高橋ヨシキたかはし・よしき
デザイナー、映画ライター、サタニスト。長編初監督作品『激怒 RAGEAHOLIC』のBlu-ray&DVDが発売中。
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©MMIV Mysterious Films, LLC
80年代から90年代くらいのハリウッド映画の「ルック」を見事になぞっていて驚かされるが、本作はそもそも2004年の映画で、普通に当時のカメラを使っているだけだったので何の不思議もなかった。
現在はデジタルによる色補正が当たり前になり、特定の時代の「ルック」を模した作品も多いため、まったく不必要なところでびっくりしてしまったのだ。
本作は子供時代に受けた性的なトラウマをめぐる物語で、主人公の青年2人はかつて同じ少年野球チームに所属していた仲。
そのコーチが小児性愛者で、スタープレイヤーの少年はよく分からないままコーチと性的な共犯関係に陥り、ポンコツプレイヤーだったもう1人は罠にかけられて性的に搾取される。
やがて前者は虚無感を湛えた男娼になり、後者は忌まわしい記憶を失い、「記憶がない時に自分はUFOにさらわれて宇宙人に生体実験されていたのだ」という妄想に取りつかれてしまう。
ハッとさせられるのは、前者にとってその「思い出」が「自分が承認されたこと」と直結した甘い記憶と化しているところで、それもまた悲惨なトラウマを乗り越えるための避難所でしかなかったという事実にやりきれない気分にさせられる。
STORY:野球のチームメイトである8歳のブライアンとニールは、チームのコーチの所業により人生を大きく狂わされる。10年後、精神的ショックから当時の記憶を失っていたブライアンは、記憶を取り戻すためにニールを探し始める
原作:スコット・ハイム
監督・脚本:グレッグ・アラキ
出演:ブラディ・コーベット、ジョセフ・ゴードン=レヴィットほか
上映時間:105分
全国公開中
デザイナー、映画ライター、サタニスト。長編初監督作品『激怒 RAGEAHOLIC』のBlu-ray&DVDが発売中。
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