ヤマシタトモコ原作の同名コミックを映画化した『違国日記』が、6月7日(金)より全国で公開されている。
本作は、年齢も性格も環境もまったく違うふたりの同居生活を描いたヒューマンドラマ。人見知りで風変わりな小説家・高代槙生(こうだい・まきお)役を新垣結衣が演じている。
そんな本作で、両親を交通事故で亡くしてしまう槙生の姪・田汲朝(たくみあさ)役を演じているのが、新垣結衣と共にW主演を務める早瀬憩(はやせ・いこい)。ドラマ『ブラッシュアップライフ』や『うちの弁護士は手がかかる』などに出演し、最近はNHKの朝ドラ『虎に翼』でも注目された17歳だ。
今後も映画やドラマなど出演作が続く彼女に、映画撮影の裏話から休日の過ごし方などプライベートな話までを聞いた。
――映画『違国日記』は早瀬さん演じる15歳の少女・田汲朝が両親を交通事故で亡くすところから物語が始まります。突然両親を亡くしたら毎日めちゃくちゃ泣いて気持ちが沈むと思いますが、わかりやすく悲しむような描写があまりなかったですよね。むしろ、事故のあともぐっすり眠れちゃうコでしたが、どういう気持ちで演じていたんですか?
早瀬 演じるうえで、そこは難しいところでした。ただ、原作のマンガには「親が死んできのう葬式だったのによく寝た」とか、「ドラマだったらわーっと泣くのに」みたいな心情描写もあるんです。最初は号泣もしないし涙も出ないけどどこか心にポカンと穴が空いたような、唖然としているような感覚を持ちながら、感情の変化を意識して演じていました。
――朝を演じていて自分と似ていると思う部分はありましたか?
早瀬 朝は自分に自信がないんですけど、私も一緒だなと思いました。あと自覚はないんですけど、撮影現場では「朝と一緒で犬っぽいね」と言われることがすごく多くて。もしかしたら、そこも似ているのかもしれません。
――どこが犬っぽいんですか?
早瀬 「飛び跳ねているところ」って言われました。新垣結衣さんとインタビューを受けているときもその話になって、結衣さんと会ったときに私は体で喜びを表現するらしいんです。飛び跳ねているんですって、無自覚に(笑)。
――そうなるくらいの関係性になれたんですね。新垣さんと2人のシーンが多かったですが、撮影の思い出は?
早瀬 家に2人きりで、朝から晩までずっと撮っている期間があって。雑談や真面目な話をしたり、漫画を読んだりお菓子を食べたり、本当の家にいるような時間を過ごしていました。私が撮影で行き詰まって悩んでいたときも、結衣さんが「言いたいことがあったら言っていいし、言いたくなかったら言わなくていいからね」と言ってくださって。その言葉がすごく響いて、救われました。
――本作は朝の学校生活のシーンも多く描かれています。中でも軽音部のライブシーンはカッコよかったです!
早瀬 バンドのライブシーンは、個人的にも思い入れが強かったです。撮影が決まった段階からボイストレーニングに通って、自主練もたくさんしていました。劇中歌『あさのうた』の作詞・作曲担当の橋本絵莉子さん、ボイストレーニングの先生や音楽プロデューサーさんなどたくさんの方々に助けていただいて。あと、あのシーンには槙生ちゃんいないじゃないですか。
――その場にはいなくて、別の場所でライブ映像を見ているシーンでした。
早瀬 そうなんですけど、結衣さんはライブシーンをずっと楽しみにしてくださっていて、「どうしても見たい」と実際は現場に見に来てくださったんです! 授業参観にお母さんが来てくれたみたいなうれしい気分で、「槙生ちゃんにいいところを見せなきゃ」という気持ちで撮影に挑みました。
――あと個人的に印象的だったのは、朝が廊下でスキップしながら歌っているシーン。とってもかわいくて好きでした! 撮影は一発OKでしたか?
早瀬 いや、実は何回か撮り直ししているんです...。撮影のあとに、監督から「憩ちゃんスキップ下手だね」って言われて(笑)。でも私、下手だって自覚がなかったんですよ! 映像をみたら確かにぎこちなくて、これからはスキップを練習しなきゃなって思いました。
――でも、あのぎこちない感じが朝ちゃんっぽくてよかったですよ。劇中で「大人はキレイ好きで掃除ができると思っていた」ってセリフがありましたが、早瀬さんもそういう大人のイメージってありますか?
早瀬 私もこの作品を撮る前は、大人ってなんでもできるみたいに思うところはありました。パソコンをカチカチしていたりスーツをカチッと着ていたり、ちゃんとしていてカッコいいけどちょっと堅苦しいイメージもあって。
でも、この作品で描かれているものを見て、私の中で大人がちょっと親近感のあるものになったというか、大人への怖さがなくなりました。大人でもできないことはいっぱいあるし、意外と子供なんだなって(笑)。
――ところで、この作品をきっかけに、髪型をショートにしたそうですね。『ブラッシュアップライフ』の頃はロングでしたし、『からかい上手の高木さん』のときは肩くらいでしたし、この1年だけでも作品によって髪型が違いますよね。
早瀬 そうなんです! 原作の朝役に合わせて『違国日記』のオーディションでちょっと短くして、役が決まってから人生初のショートにしました。外見が近づくことによって私と朝の距離も少し近づいた気がするので、切ってよかったなって思います。
――最近は出演作も続いていて、忙しいかと思いますが、お休みの日の過ごし方は?
早瀬 いつもより多く寝て、ダラダラしています(笑)。趣味というか、『違国日記』を機にベースを始めたので、お休みの日はさわっています。まだ全然弾けるレベルではなくて、ちょっと音を鳴らすくらいですけど!
――ベースは買ったんですか? もらったんですか?
早瀬 撮影が終わってから、自分で購入しました! 劇中でやってみたらすごく楽しくて、弾けるようになったらカッコいいだろうなっていう憧れでやっています。もっと練習して、いつかはもっとベースを弾く役もできたらうれしいですね。
――普段、どういう音楽を聴くんですか?
早瀬 いろいろ聞きますけど、最近ハマっているのはSUPER BEAVERさん。『決心』という曲のMVに出演させていただいたことがあって、そこからどハマりしてずっと聴いています。いつも歌詞に励まされていますね。
――今後、お芝居で挑戦してみたい作品のジャンルはありますか?
早瀬 うーん...、挑戦してみたいものはたくさんあって。学園ドラマだったりコメディだったり時代ものだったり、いろんなジャンルの作品に出てみたいなって思います。
――今年は、NHKの朝ドラ『虎に翼』にも出演。山田よね(土居志央梨)の壮絶な少女時代を演じました。
早瀬 朝ドラに初めて出させていただいて、これからのお芝居の糧になるような経験をさせていただきました。また出たいですし、時代ものも好きなので大河ドラマにも出てみたいです。
――どんな女優さんになりたいですか?
早瀬 お芝居が好きなので、息の長い俳優になれたらいいなと思っています。新垣結衣さんのようにみんなから愛される俳優にもなりたいですし、この人ならどんな役を任せても大丈夫って安心してもらえるような唯一無二の俳優になりたいです!
●早瀬憩(はやせ・いこい)
2007年6月6日生まれ 千葉県出身
NHK連続テレビ小説『虎に翼』や『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)など話題作に出演し、初主演映画『違国日記』が公開中。映画『あのコはだあれ?』は7月19日(金)から公開予定など、出演作が続いている。
公式Instagram【@ikoi_hayase_official】
公式X【@ikoi_hayase】
■映画『違国日記』は全国の映画館で絶賛公開中。詳細は公式HPをご確認ください。
(©2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会)