(左)安倍晋三元首相殺害事件をモチーフにした柴田哲孝氏の最新小説 (右)浅草キッドの相方・水道橋博士氏との関係、妻との別居など胸が詰まるエピソードが満載の玉袋筋太郎氏のエッセー (左)安倍晋三元首相殺害事件をモチーフにした柴田哲孝氏の最新小説 (右)浅草キッドの相方・水道橋博士氏との関係、妻との別居など胸が詰まるエピソードが満載の玉袋筋太郎氏のエッセー
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「2024年上半期私的ベストヒット」について。

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2024年も後半戦。上半期の私的ベストヒットを紹介する。

【①映像コンテンツ編】 

●劇場アニメ『ルックバック』 
原作は藤本タツキさんの傑作漫画。田舎から漫画家を目指す小学生二人の成長物語。一人は大ヒット漫画家に、もう一人は美大生に。タイトルの意味が感動的。何かを追いかけたことのある大人への最高のレクイエム。

1時間未満の作品だが、ずっと泣ける。隣席の泣き声もうるさかった。漫画家が描く漫画家に駄作なし。

●映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』 
ドキュメンタリーとしては不親切。時代考察も不明瞭。ただ『帰って来たヨッパライ』や『タイムマシンにおねがい』を生み出した天才の軌跡と奇跡が密度濃く記録される。

ヒット路線にとどまれなかったんだなあ。胸が痛い。世間に何かを売る人=全員にとって必見。

【②音楽編】 

●『Tomorrow is too much for me』Fried Banana Shop 
どこを切っても新しいポップス。メロディ、リズム、アレンジの洗練。前作『Videotape (feat. Teruko Konse)』も最高。現代人必聴の才能。

●『Masterplan』BE:FIRST
"日本的"から大きく逸脱。最初から最後まで異常なハイテンションでMVとの連携も最高。ライブに行きたくなる。先端の音楽が混じった奇跡。

●『GALLERY OF DESPAIR ― LIVE』THOUSAND EYES 
メタルのライブ盤の傑作。音が良すぎて驚く。怒り、緊張、疾走感、演奏技術。何だこの完成度は。少なくとも日本ラウド音楽の新境地であることは確実。

●『Ataraxia Of The Phoenix』Indication 
最高のハードコア。攻撃的で叙情的でドラマチックに展開する。必聴。

【③書籍編】

●『暗殺』柴田哲孝 
安倍晋三元首相をモチーフにした、ノン......いや違う。フィクションだ。暗殺の背後に海千山千、有象無象(うぞうむぞう)が跋扈(ばっこ)する。すぐに読める。私は陰謀論を信じないが、圧倒的な筆力と取材で納得させる。幻冬舎はよくこれ出したなあ。

●『美しく枯れる。』玉袋筋太郎 
40代と50代の男性は涙なしに読めないのでは。相方との確執。家族、とくに別居する妻とのくだりは胸が詰まる。中年はみんな寂しいね。

●『電通マンぼろぼろ日記』福永耕太郎 
広告業界の裏側を痛快に描く。クエンティン・タランティーノとのエピソードは爆笑。そして最後のエピソードでは落涙した。見事な構成。

【④モノ編】

●「ピアジュール メディカルボディフォーム」 
私は異常な汗っかきでワイシャツだと乳首が透ける。入浴前は汗だくでめちゃくちゃ。いろんなボディソープを使ってきたが、これが最高。臭いとかゆみが消える。

●「プレーリーカード」 
会社員のあいだで大人気。勧められて作ってみた。便利! 物理カードに相手のスマホをかざせば個人情報や趣味を伝達でき、連絡先登録してもらえる。

SDGs的観点からも紙の名刺を減らせるし、なにより商談時に会話が盛り上がる。「え、週プレで連載しているんですか。読んでみます」と本誌売上増にも貢献した。

【最後に】みなさんの推薦商品があったらSNS等で教えていただければ幸い。日本全体で個人消費の復活を祈る!

『経済ニュースのバックヤード』は毎週月曜日更新!

坂口孝則

坂口孝則Takanori SAKAGUCHI

調達・購買コンサルタント。電機メーカー、自動車メーカー勤務を経て、製造業を中心としたコンサルティングを行なう。あらゆる分野で顕在化する「買い負け」という新たな経済問題を現場目線で描いた最新刊『買い負ける日本』(幻冬舎新書)が発売中!

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