「知り合いにラガーマンは多くいるけど、 付き合っていて気持ちが良くて頼りになる」と語る武井壮 「知り合いにラガーマンは多くいるけど、 付き合っていて気持ちが良くて頼りになる」と語る武井壮

ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。キックボクシングをやっていたというひろゆき。その理由を聞いていくうちになぜか、ビジネスで役立つスポーツは何かという話題に......。〝百獣の王〟武井壮さんとの対談は最終回になります。

***

武井壮(以下、武井 ひろゆきはキックボクシングの経験があるって聞いたけど、そもそも何がきっかけだったの?

ひろゆき(以下、ひろ 何かスポーツをしようと思ってもチームワークが苦手で、球技もあまり得意ではないんですよ。んで、重量挙げのような目的がはっきりしない運動には面白みを感じない。すると格闘技が残るじゃないですか。ということで、大学でキックボクシング愛好会に入ったんです。

武井 相手を倒すのが楽しい?

ひろ いや、それより倒されないようになることが目的です。

武井 なるほどね。確かに、ひろゆきのSNSを見ていると、相手へのファイティングポーズの取り方とか、格闘技経験が生きている気がするな(笑)。

ひろ 実際に、格闘技経験があるかどうかで、他人に対する接し方も変わってくると思うんです。一対一になったときに「マズい」と考えるか、「大丈夫」と考えるかの違いは大きいじゃないですか。

武井 まあ、格闘技の技能を身につけておいて損はないよね。特に自分の身を守る意味では。

ひろ ビジネスでもフィジカルってけっこう大事だと思うんです。まったく同じ発言や提案、行動をしても、肉体的に強そうかどうかで相手に与える印象って大きく変わるじゃないですか。例えば、打ち合わせで大人がぞろぞろと大勢で押しかける場面ってありますよね。説明するだけならひとりでも十分なのに、大人数で来るとなんか圧倒されます。

武井 そういえば、代理店とかの人って、ラグビー経験者が多いよね。自己紹介で「○○大学でラグビーをやっていました」ってよく聞くよ。

ひろ ですね。よく「体育会系は就職に有利」とかいわれますけど、特にラグビー部出身は人気が高いし、それに出世する人が多い気がするんです。ほかのスポーツのほうが競技人口は多いはずなのに。

武井 それってラグビーという競技の特性が影響してるかもね。ほら「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)」的な精神があるじゃん。だから相手をサポートする優しさもあるし、自分がボールを持ったときには痛みもいとわず突進する勇敢さと突破力もある。

ひろ そう考えるとビジネスシーンで求められる能力はバッチリそろってますね。

武井 知り合いにもラガーマンは多くいるけど、付き合っていて気持ちが良くて頼りになるよね。困ったことがあったら相談に乗ってもらえそうだなと思わせる雰囲気がある。

ひろ 肉体的にも精神的にも我慢強い人が多いですよね。

武井 だからこそ、仕事の現場でも重宝されるんだろうね。

ひろ 出世する理由でいえば、あとはコネのつくりやすさもあると思うんです。例えばサッカー経験者だと「俺も高校のときにサッカーやってました」程度で会話が終わるじゃないですか。でも、ラガーマンの場合は「え、ラグビーやってたの?」みたいな感じで盛り上がる。勝手に仲間意識が芽生えると思うんです。このラガーマン同士の仲間意識の強さが、ビジネスの世界でも重要になってくるんじゃないかと。

武井 実は陸上競技もラグビーと似たような条件ではあるんだよ。野球やサッカーに比べたら競技人口は少ない。それに「私も○○大学でリレー選手として走っていて、インカレにも出場しました」って言われることもある。特に長距離の選手なら肉体的にも精神的にもタフなはずでしょ。でも、偉い人のラガーマン率はほかのスポーツを圧倒してるよね。

ひろ 個人競技とチームスポーツの違いですかね。チームスポーツって目配りやコミュニケーション能力が必要じゃないですか。一方で、陸上競技は言葉が通じない外国人選手でも速く走れれば結果を出せる。

武井 あと、ラグビー経験者が出世しやすいのは出身大学の影響が大きいかも。例えば、東京六大学(東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、立教大学、法政大学)みたいな難関大学は強いラグビー部が多い気がする。

ひろ つまり、ほかの部活経験者に比べると、ラガーマンは学歴も高くなりやすいと。あと、その後の人生が有利になるスポーツでいうと、最近は卓球がけっこう稼げるという話を聞くんです。

武井 確かに、今、日本の卓球のレベルはなり高いよね。

ひろ しかも、アジアの卓球の技術は高いので、欧米に行けばプロになりやすいみたいですし。

武井 卓球のプロリーグ「Tリーグ」も報酬がいいって聞くよね。スポンサーもつきやすくなってきてる。

ひろ でも、「卓球=稼げる」というイメージは、まだそれほど認知されていませんよね。

武井 ただ、卓球は大人になってから始めても、小さい頃からやっている人の技術にはなかなか追いつけない。後からフィジカルだけで追い抜きにくい。

ひろ バレエやフィギュアスケートなんかは10代でピークが来るといわれていますし、サッカーもテクニックは小さい頃から身につけたほうがいい。こうした手遅れになる系のスポーツを若いうちにやっておくのが一番コスパがいいかもしれませんね。

武井 そう考えると、高校くらいから始めてもなんとかなるし、将来的にも有利なのがラグビーという結論になってしまいそう。

ひろ ラグビーは高校から始める人が多いですもんね。

武井 高校から始めて日本代表になった選手も多いからね。

ひろ 比較的遅くからでも参入しやすく、社会でも成功しやすい。やっぱり「ラグビー最強説」はありそうですね。んで、今回が対談のラストということで、編集さんから「対談を通じてお互いの印象が変わったかどうか」というお題が出てます。

武井 本田圭佑さんが立ち上げたサッカークラブで一緒だったこともあって、ひろゆきと絡むことはあったけど、いつもお酒を飲んでいるイメージがある(笑)。でも、実際に対談してみると話を展開したり、まとめに向かって軌道修正したりする能力が高いと思った。だから、それこそラガーマン的な資質があるんじゃないかな(笑)。

ひろ あはは(笑)。武井さんって世間的に本能的に生きているイメージがあると思うんですけど、実際にはかなり頭を使って長期的な視点を持って行動してますよね。それを対談で深掘りできたのが面白かったです。しかも、思っていたよりも海外戦略が進んでいることにも驚きました。

武井 詳しいことはまだ言えないんだけど、スマホを使って世界を舞台に面白いことが起こせるかもしれないので、それも期待してほしいな。この対談はリモートだったけど、近いうちにリアルでも会いたいね。だから、ごはんでも行きましょう。

ひろ あ、ごちそうさまです!(笑)。ということで、長い間ありがとうございました。

武井 こちらこそ、ありがとうございました!

***

■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 
元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など 

■武井 壮(So TAKEI) 
1973年5月6日生まれ。東京都出身。タレント、元陸上十種競技日本チャンピオン。格闘技、野球、ゴルフなど様々なスポーツの経験を持つ。公式Webサイトは【https://gogotakei.com】、公式Xは【@sosotakei

★『ひろゆきの「この件について」』は毎週火曜日更新!★