でも、スシローで食べているという雰囲気がけっこう大事な気がするんですよ。
ひろ 回転ずしチェーン店のワチャワチャしたところで食べる、あの感じですね。ユーチューブのネタとしては、やっぱりチェーン店のほうがウケます?
リュウ 「超高級店に行ってみた」みたいな企画もいいんですけど、多くの人に共感してもらえないと思うんですよ。
ひろ それより自分たちがいつも食べているものを有名な料理研究家が食べたらなんて言うかのほうが気になると。ちなみに、以前の対談で、リュウジさんはレシピづくりの参考にするためにあえてチェーン店に行くと言ってたじゃないですか。仕事抜きで、普段からも行くんですか?
リュウ はい。普通に行きます。ただ、チェーン店って喜ばない人が多いじゃないですか。趣がなかったり、いつでも食べられるから、レア感がなかったり。
ひろ ですね。「マクドナルド理論」(ランチに行くお店のアイデアが出ないときに、マクドナルドを提案すると、「マックはやめよう」ということになって、より良いお店が提案される。そこから、ディスカッションでわざと低レベルのアイデアを出すと、次々にいいアイデアが出る)という手法があるくらいですからね。
リュウ でも、「今日はチェーンで攻めよう!」と一度決めたら、途端に面白くなるんです。
ひろ チェーン店って、値段の割においしいっすからね。
リュウ そうなんです。この前も「鳥貴族」に行きましたけど、おいしかったですもん。僕、焼き鳥が好きで、けっこううるさいんですよ。目の前で焼いてくれるカウンターの高級店にも行くんですけど「鳥貴族もかなりいいぞ」と思いましたよ。
ひろ 何がいいんですか?
リュウ さすがに高級店と同じ品質にはなりませんが、鳥貴族って国産の鶏肉を使っているんです。だから、割とちゃんとしているんですよね。ただ、焼き手によってはちょっと残念なときもありますけど......。
ひろ 国産の鶏肉を使って、しかも店で一本一本焼いているんだったら、鳥貴族と街の焼き鳥屋さんでは、そんなに差が出ないんじゃないですか?
リュウ そうなんですよ。さすがに高級店は、焼く前に昆布のだしとかを塗ったりして、手間暇かけているので味は段違いですが、鳥貴族と街の焼き鳥屋さんでは、そこまで変化をつけられません。
ひろ じゃあ、鳥貴族はなんであんなに安くできるんですか?
リュウ グループで大量発注をしているからじゃないですかね。チェーン店の強みを発揮して、原価を抑えるというやり方をしているんだと思います。
ひろ 鳥貴族が一本一本ちゃんと焼いているとしたら、オペレーションの効率ってメッチャ悪いですよね。お客さんからしたら、コスパはいいことになりますけど。
リュウ 知ってます? 鳥貴族には「よく焼き」という裏メニューがあるんですよ。モモとかは、よく焼くとパサパサになるだけですが、皮はカリカリが好きな人もいるじゃないですか。
ひろ そんなことやってくれるんですか。そんなことをされたら、街の焼き鳥屋さんはいよいよ対抗できなくなりますよ。それに、鳥貴族って回転がいいから鮮度のいい鶏肉を常に使えますしね。
リュウ そうなんですよ。回転ってすごく大事なんです。だから、いくらいい食材を用意していても、お客さんがあまりいなかったら提供される頃には味が落ちることも多い。一概には言えませんが「人がたくさん入っているお店は、おいしくなりやすい」という結論にはなりますよね。
ひろ あと、客層が悪いパターンもありますよね。いくら食材にこだわって、焼き手の腕が一流であったとしても、お店の雰囲気が悪くなってしまう。
リュウ それから、お客さんの目の前で大将が弟子を怒ることってありますよね。そういうのを見ると、せっかくのおいしい料理も急激にまずくなります。人間の味の感じ方って、けっこうそんなものだと思うんですよ。高級店でも雰囲気によっては味が台なしになるし、チェーン店でもこちらのスタンス次第では世界一おいしくすることもできるんです。
ひろ なるほど。そして、スシローのカニ風サラダみたいに意外な当たりがあるとガンガン加点されていく。
リュウ 要は、「今日は絶対にトリキが食べたいんだ!」と思って行くと、かなりおいしく感じます。逆に「どうせトリキでしょ?」と思っていると、「どうせトリキ」の味になっちゃう。
ひろ 気分次第でどっちにも転ぶ。結局は自分のマインドセットが必要ということですね。そういう意味では、僕の中でスシローのカニ風サラダの存在感がめちゃ増してますよ。
リュウ 日本にいるときに食べてほしいなー。あ、誤解されると困るんですけど、僕はスシローからお金はもらってないです(笑)。ステマとかじゃないです。ただ、そういうチェーン店なりの楽しみ方をしてみると発見があるということなんですよ。
ひろ でも、リュウジさんの一番のオススメがカニ風サラダってのは面白いですね(笑)。
リュウ まあ、スシロー側もカニ風サラダはそんなに推してないと思いますよ。でも、「今日はスシローに行くんだ! そして、カニ風サラダを食べるんだ!」と思って挑んでみてください。絶品ですから!
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■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA)
元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など
■リュウジ(RYUJI)
1986年生まれ、千葉県出身。料理研究家。近著に『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)など。公式X【@ore825】、公式Instagram【@ryuji_foodlabo】、公式YouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』
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リュウジりゅうじ
1986年生まれ、千葉県出身。料理研究家。近著に『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)など。公式X【@ore825】、公式Instagram【@ryuji_foodlabo】、公式YouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』