今春に高校卒業を迎えた4名の注目女優を撮り下ろし。教室に響く声、放課後歩いた帰り道、思い出だらけの制服姿__。青春の記憶と今しかない輝きを閉じ込めた卒業写真とともに、高校時代の思い出や今後の目標について語ってもらった卒業記念インタビューをお届けします。

今回は、18歳にして芸歴14年の伊礼姫奈。ドラマ&劇場版『推しが武道館いってくれたら死ぬ』など、高校の3年間だけでも15作以上の作品に出演していた実力派女優だ。

――4歳から芸能活動をスタートし、2021年に「根岸姫奈」から「伊礼姫奈」に改名。新しい名前での活動がスタートしたのはちょうど高校生からですよね?

伊礼 高1の4月からです。高校受験のときにお仕事を続けるか迷ったんですけど、女優として頑張っていきたくて心機一転の意味で名前を変えました。沖縄のおばあちゃんの旧姓「伊礼」をいただいたら、すごく画数も良かったんです。

――高校時代は代表作といえる作品がいくつかありますが、その中でも印象に残っている作品は?

伊礼 配信ドラマ『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』(DMM TV)ですね。空を飛んでいるワイヤーアクションとか、今までやったことのないことを全部つめ込んだくらいのボリューミーな作品でした。手から火が出る超能力が使える役を演じたんですけど、その仕込みとかCGを想定したお芝居などいろいろなことを経験できて、楽しみながら撮影しました。

――俳優さんって役に入り込みすぎちゃうタイプと、オンオフ切り替えられるタイプがいるじゃないですか。どっちだと思いますか?

伊礼 切り替えられるタイプですね。撮影前のスタンバイのときも共演者の方々としゃべりますし、撮影が終わった瞬間からケロッとして(笑)。ただ、『EVOL』だけはちょっと役が残っちゃったんですけど。

――手から火が出ちゃいましたか?

伊礼 火は出せなかったです(笑)。役づくりでずっとにらむような目つきをしていたので、その頃の写真を見返すと目つきが悪くて。お母さんにも「普段とは全然違ったよ」って言われました。

――では、高校生活で一番頑張ったことは?

伊礼 学校とお仕事の両立ですね。高校生になってお仕事の質も変わって作品に深く携わることが増えて、一生懸命追いつきながら勉強もしなきゃいけない状況で。それこそ『EVOL』の撮影と映画『推しが武道館にいってくれたら死ぬ』の公開が重なった時期は、人生の中で一番大変だったかもしれないです。撮影の途中に地方行って舞台挨拶してまた撮影戻って、さらに期末テストも近くてうわ~!ってなりながら頑張っていました。

――地方に行っておいしいものを食べるって感じじゃなかったんですね。

伊礼 おいしいものはいっぱい食べたんですけど(笑)。地方を満喫するっていうより、今あるものを一生懸命やって終わったら切り替える繰り返しでした。テスト勉強は新幹線とか移動中に頑張っていましたね。

――それだけ忙しい中でも高校生っぽい思い出は?

伊礼 学校の食堂での思い出はあります。朝に食券を買わないと人気メニューは売り切れちゃうので、朝買った食券を握り締めながら授業を受けて、お昼のチャイムが鳴った瞬間にバーっと階段を駆け降りて並ぶんですよ。それで「コロッケそば」を食べました。

――学食にコロッケそばなんてあるんですね。

伊礼 学食にしかないと思っていたんですけど、また食べたいなと思っていたら3店舗くらいで見つけて。お蕎麦屋さんでは意外とあるメニューでした。お蕎麦にコロッケが丸ごと乗っていて、素朴なのにすごくおいしいです!

――高校生活でやり残したことはありますか?

伊礼 学園祭ですね。学校行事の思い出があまりないんですけど、ドラマや映画だとなんだかんだ学園祭を題材にすることが多いので体験してみたいです。

――学園ドラマではよくあるシーンですよね。お化け屋敷とかカフェとかやって。

伊礼 そうそう、学園祭でメイド喫茶とか憧れます! あとは放課後、男の子と一緒に帰ったことがなかったので、制服デートでドキドキする役とか(笑)。自分ができなかった分、お芝居の中でリベンジできたらいいですね。青春を取り戻したいです!

――最近はJTBの海外旅行CMにも出演中。オーストラリアから始まって5カ国くらい旅していますね。

伊礼 オーストラリアが人生初の海外でした。自分ではなかなか行けないんじゃないかって場所に行かせていただいて、おいしいものを食べさせていただいて、どの旅も思い出深いです。

――CM出演に起用されたのは、海外旅行が未経験だったからとかあるんですか?

伊礼 最初は国内で撮影したんですよ。でも、海外行ったことないのに「海外行こう」って言うのは変じゃないかって、じゃあ行っちゃおうって連れて行ってくださって。人生で初めて行く場所でいろんな体験ができたので、海外旅行の魅力をそのまま伝えられたのかなって思います。こんなに楽しんでいいのかなってくらいに素が出ちゃって、それを皆さんにお見せするのはちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。

――やっぱり初海外の仕事ってウキウキしたんじゃないですか?

伊礼 実は、最初は「日本にいたい......」みたいな気持ちでした。私、基本は家にいたいってくらいインドアで、一歩踏み出して挑戦することが苦手だったんです。だから、初めての海外旅行も怖かったんですけど、行っちゃえば楽しいことばかりで! やったもん勝ちというか、やってみることの大切さに気づかされました。

――旅って価値観変わるって言いますけど、すごい変化ですね!

伊礼 私にとっては大きな変化だと思います。それからは制服買って"制服ディズニー"に行くとか、気になるお店があったら調べて提案するようにもなって。行動範囲が一気に広がりました!

――旅行するならどこ行きたいですか?

伊礼 フランスのパリに行ってみたいです。キレイな街並みを見ながらお散歩したくて。国内だったら長野県に牛が放牧されているキレイな高原があるので行ってみたいのと、岩手県に行って郷土料理の「ひっつみ汁」を食べに行きたいと思っています。

――旅の目的がちゃんとあっていいですね! では、高校卒業後の目標は?

伊礼 第一の目標は、この世界で頑張っていい作品を皆さんに届けること。お仕事を頑張りつつ、たまに寄り道をしながら興味のあることにも挑戦してみたいです。

――今後、女優としてはどんな作品に出会いたいですか?

伊礼 人間関係や社会問題とか、生きていくなかで葛藤している姿を描いた作品に出られるといいなと思います。憧れの女優さんは清原果耶さんと杉咲花さんなんですけど、お二人ともメッセージ性のある作品に出演されることが多いじゃないですか。私も作品に出て自分が満足するというより、自分が出たことによって何かひとつでも届けられるといいなと思います。

(スタイリング/米丸友子 ヘア&メイク/鷲塚明寿美)

●伊礼姫奈(いれい・ひめな)
2006年2月7日生まれ 群馬県出身。
◯4歳から芸能活動をスタートし、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の少女期でレギュラー出演。近年もドラマ&劇場版『推しが武道館いったら死ぬ』や映画『シンデレラガール』など多数出演。公開中の映画『毒娘』、6月7日(金)公開の『違国日記』など出演作が続く。
公式Instagram【@himena_irei】