小田原ドラゴン(おだわら・どらごん) 1970年、兵庫県生まれ。唯一無二の天才すぎる漫画家。『コギャル寿司』で第47回文藝春秋漫画賞受賞。代表作に『おやすみなさい』、ドラマ化された『チェリーナイツ』など。最新作に『今夜は車内でおやすみなさい。』
24年9月から週プレNEWS(集英社)で、作家・小田原ドラゴンが新連載漫画『堀田エボリューション』をスタート! というわけで、小田原先生がどんな道のりを経て、本作品にたどり着いたのかをジックリ語っていきます。
新連載第8回は小田原先生の上京物語です。
* * *
1997年11月。僕は東京へ向かいました。
年明けからヤンマガ(週刊ヤングマガシン・講談社)の連載が決まったからです。僕は、ペンを握って300日で連載開始にたどり着きました。
とはいえ、ヤンマガの月間新人漫画賞・奨励賞を受賞した2作目の漫画『僕はスノーボードに行きたいのか?』が、ヤンマガの増刊号に掲載されたのですが......僕の漫画だけ異常に絵が下手(笑)。
この絵で大丈夫かなぁと思いましたが......まぁ描いているうちにどうにかなるだろうと気持ちを切り替えることにしました。
東京に来た目的は打ち合わせなどもありますが、自宅兼仕事場を探すためです。不動産屋巡りには、ヤンマガ(講談社)の編集者がふたり同行してくれました。ひとりは初代担当のMさんです。
僕は兵庫県明石市の実家にずっと住んでいましたから、東京の地理に疎い。なので、ふたりの存在はとても心強かったです。
一方で、当時の僕は学歴コンプレックスに苦しんでいたので、《講談社の大卒エリート編集者は高卒の僕をバカにしているのでは》と疑っていました(笑)。
今となっては編集者に恵まれてきたからこそ、僕はここまで漫画家を続けられたのだと心から思っていますが。
話を戻すと、自宅兼仕事場に決めたのは東京・江古田のワンルームです。そう、ついに僕は実家を出ることになったのです。
愛車の三菱ギャランは父親に譲りました。ただ、僕が東京に行ってしばらくすると、ギャランはエンジンから火を噴き、廃車になったと聞きました。
98年1月、僕は人生初となる週刊漫画連載に挑むことになります。