アオキユウあおき・ゆう
ライター・動画編集者。1991年、新潟県出身。2014年にライターとして活動を始め、現在はアイドルを中心にインタビューや動画制作を行なう。
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「日向坂ミュージックパレードLIVE-2025-」
2月22、23日に開催された日向坂46四期生11人のリアルライブ「日向坂ミュージックパレードLIVE-2025-」。最後となるかもしれない自分たちだけのステージで、何を思い、何を目指したのか。終演後に聞いた、彼女たちの生の声と共に振り返る。
昨年5月にスタートし、今年2月に最終回を迎えた、日向坂46四期生初の冠番組『日向坂ミュージックパレード』。そのリアルライブが、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで2日間3公演開催された。
昨年8月の日本武道館単独ライブに、映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』や公演中の舞台『五等分の花嫁』での演技など、これまでも11人であらゆるものに挑戦してきた四期生。
今年、グループには後輩となる五期生の加入も控えている。彼女たちにとってこの「ひなパレLIVE」は、"11人"で挑戦できる残り少ない貴重なステージだった。
番組は、四期生とMC・3時のヒロインがカラオケルームに集まり、毎週ソロやユニットで歌う音楽バラエティ。
リアルライブもその設定をそのままに、会場をカラオケの「VIPルーム」に見立てて11人とゲストがさまざまな楽曲を披露していく。
清水理央と小西夏菜実が楽曲に合わせたメイド服をまとえば、正源司陽子と平尾帆夏もチャイナ服で歌い踊る。佐々木美玲や富田鈴花、髙橋未来虹といった先輩メンバーや、はなわをはじめとした歌ネタ芸人が「飛び込み」で1曲だけ歌って帰っていく。
会話(トーク)も短めに、カラオケルームにいるおのおのが、年代やテンションもバラバラの楽曲を自由に歌う。そんな「カラオケで遊ぶ設定」が醸す日常感、青春感が「ひなパレLIVE」の魅力だった。
メインとなるソロ&ユニット歌唱。その選曲にもさまざまな思いが込められていた。
最年長として四期生を一歩下がってまとめる機会が多い平岡海月は、自分をあらためて奮い立たせるように『僕が僕であるために』(尾崎豊)を熱唱。藤嶌果歩は「普段見せないカッコよさとギャップを見せたかった」と、『HANABI』(Mr.Children)を低めのトーンで歌い上げた。
そして、四期生オーディションの歌唱審査で披露していたという『木綿のハンカチーフ』(太田裕美)を、竹内希来里はファンの前で初披露した。
竹内「オーディション当時、『アイドルになって上京しても、生まれ育った広島と家族を大切にしたい』という気持ちを込めて歌ったんです。初日の公演ではうまく歌えなくて、お母さんに当たってしまいました。
でも、2日目の歌を聴いたお母さんは『良かったよ。聴きながら泣いちゃった』ってメッセージを送ってくれて......。気持ちが伝えられてよかったです」
(左から)平尾帆夏、正源司陽子、渡辺莉奈。渡辺は番組について、「四期生それぞれの色を引き出してくださった場所」と感謝
また、3公演それぞれ、ひとりのメンバーが楽器演奏に挑戦するコーナーもあった。
日々、独学でギターを楽しんできた正源司は、自身がギター&コーラスを担当し、藤嶌とふたりで『少女レイ』(みきとP)を披露した。昨年、表題曲のWセンターを務めた頃からペアで過ごすことが増えたふたりは、演奏後、次のように語った。
藤嶌「(正源司とは)プレッシャーを半分こすることも多くて、そのたびに『私でいいのかな』と思ってたんです。でも今回のセッションは普通の友達みたいな感覚でやれて、ただただ楽しかったです」
正源司「私も『同級生の果歩と、学校の踊り場でただ遊んでいるような感覚』でした。いろんなことを乗り越えてきた盟友と、一緒に頑張れてよかったです」
祖父が沖縄出身で、小学生の頃から三線に触れていた山下葉留花。事前に「大きな会場で演奏できたら、祖父も喜んでくれるんじゃないか」と語り、本番ではリハーサル以上の弾き語りを見せた。
山下「本番前はやっぱり緊張していました。でも、客席を見渡したら、私のサイリウムカラーの緑色いっぱいの景色が広がっていて。先生に教わっていた『私を見て!』の精神が頭に浮かんで、ハッピーに終わることができました」
3人の中でも特に苦戦していたのは、ピアノの弾き語りに挑戦していた平尾。作曲家直々のレッスンを重ね、「プロでも嫌がる」という、原曲キーでの『雪の華』(中島美嘉)を披露しようとしていた。
平尾「小さい頃にピアノを習ってたんですけど、どうしても満足できる弾き語りができなくて。自分の性格的に中途半端なものはお見せできないし、練習を始めてから1、2ヵ月、ずっとプレッシャーに悩んでいて。夜、ひとりで涙が出ることもありました。
でも、練習期間も本番の後も、ずっと同期が温かくて。自分の姿で涙してくれるメンバーもいました。すてきな仲間を持てたんだなと、あらためて知れたライブでした」
冬公演の最後を飾ったGReeeeNの『遥か』と『キセキ』。「この11人が四期生として集まったのが"奇跡"」と、常々口にしている石塚瑶季たっての選曲だ。ただ、彼女ひとりがこの2曲を愛していたわけではない。
平尾「たまちゃん(石塚)が言い続けてくれたから、私たちにとっても思い出深い、大事な曲になっているんです」
正源司「"うまく行かない......"の部分でしたり、『キセキ』は特に、歌詞を読めば読むほど四期生の曲だと思えます。同期やファンの方、3時のヒロインさん......いろんな感謝を込めて歌おうと思っていました」
『遥か』は番組の最終回で涙ながらに、『キセキ』は昨年10月に行なわれた初めてのリアルライブでも披露していた。
ただ今回、四期生が「第一の目標」として掲げていたのは、「11人で『キセキ』を歌うこと」だった。というのも、昨年10月のリアルライブでは、全公演を完走できなかったメンバーもいたからだ。
渡辺莉奈「『前回のリベンジをしたい』という気持ちは強かったです。グループに入って『誰かと一致団結して頑張る楽しさ』『仲間がいる青春』を知れた今だからこそ、11人でやりきりたいと思っていました」
全員が「11人で」と信じていた。舞台の稽古や、周年ライブに向けたレッスンと並行する目まぐるしい日々と闘った。リハーサルでは体調不良者が出て暗雲が立ち込めた瞬間もあったが、それでもたどり着いた"奇跡"の光景だった。
石塚「やっと11人全員で歌えます。夢は絶対にかなうから、私たちと一緒にいろんな夢をかなえていきましょう!」
肩を組み、目を赤くしながら、大切な楽曲を歌い上げる。
宮地すみれ「11人で歌い終えて、青春の1ページが終わっちゃったのは寂しいです。でも、ここまで一緒にステージに立てて、うれしかったです」
日向坂46四期生は、確かに同期との友情、かけがえのない青春を心に刻んでいた。
ライター・動画編集者。1991年、新潟県出身。2014年にライターとして活動を始め、現在はアイドルを中心にインタビューや動画制作を行なう。
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