ウーマンラッシュアワー・村本大輔さんを追ったドキュメンタリー映画『アイアム・ア・コメディアン』は2022年10月の東京国際映画祭で上映され、2024年7月に劇場公開となった ウーマンラッシュアワー・村本大輔さんを追ったドキュメンタリー映画『アイアム・ア・コメディアン』は2022年10月の東京国際映画祭で上映され、2024年7月に劇場公開となった
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「2024年版 私的ヒット番付」について。

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2024年が終わろうとしている。今年も少しの空き時間があればコンテンツ摂取に捧(ささ)げた。結果、たくさんの名作と出会った。私的ヒット番付として各BESTを紹介したい。

【書籍編】

①『藤子・F・不二雄トリビュート&原作アンソロジー F THE TRIBUTE』(オムニバス)

藤子・F・不二雄先生と気鋭の作家の漫画作品を交互に掲載。F先生の全集をすべて買っている私だが、あらためて奥深さに驚愕(きょうがく)した。奥浩哉さん、浅野いにおさん、小玉ユキさんのオマージュ応答も格別。F先生はなんと凄(すご)い後進という作品を生み出したことか。

②『スピード・バイブス・パンチライン ラップと漫才、勝つためのしゃべり論』(つやちゃん著)

漫才やラップのしゃべり、音を分析した批評書。人を動かすしゃべりとその先に何があるか。学術的でもあり印象批評、かつ独創的。この切り口が残っていたか。現代では誰もが話すことで他者を説得せねばならない。その意味で全員が必読。

③『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(奥山俊宏著)

兵庫県・斎藤元彦知事の事件や、一連の企業不祥事。内部からのタレコミ=内部告発が注目を浴びている。本書は海外との比較や論点を網羅し、実例をふんだんに挙げる。現代のメディア人は必読。

【映画編】

①『アイアム・ア・コメディアン』(日向史有監督)

ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんを追ったドキュメンタリー作品。原発、在日、差別、社会風刺・政治ネタ......。日本のお笑い芸人が触れようとしないタブーに果敢に切り込むことでテレビに敬遠されだした村本氏が、日本各地を巡り、アメリカで単身挑戦する様子を描く。感動的で落涙した。この天才を日本は見捨ててはならない。

②『マミー』(二村真弘監督)

これもドキュメンタリー。「和歌山毒物カレー事件」と呼ばれた、1998年の夏祭りでの事件のその後を追いかけた作品。収監されている林眞須美死刑囚の長男や夫の林健治さんのインタビューで構成される。警察の捜査も、保険金詐欺の話もめちゃくちゃ。自分の正義感を揺さぶられる。

【音楽編】

①『2:BE』(BE:FIRST)

ラップ、ダブ、ダンス、すべてのみ込み独自の音楽を作り上げた奇跡のグループ。このアルバムは『Masterplan』『Boom Boom Back』の流れが最高。なお、同グループのフィルムライブ作品『BE:the ONE-MEANT TO BE-』は異常な感動で観客を包む。人間は極限の努力を重ねれば他者の心を動かせるとわかる。現在の仕事にマンネリを感じている人は必聴。

②『Odyssey』(Sable Hills)

日本のメタルコアバンドの最高傑作アルバム。リズム隊は暴れたくなるビートを与え、ギターとボーカルは自在にメロディとデスボイスを重ねる。世界を牽引(けんいん)するバンドになった。

③『GAME OVER』(SIRUP)

最近、存在感を増すポップシンガーの最新曲。歌詞の工夫、サビのメロディ、音質。最高。この人は曲ごとのバラエティがすごい。常田大希さんと共に大注目。

来年も素晴らしい作品との出会いを期待したい。コンテンツにはできるだけお金を払おう。人生の愉悦は未知との遭遇でできているから。

『経済ニュースのバックヤード』は毎週月曜日更新!

坂口孝則

坂口孝則Takanori SAKAGUCHI

調達・購買コンサルタント。電機メーカー、自動車メーカー勤務を経て、製造業を中心としたコンサルティングを行なう。あらゆる分野で顕在化する「買い負け」という新たな経済問題を現場目線で描いた最新刊『買い負ける日本』(幻冬舎新書)が発売中!

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