武井壮いわく「『武井は普通の俳優じゃ撮れない映像が撮れる』というのが強みになると思う!」 武井壮いわく「『武井は普通の俳優じゃ撮れない映像が撮れる』というのが強みになると思う!」

ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。前回からの対談相手は「百獣の王」武井壮さん。海外の映画に出演している武井さんは、ゴルフのティーチングプロの試験に合格するなど、スポーツにも真剣に打ち込んでいる。その理由と今後の目標を語ってもらった。

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ひろゆき(以下、ひろ 前回は、武井さんがインド映画に続き、タイ映画にも出演することになり、俳優業で世界進出しているという話でした。んで、僕的には、役者とアスリートの能力はけっこう似ている気がするんですよ。どちらも理想的なイメージ像があって、そのとおりに体を動かそうとする。そう考えると、運動神経抜群な武井さんは、演技も抜群にうまいという仮説を持っているんですけど。

武井壮(以下、武井 僕がお芝居で意識しているのは、なるべく日常のしぐさのままセリフが出てくる感じなんですよ。「こういうふうに体を動かそう」と考えると途端に芝居くさくなっちゃう。だから、なるべく頭から体に指令を送らず、自然な反応をしようと思っています。それが正解なのかわからないけれど、スポーツにおける体に対する指令とは違う感覚ですね。

ひろ 俳優業を始めるにあたって意識したことってあります?

武井 いろんな人のお芝居を見ました。毎日、映画を1本は見ていましたね。しかも、この人だと決めて、ずっと見ていたんですよ。

ひろ 例えば?

武井 例えば、堤真一さんや役所広司さん、長谷川博己さんです。あと、岡田准一さんのアクションシーンはよく見ていました。実際に岡田さんにお芝居について聞いたことがあったんですけど、彼はカメラやレンズの種類を把握して演技をしているそうなんです。だから「あのカメラが収められる画角(映る範囲)はこれくらいまでだから、このシーンはこのへんからあのへんまでの間で動こう」みたいなことが全部わかっている。

ひろ 岡田さんの演技やアクションはめちゃめちゃ評価されていますけど、そこまで考えていたんですね。でも、アクションの世界って、そんな能力まで求められるんですか?

武井 例えば、ダイナミックな動きをしても、剣が画角に収まっていなかったらNGになるじゃないですか。

ひろ なるほど。

武井 だから、全体をぼんやり見るんじゃなくて、端っこにいたとしても「この人だ」と決めた俳優さんをずっと見るとけっこう発見があるんですよ。例えば、腕の位置。しゃべっているときはどうしているかとか。

ひろ 普段生活していると、まったく意識しないですもんね。

武井 でも自分がお芝居するとなると「あれ? しゃべっているときって、腕はどうしてたっけ?」と思うんです。それで、つい腕を組んじゃうと威圧的に映ってしまったり。腕の使い方ひとつで威圧感を与えたり、神経質な印象になったりするんです。そういう視点で映画を見たことがなかったから、去年はすごく学びの多い年でした。

ひろ 俳優の仕事が増えていく中で、映画を見まくるのはわかるんですが、武井さんはゴルフとかスポーツに費やす時間も増えているじゃないですか。それが不思議なんですけど。

武井 映画にはスポーツのシーンもあるじゃないですか。そのときにリアルにそのスポーツをやっていたらリアルな演技ができると思うんですよ。しかも、プロレベルの技術を持った俳優さんはあまりいません。そこで、僕は去年PGA(日本プロゴルフ協会)のティーチングプロのテストを通ったので、この時点で、地球上で類いまれなゴルフ技術を持った俳優になれるわけです。

ひろ 俳優業で忙しいのにスポーツに時間を費やしているのは、そういうことだったんですね。

武井 そうです。100m走をしても、たぶん俳優さんの中ではナンバーワンクラスだろうし、ピッチャー役なら変化球も投げられます。バッティングだって、柵越えできるレベルではある。お芝居の実力や知識、経験ではほかの俳優さんに負けているかもしれないけれど、「武井は普通の俳優じゃ撮れない映像が撮れる」というのが強みになると思うんです。

ひろ スポーツが強烈な個性になると。

武井 演技でもスポーツが生かせるだろうし、スポーツで鍛えた体の動きが、何か新しいエッセンスを生むことになるかもしれないという希望もあります。だって、世界のアクションスターって、みんな個性的じゃないですか。

ひろ というのは?

武井 韓国のアクションスターのマ・ドンソクさんはでかい岩みたいな体をしていて、とにかく一撃でみんなぶっ飛ばしてしまうパワフルさがある。ジェット・リーさんは中国武術の全国大会を5連覇したほどのレジェンドで、中国武術や武器を使わせると彼よりうまくできる人はいない。ジャッキー・チェンさんは、走るのを見るだけですぐに彼だとわかりますよね。

ひろ 言われてみれば、アーノルド・シュワルツェネッガーとかドウェイン・ジョンソンも個性は強いっすね。

武井 そして、その人たちが出演している映画を見ると「この人のこういうアクションが見たかったんだよ」という気持ちになる。だから「武井壮のこういうアクションを見たかった」というのを自分の中にも持ちたいんですよね。

ひろ 武井さんの場合はどうなるんだろう?

武井 車をとんでもないスピードで追っかけて、必ず悪者を捕まえるとか、トラックにひかれても全然効かないとか(笑)。

ひろ あー、なんか武井さんっぽいなー(笑)。

武井 だから、武井壮にしかない身体能力を持っていれば、それがいつか映像の個性になるんじゃないかなという希望を持ってやっています。

ひろ ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、武井さんの「足が速い」とか「いろんなスポーツがトップアスリートレベルでできる」って、一点突破型の人に比べるとわかりづらくないですか?「え、100m走? 野球? ゴルフ? いろいろあるけど、結局どれなん?」みたいに見えてしまう。

武井 でも、なんでもできることが個性になるともいえますよね。例えば、アクションシーンがテンコ盛りの映画もあるじゃないですか。全力で走っていて川を飛び越えたと思ったら、お皿を相手に投げたりする。あるいは棒をやり投げみたいに投げるとか。「なんか、こいつ地球にあるものはなんでも武器にできるぞ」みたいな。

ひろ あはは(笑)。そしたら自分で脚本を書いて、自分で映画を作って、Netflixに送っちゃえばいいんじゃないですか?

武井 いつかそういうこともやりたいなとは思っています。でも、まずは自分の個性を全部2〜5分くらいのショートムービーに詰め込んで、それを営業ツールとして、海外に持っていったら仕事が決まりやすいかなと思っています。

ひろ しかも、その国の言葉を話せなくても、動画を見せたら説明はいらない(笑)。だから、マネジャーさんも楽ですよね。

武井 「こんなヤツいるんだけどどうですか?」だけ言えればいい。

ひろ ただ、武井さんの個性はたくさんありすぎて、短くまとめられなくないですか?

武井 そうなったらパート2が出てもいいでしょ?(笑)

ひろ 確かに(笑)。

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■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 
元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など 

■武井 壮(So TAKEI) 
1973年5月6日生まれ。東京都出身。タレント、元陸上十種競技日本チャンピオン。格闘技、野球、ゴルフなど様々なスポーツの経験を持つ。公式Webサイトは【https://gogotakei.com】、公式Xは【@sosotakei

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