明知真理子あけち・まりこ
洋楽ロック雑誌出身のエディトリアルライター。ビジネスからカルチャーまで幅広く取材・執筆に携わる。旅と本とルチャリブレ好き。バイクのスタントもこなす。
X(旧Twitter)【@marippejapan】
いま女子プロレス界で至高の存在感を発するジュリアが8月5日(月)発売『週刊プレイボーイ34・35合併号』で水着グラビアを披露! ついに海外メジャー挑戦も決定! 真っ青な炎のように熱くいまを生きる姿に刮目(かつもく)せよ!
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――グラビアでは、リング上のオラオラなジュリア選手からは見られない女のコな部分も見せてくれました!
ジュリア これまでスターダムやスポーツ誌でグラビアを披露したことはあったけど、撮影は試合写真を撮ってくれる顔馴染みのカメラマンさんが多かったんです。
今回は初めての方々だったので、一緒に新しいジュリアを発見できたかもしれないです。でもコスチュームを着て「ジュリア」になるとスイッチが入るけど、布の少ない衣装は恥ずかしい。緊張しましたよ。
――緊張!? 完全にスターのオーラが出てますけど。
ジュリア まあこの顔なんで、キマっちゃってスミマセン(笑)。でも子どもの頃は嫌なことばかりでしたよ。中身は全然派手な人間じゃないし、家の飲食店を手伝っていた頃も、酔ったお客さんに「かわいいね、デート行こうよ」なんて言われるのもすごく嫌でした。プロレスラーになってからようやくですよ、この顔で得してるのは。
――4月にアメリカの団体・WWEの視察に行かれた際は観客席で大声援を浴びていました。世界がジュリアを待っています!
ジュリア 待たせちゃってます(笑)。でももともと、「海外には絶対行かない」ってずっと言ってたんです。
――それはなぜ?
ジュリア 日本の女子プロレスには課題があるのに、放置したまま行けないですよ! 夢を持ってプロレスをやりたいと思った女性たちが「やってらんねえよ」って続けられなくなるような現実だと、女子プロレスは衰退してしまうから。そんな危機感を感じて、私がなんとかしないとダメだって。
――今月発売の自叙伝『My Dream』(ホーム社)でも、デビュー時の給料が月2万だったとか、具体的に課題を提言してます。
ジュリア それを書けたのも今は改善されたからですけどね。でもまだまだ業界として発展途上。女子プロレスって特殊な世界ではあるけど、いくら頑張っても報われない世界であってはいけない。給料も野球選手みたいにオープンにしていいと思う。
その中でスターダムはしっかりした企業で、女子プロレスに明るい光が差したんじゃないかな。だからこそもっと良くしたいし、現実を伝えてクリーンな世界にしたいと思った。だから書くって決めました!
――やると決めたら有言実行!
ジュリア 炎上しないか心配です(笑)。
――自叙伝では、イタリア人の父との生活や家業のレストランの経営悪化、自分探しに行ったアメリカ留学、キャバクラでのバイトまで、私生活をかなり赤裸々に綴っています。
ジュリア 最初は書くつもりはなかったんです。でも自分のことは書かずに業界の課題だけ書いてたんじゃ暴露本に終わってしまいそうだし、書いた方が内容が伝わるなと思った。
例えば、自分がお金に苦労した経験から金銭的な部分にシビアになったことも書けば課題がリアルに伝わるし、今、同じ悩みを持つ若いコにも届けたかったので。
――ここでジュリア選手のキャリアを振り返ると、2017年10月、女子プロレス団体「アイスリボン」でデビューしてからまだ7年弱。その間にチャンピオンにもなり、女子プロレス大賞まで獲得し、もはや日本女子プロレス界のエースともいえる存在感です。
ジュリア このあいだ振り返って自分でもびっくりしました!
――そもそもプロレスを始めたきっかけは「私でも勝てる」と思ったことだそうですね。
ジュリア 最初見た女子プロレスの印象が最悪だったんですよ。アイドルみたいなコスチュームで試合中もニコニコ笑っていて、なんというかおじさんに媚びるスタイルでやっている。それを見て私はもう吐き気がして「こんなの戦ってないし、この人たちケンカしたことないでしょ!」って。だから最初はそういうやつらをボコボコにしてやりたいと思ってました。
ですが! 実際に入ってびっくりですよ。スポーツ経験も格闘技経験も一切ない私には練習メニューがめっちゃキツくて「こんな厳しい練習を、アイツもコイツもみんな乗り越えてやってきたわけ!?」って衝撃で、これはナメちゃいかんな......って反省しました(笑)。
――2019年11月、スターダムに電撃移籍した時は大きな批判もありましたが、そこからの開花の仕方は爆発的でしたね。
ジュリア アイスリボン時代に金銭的に追い込まれてプロレスを続けられるかどうかの決断を迫られて、プロレスを続けたい一心でスターダムに移籍したときは、批判も厳しい意見もたくさんいただきました。ただ、その批判を浴びるなかで、ジュリアというプロレスラーが磨かれていきましたね。
一番大きな経験は、新日本プロレスの2020年1月4日の年間最大興行・東京ドーム大会にスターダム代表で出たこと。ファンや関係者からは「ほかにもいい選手がいる」と厳しい意見があったし、自分でもそう思った。
だけど出る以上はやり切らなきゃいけないし、何より「次はみんなが納得するジュリアとして立ちたい」という目標ができた。だからその1年を頑張れて、女子プロレス大賞も獲得でき、翌年の東京ドームには堂々と立つことができた。
でも、デビューからすべてはつながっているんです。アイスリボンでも練習は外部コーチも来てしっかりしていたし、バイトの掛け持ちで寝る間もない厳しい時代に、私のアイデンティティでもある反骨心が培われた。だから私はアイスリボンで生まれてよかったなって思ってます。
――詳しくは本を読んでいただくとして、なぜ行くつもりのなかった海外へ挑戦することに?
ジュリア 「女子プロレスをもっと知ってもらいたい」って気持ちを選手たち全員が持っているんです。でも、具体的にどうやるの?って聞くと、答えられる人がいない。
それは大きな組織的課題も変えなきゃいけないから。それには私の存在はちっぽけで、今のジュリアがああだこうだ言っても説得力がない。本当に変えたいなら、まず自分が大きな存在にならなきゃいけない。よし分かった、海外でもっと大きな存在になろうって。
――女子プロレスを変えるという使命感で海外に行くと!
ジュリア もちろん新しい敵と対峙して上回ってやるって楽しみもありますよ。その上で帰ってきたら私がまともな世界にしてやろうと! だから絶対に結果を残さないと帰れないですよ。
実は数年前から声はかけてもらっていて、断り続けていたんです。その中で考え方が変わっていって、タイミングも今がベストだと思いました。最後の冒険です。
――"狂気のカリスマ"として常に戦っているイメージ。でも大きな存在になると敵も増えそうです。ひるみませんか?
ジュリア すでに敵だらけだし、生まれた時から戦ってるんで。イジメ、偏見、理不尽......先輩にも散々ケンカ売ってきたし。常に何かと戦ってないと生きていけないんですよ。それが私の生きる力。
――"お騒がせ女"として思ったことはハッキリ言いますね。
ジュリア 黙ってられないんで! 「コイツに言うこと聞かせるには......」って戦略をたてるのは昔から好きです。でも媚びるタイプではないから、下からお願いはできないかな(笑)。
プロレスラーになった頃は、男性に「腕相撲しようよ」とか言われて、ナメられてるなって嫌だったし、「昔の女子プロレスはすごかったんだよ」って今は見ていない人に言われると、カチンとくるじゃないですか。そんなのは知ってるし、今もすごい人いるからっていつも怒ってました。
――女子プロレスをナメんなと。
ジュリア でもナメられる自分や今の時代の選手にも問題はあるなと。昔はあんなにはやっていたのに変わってしまった原因はたくさんあるから、業界の構造も自分たちの意識も変えなきゃいけないと思う。
――ほかの選手の面倒見も良く、弱者の味方というイメージも。
ジュリア なんだろうな、ポツンとしてるコに興味を持つんです。そういうコって話してみるとすごいアイデアを持ってたり芸術肌だったりする。
その声を拾えば団体もオリジナリティが生まれるし、声が大きい人のビミョーな話よりもずっと価値がある(笑)。自分の意見を言えない人もいるけど、そんな人が何も言えない狭い世界はもったいないと思う。
――どこまでも団体と女子プロレスのことを考えてるんですね。7月には所属するマリーゴールド初のビッグマッチが両国国技館でありました。ジュリア選手は手首の骨折で直前まで出場すら危ぶまれていました。間に合ったもののメインの試合で敗れ、エースなのに団体初の王者にはなれなかったという......。
ジュリア 悔しかった。人生で初めて人に嫉妬しました。私の前にWWEのイヨ・スカイがきっとすごい試合を見せだろうし、この団体を背負ってメインを務めるのは大変な責任だとわかってた。でもいつものジュリアでいられなかった。
結果、負けてベルトも獲れず「私、なにやってるんだろう」って思いました。あそこまでネガティブな感情を抱いたのは初めてです
――嫉妬や恨みをむき出しで女たちが戦うのも女子プロレスの面白さだと言ってますね。
ジュリア そう。恨みつらみでドロドロしてて......って言ってたけど、今まではぶつけられる側。今回「これが女子プロレスかあ!」って思い知った(笑)
――常に新しい女子プロレスを見せてくれるジュリアですが、目指すレスラーはいますか?
ジュリア いえ、誰かのようにというのは考えたことがないです。自分は自分なので。
――自分を3つの言葉で表すと?
ジュリア 「だらしない」「一人じゃ何もできない」(笑)。「諦めない」。オン、オフは大事に。マジでみんなに支えられて生きてます。
――最後に海外挑戦の抱負を!
ジュリア アメリカでもケンカスタイルのジュリアを貫きたいですね。だって海外のファンの人たちが知ってくれたのも、日本でやってきたこのジュリアですから。そのうえで世界レベルの技術をしっかり身につけて、大勢の前で試合がしたい。
デビューしたての頃は一番少ない時で30人。そこから7万、8万人、それ以上のお客さんの前に立てるジュリアを目指します。まだ誰もやったことないことをやってやりますよ!
スタイリング/上野 珠 ヘア&メイク/佐藤ありさ(GiGGLE)
●ジュリア
1994年2月21日生まれ 英国ロンドン出身
○2017年、アイスリボンでプロデビュー。スターダムを経て今年4月新団体マリーゴールドに移籍。海外メジャー挑戦が決定! 今月23日には自叙伝『My Dream』(ホーム社)が発売される。
公式X【@giulia0221g】
公式Instagram【@0221giulia】
●『My Dream ジュリア自叙伝』
ホーム社 1870円(税込) 8月23日(金)発売!
★『週プレ プラス!』では、本誌未掲載のアザーカットなどスペシャルコンテンツを公開!【https://www.grajapa.shueisha.co.jp/plus】
洋楽ロック雑誌出身のエディトリアルライター。ビジネスからカルチャーまで幅広く取材・執筆に携わる。旅と本とルチャリブレ好き。バイクのスタントもこなす。
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