お笑い芸人のつぶやきシローさんが、新著『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』(小学館)を発表した。
これは、2009年9月から始めたX(旧ツイッター)に毎日のように投稿していた「あるあるネタ」の中から、厳選した165の作品をまとめたものだ。
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――『週刊プレイボーイ』が、この本の発売にちょっと関わっているんですよね。
つぶやき そうなんです。X(旧ツイッター)を始めるきっかけをつくってくれたのが、週プレさんなんですよ。2009年の9月に「ツイッターはつぶやきという意味だから、つぶやきシローさんも始めてみませんか?」という取材を受けました。
それで、当日はツイッタージャパンの人が来て、僕のパソコンをセッティングしてくれたんです。そこまでされたら、もうやるしかないじゃないですか。それで、名前(アカウント名)を決めるときに、ローマ字で「tsubuyakishiro」(つぶやきシロー)と入れたら、「もういます」と言われた。
「じゃあ、シローつぶやきにしようか」「もういます」「じゃあ、シローとつぶやきの間に棒線(ハイフン)を入れたら?」「います」「アンダーバーにしたら?」「大丈夫です」みたいなやりとりがあったんですよね。
――それだけ、つぶやきさんが人気だということですね。
つぶやき 違いますよ。ツイッターは、つぶやきという意味だから、僕の名前をつけた人が多かったんじゃないですか。でも、今はXに変わっちゃったからもうダメです。
――もしかしたら、つぶやきさんのフォロワーも減りました?
つぶやき まあ、減ることはあっても、増えることはないんじゃないですか。
――じゃあ「つぶやきシロー」から「Xシロー」に名前を変えちゃいましょうよ。
つぶやき いやいや、その意味がわからないですよ。なんで、そっちに乗っからないといけないんですか?
――だって、ツイッターがXに変わったので。
つぶやき もしかしたら、今日の取材はその一本勝負で来ました? ちょっとでも僕が「そうですね」みたいなことを言ったら、「あ、言ったな!」ってなるんでしょ。やめてくださいよ。ツイッターがXに変わったから、名前も変えるって、なんか反感を買うじゃないですか。
――じゃあ、「X(旧ツイッター)シロー」はどうですか?
つぶやき 長い長い。それに、もしイーロン・マスクさんが「やっぱり、ツイッターに戻す」って言ったらどうするんですか?
――そのときは「つぶやき(旧X旧ツイッター)シロー」でいいんじゃないですか。
つぶやき いや、それは勘弁してくださいよ。確かに週プレさんきっかけで始めましたけど、芸名を変えるのはリスクがあるなあ。僕が名前を変えたって責任持ってくれないでしょ。一生面倒見てもらえますか?
――ところで......。
つぶやき あ、話変えた。
――この本は約15年分のつぶやきから厳選した作品ということで、どんなものがあるのか少し紹介させていただくと......。
つぶやき ネタバレしちゃうなあ。でも、きっかけをつくってくれたのは週プレさんですから、もう全部載せちゃいましょう。
――いやいや、そんなにページ数ないですから。一番好きなのは「電車で座っている人が、読んでいた本をバッグにしまっといて降りない人いるね。」です。
つぶやき 目の前に立ってて、「この人降りるから座れるぞ」と思ったら、そのまま座っている。あれ、迷惑ですよ。
――でも、やりがちですよね。
つぶやき あ、やるほうですか?
――本をしまって、スマホを出します。
つぶやき ダメダメ。それだったら、本をしまいながらスマホを出して「僕、スマホに移行しますからね」っていう合図を出してあげないと。立ってる人は一瞬喜んじゃうから。相手のことを思ってあげてください。公共の場では、周りの人のことを考えて行動しないとダメですよというメッセージが入っているんですよ。このつぶやきには。
――本当ですか?
つぶやき 本当です。まあ、僕は立っている人側の立場で書きましたけどね。どっち側の人にもわかる文章ということです。
――もうひとつ。「商品を持って、店先までの見送りはいらない派です。」。
つぶやき 高級ブランド店とかに多いじゃないですか。持ってきてもらうほど重たいものじゃないのに、僕みたいに小心者の貧乏人は恥ずかしくて「もういいです、もういいです」ってなっちゃう。
――この間、デパ地下でちょっと高級なおにぎりを10個買ったら、紙袋に入れて、わざわざお店のカウンターを回って持ってきてくれたんですよ。おにぎりまで持ってきてくれるのかって驚きました。
つぶやき もう、こっちが逆にお辞儀しちゃいますよね。だって、無視するわけにもいかないじゃないですか。
――人生って難しいですね。
つぶやき そんな深い話はしてないですけどね。
――ひとつのつぶやきから、話が広がりますね。
つぶやき そうなんですよ。
――だから、飲み会とかにこの本を持っていくと盛り上がりそうですね。
つぶやき ナイスアイデア! 話が弾まないときに「これ買ったんだけどさ」って言って、ひとつずつ読み上げる。
――居酒屋さんとかでメニューと一緒に出すといいかもですね。
つぶやき 居酒屋さんとかバーとかに置いてあると、ひとりでいても暇つぶしになる。
――バーテンダーさんが「この中から今の気持ちに近いつぶやきを教えてくれれば、それに合ったカクテルを作ります」とか言ったりして。
つぶやき いやいや、そんなバーテンダーさんいないでしょ。
――バーテンダーさんが「あちらのお客さんからです」って、この本を出したりして。
つぶやき そんなんされたら「何? 気持ち悪い」ってなるでしょ。だんだん、本の宣伝じゃなくなってきてますよ。それに、これは「あるある」の本なのに「なしなし」の話になっちゃってますから。
――では、ありがとうございました。
つぶやき 終わり方が唐突だな。
●つぶやきシロー
1971年生まれ、栃木県出身。栃木なまりであるあるネタを披露するお笑い芸人。『昼めし旅~あなたのご飯見せてください~』(テレビ東京、毎週月~金曜12時~、火曜ナレーション)、『魅せます!とちブラ~とちぎブランド・ぶらり~』(とちぎテレビ、毎週土曜9時30分~)などに出演中。主な著書に『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館文庫)、『こんな人いるよねぇ~』(自由国民社)などがある。公式X【@shiro_tsubuyaki】
■『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね』
小学館 1760円(税込)
2009年から現在まで、約15年にわたり「X(旧ツイッター)」に毎日のように「あるあるネタ」を投稿し続けているつぶやきシロー。その"つぶやき"の中から本人がセレクトした"ちょっと哲学的(!?)"な165作品を収録したのが本書だ。さらに、各つぶやきには"追いつぶやき"として、ひと言追記してあり、この追いつぶやきが、さらに味わいを深めている。この本を読めば「人生とは何か?」がわかる......かもしれないし、わからないかもしれない