仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダーガヴ』のオンエアを記念して、今年も『週刊プレイボーイ』のスペシャルイシューが発売! 9月17日に発売された40・41号では「歴代仮面ライダーヒロインが大集結!!」と題し、仮面ライダー女優たちが登場。水着グラビアの最新撮り下ろしやインタビューなど、今回も仮面ライダー愛がほとばしる内容となった。

その特集により歴代ヒロイン4名のインタビューを、週プレNEWSに再掲載。今回は『仮面ライダーW』(2009~2010年)で鳴海亜樹子役を演じた山本ひかるさんが登場。亜樹子は父親を追って大阪からやって来た鳴海探偵事務所の所長。スリッパを片手にツッコミを入れる20歳の関西娘で、主人公・左翔太郎(桐山漣)とフィリップ(菅田将暉)と共に事件を解決していくヒロインだ。今回の取材では、当時の心境や役への思いなどを語ってくれた。

――『仮面ライダーW』の出演が決まる前から、特撮のヒロインオーディションを受けていたそうですね。

山本 3回目くらいの挑戦で決まったのが『仮面ライダーW』でした。有名な作品に出て自分をもっと知ってもらいたかったですし、やはり女優というお仕事をやる上で"ヒロイン"という言葉には憧れます。

――ヒロインの鳴海亜樹子役は、主人公たちと一緒に事件を解決していく探偵事務所の所長。関西弁を話し、スリッパを手にツッコミを入れるキャラは、大阪出身の山本さんに合わせた設定だったんですか?

山本 いや、元々あったと思います。(自分も)大阪出身ですし、オーディションのときから「このキャラならいけるんじゃないか」と手応えがあったんですよ。監督の前で、亜樹子を思わせる活発な女のコのセリフを読んでいったのですが、「もうちょっと面白く」「緩急つけてみて」などその都度、要望に応えるのも違和感がなくて、ただただ楽しかったのを覚えています。

山本ひかるさんが演じた鳴海亜樹子 ©石森プロ・東映 山本ひかるさんが演じた鳴海亜樹子 ©石森プロ・東映

――決まってからは、どんな役作りを?

山本 特にはしなかったですね。撮影直前までパワーを温存して、本番にぶつけて気の向くまま演じていたんですけど、第1話から「これが鳴海亜樹子なのでよろしく!」ってほど、キャラが仕上がっていました。特に彼女のオーバーなリアクションは、私が幼少の頃から変顔や吉本新喜劇のモノマネをしていたからできた気がします。撮影で変顔をするたび、監督の笑い声が聞こえて、最高の気分でしたね(笑)。

――全49話ある中で、特に印象に残っているエピソードは?

山本 人を襲う人形"パペティアー・ドーパント"が出てくる回(第25話)です。

――探偵事務所に謎の依頼人・リコちゃんという少女が現れ、所長として事件解決に向けて活躍するお話ですね。

山本 少女であっても依頼人を思い、受けた依頼を守り抜く亜樹子の優しさ、芯の強さが出ていて、すごく好きなエピソードです。人形に襲われるシーンも印象的でした。実際に動くわけではないので、自分で人形を動かしながら「キャー!」と叫んだりして(笑)。まるで人形遊びをしているみたいで楽しかったです。

――『仮面ライダーW』は、主人公・左翔太郎、フィリップの二人で一人の仮面ライダーに変身。変身中はどちらかが意識を失ってしまうため、その気絶した体を守っている役でもありました。そのためバトルシーンに度々登場しますが一緒に戦うわけですから、令和シリーズに登場するヒロインのように変身してもおかしくないキャラですよね。

山本 私自身は、バトルシーンにも亜樹子の姿のまま存在できたことがうれしかったですね。あと変身するヒロインもステキですけど、生身だからこそ仮面ライダーたちの強さをリアルに表現できたと思っています。もちろん変身には憧れましたよ。一度だけ夢の中で変身した回(第29話)では、スーツアクターの高岩成二さんが私の仕草を完コピしてくださって。アフレコしながら「うわ、めっちゃ亜樹子だ」って興奮したのを覚えています。

――現場の雰囲気はどうだったんですか?

山本 すごく温かかったですよ。みんな仲がよかったですし。仮面ライダーWの二人......桐山漣さん、菅田将暉さんとは撮影終わりにラーメンを食べて帰ったり、長い空き時間に近くのゲーセンに行ったりしました。当時は桐山さんが24歳で菅田さんが16歳、私が18歳くらいだったので、みんなで子供のように遊んでいましたね。劇中では敵対していた園咲家の皆さんとも楽しくやっていました。

――撮影で辛い思いをしたことは? 『仮面ライダー』の現場は、若手俳優が多いだけに指導が厳しくなることもあると聞きます。特に(カメラの画角を意識した)立ち位置は最初、ものすごく言われるとか。

山本 特にはないですね。私、立ち位置も完璧だったんですよ(笑)。一秒でも多く映りたい気持ちが強かった分、どんな場面でも隙間にスーっと入って行けて。もちろん自分では「ここはこう芝居しよう」などいろいろ考えて苦労した点もありましたけど、監督やカメラマンさんからはすごく優しくしていただいて、厳しくされた記憶はないです。

――じゃあ泣いたなんてことはなかった?

山本 辛くて泣いたことはないけど、思い入れの強い作品なので、オールアップのときはやはり泣きました。まぁ全員、泣いていたけど。『仮面ライダーW』は一人一人のキャラが魅力的ですし、物語がとてもしっかり作られている。特撮ヒーローものといった枠組みをとって、ドラマとして見てもすべてが完璧な作品だなと思います。

――ここ数年、東映のサイト「東映特撮ファンクラブ」では歴代女性キャストが出演するスピンオフ作品がありますが、鳴海亜樹子も2022年配信の『仮面ライダージャンヌ&仮面ライダーアギレラ withガールズリミックス』に登場しました。亜樹子はテンションが高く、コミカルで、変わらないままでしたね。      

山本 多くの方にそう言っていただくんですけど、うれしいです。『仮面ライダーW』の放映終了から10年以上が経ち、大人になった亜樹子をどう演じたらいいか最初は迷いがあったんですよ。撮影前に監督ともお話して、子供がいる設定なのでちょっと落ち着いた雰囲気を出そうかという話もあったんですけど、当時を知っている人が見ても亜樹子だとすぐわかる姿を理想としたくて、変わらないまま演じました。結果的に皆さんに喜んでいただけて良かったなと思います。

――『仮面ライダーW』は、歴代シリーズの中でも特に人気の高い作品。山本さんはいまも「鳴海亜樹子」のイメージで見られると思います。亜樹子ではなく、もっと山本ひかるとして、自分を見てほしいみたいな思いは?

山本 そんな思いまったくないです。だって、キャラクターを知って、愛してくれる人がいるわけですから、鳴海亜樹子として見ていただけるだけで十分、幸せですね。私にとって『仮面ライダーW』は女優人生で最高の作品のひとつ。"亜樹ちゃん"や"所長"と呼ばれると今も胸がワクワクするので、むしろ「はい、所長です!」って自分から言っちゃいます。

――山本さんにとって、鳴海亜樹子とはどんな存在ですか?

山本 これから先、いや一生付き合っていく、もうひとりの自分ですね。10年、20年経つとルックス的にも難しいことも出てきますけど(笑)、なるべく当時の亜樹子でいられる状態を維持していきたいと思います。またいつ鳴海亜樹子を求められるかわからないので、いつでも出せるように。役者として、このキャラをずっとできる山本ひかるでありたいです!

●山本ひかる Hikaru YAMAMOTO
1991年2月28日生まれ 大阪府出身 
◯『科捜研の女 season24』(テレビ朝日系)など同シリーズにレギュラー出演。女優業を続けながらプロ競技麻雀団体「RMU」所属のプロ雀士としても活躍中
公式X【@yhikaru0228】
公式Instagram【@hikaru0228yamamoto】