選挙ボランティアの経験もある、選挙大好き芸人「ゆかいな議事録」の山本期日前 選挙ボランティアの経験もある、選挙大好き芸人「ゆかいな議事録」の山本期日前

2024年10月27日に投開票が行われる衆議院選挙。その前に、大の選挙好きを公言し、選挙ボランティアの経験もある芸人「ゆかいな議事録」の山本期日前にインタビューを実施。インタビュー前半では選挙前に知っておきたい、自分に合った候補者の選びかたや選挙を楽しむための方法などをお聞きしたが、インタビュー後半では、今回注目の選挙区を語っていただく。

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■山本期日前が注目する選挙区は?

――今回の衆院選で、面白い展開の選挙区はありますか?

山本 沖縄4区がまさにその典型例ですね。ここでは「山川一家の長男と三男が、それぞれ違う政党から出馬する」という、まるで昼ドラのような展開が選挙の舞台で繰り広げられます。

僕たちの考える政治のイメージといえば、家族一丸となって選挙に向き合うイメージが強いかと思いますが、長男の山川泰博氏は日本維新の会から、そして三男の山川仁氏はれいわ新選組から出馬。まさにイメージとは真逆の「山川家の分裂」が起きているんです。

しかも「日本維新の会」と「れいわ新選組」は政策的にも相いれない政党で、そこも一層ドラマチック。兄弟のどちらが高い得票数を得るのか? 両親はどちらに投票するのだろうか?などなど、いろんな意味で目が離せない選挙区になります。

――他にユニークな選挙区はありますか?

山本 茨城7区ですね。この選挙区は、かつて選挙界において一際目立っていた「無敗の男」こと中村喜四郎氏の選挙区であったことで知られています。この中村喜四郎氏は、元々は自民党に所属していたものの、一度逮捕を経た後は無所属で選挙に挑み続け、所属を失ってもずっと負けることなく勝利を重ねてきた選挙の強者なんです。

中村喜四郎氏のエピソードは掘り下げるとなかなかユニークで。まず、この「中村喜四郎」という名前。実は出生時の名前は「中村伸」だったのですが、選挙に勝つための戦略として父親の名前「中村喜四郎」に戸籍名ごと変えたんです。さらに、選挙活動ではバイクに乗って登場し、エンジン音をブンブンと響かせながら有権者のボルテージを盛り上げていくスタイルを採用。迫力のある演出で選挙のたびに地元を沸かせていました。

そんな「無敗の男」中村喜四郎氏が今年ついに引退。そして息子の中村勇太氏が同じ茨城7区から出馬します。果たして息子は父親のような圧倒的な存在感で選挙戦を戦うのか? それともまったく新しいスタイルで勝利を目指すのか? 彼が父の「遺産」をどう受け継いでいくのか非常に注目しています。

■自民党「裏金議員」の選挙の気になる行方は?

――石破新総裁のもとスタートする自民党は、裏金議員問題など波乱も多い中での選挙を迎えます。山本さんの注目ポイントは?

山本 今回、裏金議員問題により、自民党で公認がもらえなかった平沢勝栄氏と萩生田光一氏を見比べることは重要ですね。自民党で公認がもらえないということは、つまり公明党からの応援ももらえないことなんですよ。公明党は特にお金にクリーンな政党ですので。

――そこはお二方ともに重要な意味を持つ?

山本 お二方にとっては、全く逆の意味で重要なポイントとなっています。平沢勝栄氏は東京17区から出馬予定ですが、もともとめちゃくちゃ選挙に強い方です。大御所の議員でありながらも有権者との関係を築くために、2週間に1回、地元で毎回違う床屋を訪れて名前を覚えてもらうなど、徹底した選挙対策をされる方です。

ただ、実は平沢氏は昔、公明党の山口那津男元代表と選挙で戦って勝利した経験があって。公明党の中には彼のことをものすごく恨んでいる方もいる。なのでそれ以降、平沢氏だけは他の自民党の議員とは異なり公明党の推薦なしで出馬し、ずっと勝利を重ねているんです。こういった経緯があるので、今回の自民非公認による一番のデメリット「公明党からの推薦を得られない」という点については、平沢氏だけは全く影響を受けていないんですよ。

――逆に萩生田光一氏は大きな影響を受ける?

山本 はい。萩生田氏は東京24区で出馬予定なのですが、八王子市は公明党票がとても強く、僕は萩生田氏が公明党の非公認の影響を大きく受けると思っています。その票がなくなるとすれば、萩生田氏の票数はガクッと減ることが予想される。

なので、「公明党からの推薦を得られない」デメリットを全く受けない平沢氏と、影響を大きく受けるであろう萩生田氏。彼らの票の増減を見比べてみるのは結構面白いポイントかなと思っています。

「他の裏金議員についても逆風とどう向き合っていくのかが重要」と語る、山本期日前 「他の裏金議員についても逆風とどう向き合っていくのかが重要」と語る、山本期日前

■「総理を狙う男」の「嘘みたいな名古屋弁」が意外な選挙戦の指標に?

――日本保守党や参政党など、議席数としては小規模ながらも、話題性のある政党も注目されています。山本さんが特に注目する政党はありますか?

山本 やはり日本保守党は今回の選挙でかなり注目しています。元名古屋市長の河村たかし氏は昔から「総理を狙う男」なんて言われてきた方です。でも、名古屋市長のままじゃ総理大臣にはなれない!ということで、今回、愛知1区にて衆院選に出馬。これはかなり面白い展開になってきたと思っています。

実は河村氏、地元での影響力はバツグンで、名古屋市長になる以前、民主党時代に愛知1区でずっと衆院選を勝ち続けていたんです。そんな名古屋での彼の影響力が、今回の選挙でも発揮されることは間違いありません。

そこに日本保守党が乗っかってくる。これがまた、選挙戦をさらに面白くするポイントなんですよ。結果次第では「河村たかし、次は総理大臣」なんて話もなくはないと思います。

――あの特徴的な「名古屋弁」にも注目ですよね。

山本 「だぎゃあ」とか「どえりゃあ」とか、やっぱりあの嘘みたいな名古屋弁が彼の代名詞ですよね。正直、僕も河村氏の演説をわざわざ聞きに名古屋まで行くくらい大好きで、本当に彼の名古屋弁って独特で面白いんです。でもね、もっと面白いのが、河村氏って一度不祥事を起こすと、急にその名古屋弁が薄まってどんどん標準語に近づいてくる。これは、見ていてめちゃくちゃ面白いんです。

今度の愛知1区の選挙戦も大接戦って言われているので、もし数字が悪くなってきたら河村氏の名古屋弁がどうなるか、目が離せないです。選挙は白熱すると、候補者も自分のキャラを忘れがち。河村氏の名古屋弁が選挙中にどう変化していくか、ぜひ細かくチェックしてみてください。

その他に注目しているのは日本保守党。日本保守党は演説会場がすごいんですよ。本当に地響きみたいな拍手がドーンと鳴って、現地で聞くと圧倒されます。もう、迫力が半端じゃないんで、一度は体験してみてほしいですね。

――魅力的な選挙のポイントを数多く教えていただきありがとうございます。

山本 まだまだ語りたい候補者や政党、選挙区はたくさんあるんですが、今回の衆院選も魅力的な激戦が数多く繰り広げられるので、ぜひみなさんご自身で、ネット上で調べるのはもちろん、お近くの演説などに足を運んでもらいたいですね。ボランティアもオススメです! そして何より、メリットいっぱいの期日前投票も活用してほしいです。

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●山本期日前(やまもと・きじつまえ) 
1993年1月、千葉県流山市生まれ。吉本興業所属のお笑いコンビ「ゆかいな議事録」のボケ担当。2019年にYouTubeのチャンネル「ゆかいな議事録【選挙・政治ch】」を開設し、「参院選候補者でサッカーベストイレブン決めてみた」などの、日本各地の選挙をわかりやすく、楽しく解説する動画を配信している。趣味は選挙ポスター集め。