結成16年目以上の芸人がタイマンで戦う賞レース「THE SECOND~漫才トーナメント~2025」のグランプリファイナルが5月17日(土)に開催され、フジテレビ系で同日19時から生放送される。
M-1やキングオブコントでは審査員はプロの芸人だが、THE SECONDでは番組側が選出した100人の一般の観客が審査を務めるのが特徴で、昨年の第1回はギャロップ、第2回ではガクテンソクが優勝し、飛躍のきっかけをつかんだ。
年々注目度が高まる今大会の勝者となるのは果たしてどのコンビなのか。YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』で"大喜利が強すぎるアイドル"として注目を集め、普段は若手芸人のライブへ足繁く通う"アイドル界きってのお笑い通"であるアイドルグループ「ドラマチックレコード」の新居歩美さんに、THE SECONDの注目点や対戦結果の予想を聞いた。
■最近、客1人のお笑いライブにたどり着きました(笑)
――新居さんは"お笑い"はいつ頃から見られているんですか。
新居 本格的に見始めたのはアイドルになってからなので、ここ3年くらいです。お笑い好きの友達がいて、その友達がランパンプスさんのファンだったので最初は神保町よしもと漫才劇場に行ってました。そこからヨシモト∞ホール、よしもと幕張イオンモール劇場と吉本の劇場を全部行こうとなり、気づいたら友達よりも劇場に通うようになってました。
――最初はどの芸人にハマったんでしょうか。
新居 最初は"神保町の王"であるナイチンゲールダンスさん、令和ロマンさん、9番街レトロさん。芸歴が若いところだと、10億円さん(2024年8月解散)、あと今ほどは有名でなかったエバースさんです。そうしたコンビが出る吉本以外のライブにも通うようになって、最近はいわゆる他事務所って言われるところばかりに行って、ついに客1人のライブにもたどり着いてしまいました(笑)。
――客1人のライブ???
新居 はい、客は私1人だけ。客のアイドル率100%のライブです。エントリー制の投票ライブで、お目当てが出ていたので行ったんですけど、客が私以外誰も来ない状況で開演して、そのライブは観客投票だったので演者全員が私を見て「投票してください」という時間がありました(笑)。
今は若手のライブに行くことが多いです。アイドルとしてのスケジュールも忙しいので、当日にふらっと行けるところしかなかなか行きにくくて。劇場でいうと新宿のバティオス、新宿Fu-、あと新宿バッシュ!!あたりが便利ですね。徒歩4分くらいで3つぐらいライブを回せるので。
――お笑い好きとして賞レースはどう見ていますか。
新居 私の通っているライブは若手中心なので、賞レースはすぐ落ちちゃうんですよ。ただ例えばM-1だと、ライブシーンの中では評価されてはいなかったけど、ネタはめっちゃ面白かった人たちが、ちゃんとネタで評価されているのを見て活力にもなってます。あと普段劇場に通いすぎていて忘れてたけど、舞台で生きていく人ってかっこいいなとも感じて。
私自身アイドルをやっていて、一つひとつのステージではついお客さん側の目線を忘れちゃうこともあるんですけど、M-1の時期は私もお客さん側の目線を取り戻しますし、お笑い芸人さんと一緒で、舞台で生きていることを思い出して、アイドルとしての仕事をより好きになります。なのでM-1の時期の私はめちゃアイドルとしての意識が高いです。
――若手ライブ中心に通っている新居さんですが、「THE SECOND」のイメージってどんな感じですか。
新居 第1回大会のマシンガンズさんの姿にすごく感動して。最終決戦まで途中で何回も転びそうにはなっているんですけど、ずっと駆け抜けていく。積み重ねてきた芸歴を6分間にこめている感じに心を打たれて。次の日はグループのメンバーにもマシンガンズさんの話しかしてなかったです。全然メンバーは何の話かわかってなかったですけど(笑)。
M-1と比べたら今年で3回目と歴史の浅い大会なんですが、トーナメント制であったり、M-1の時に「こうだったらな」というものを全部活かしたシステムじゃないですか。最初はM-1の地続きの大会だと思っていたんですけど、知れば知るほど全く別の大会なんだなと感じます。
〈第1試合〉ツートライブVSモンスターエンジン
ツートライブ(結成18年目・吉本興業)たかのり(左)周平魂(右)©フジテレビ
モンスターエンジン(結成19年目・吉本興業)西森洋一(左)大林健二(右)©フジテレビ
――では今大会の予想に入っていきます。まず1回戦の第1試合ですが、ツートライブVSモンスターエンジンです。
新居 まず、ぽっと出の芸歴5年目のアイドルが何を言ってるんだっていう感じだと思うんですけど、私自身にはその自覚があることを踏まえて予想を読んでいただきたいです!
THE SECONDって、劇場でただお笑いを続けてきただけの人がいきなり優勝する大会じゃなくて、ギャロップさん、ガクテンソクさんと、これまで大きな賞レースでたまたま優勝しなかっただけで、めちゃくちゃ面白くて、ちゃんと結果を出してきた人たちが優勝してるなって思うんです。
モンスターエンジンさんはM-1とキングオブコントの決勝をそれぞれ2回経験していますし、ツートライブさんも上方漫才協会大賞の文芸部門賞を受賞されています。そう考えるとこの2組は、どちらも勝ってもおかしくない。
私はいわゆる旧M-1は詳しくないんですけど、モンスターエンジンさんがノックアウトステージでやったネタがM-1でやったネタをパワーアップしたものだと聞いて、もしM-1で優勝できなかった時のネタをパワーアップさせて、THE SECONDで優勝したらめっちゃかっこいいなと思いました。
ツートライブさんは若手の劇場に通ってる人間が見ても「これ、通いてぇ」って思うぐらい私はめちゃくちゃ好きなネタで、ずっと聞いていられる。若手と比べると惹きつけるレベルであったり、全部の技量がとんでもないんです。ずっと不思議なことを言っているボケは若手にもたくさんいるんですけど、ツートライブさんは1個1個のボケがちゃんと強いから、ずっと笑えるんです。
この第1試合が4つの1回戦の戦いの中で、一番読めないんですよ。めちゃくちゃ漫才のうまい、賞レースでも結果を残している2組で一番属性が似ていると思うんです。ただこれまでのデータだったり、あとモンスターエンジンさんは旧M-1などのこともありTHE SECONDだなって感じもするので、ここはモンスターエンジンさんの勝利でお願いします。
〈第2試合〉マシンガンズVSはりけ~んず
マシンガンズ(結成28年目・太田プロダクション)滝沢秀一(左)西堀亮(右)©フジテレビ
はりけ~んず(結成35年目・吉本興業)前田昇(左)新井義幸(右)©フジテレビ
――ありがとうございます。第2試合はマシンガンズVSはりけ~んずです。
新居 私はM-1の1回戦をめっちゃ見に行くんですけど、はりけ~んずさんはそこでMCをやられていて、夏は毎日見ます。普段自分たちの通っている現場の雰囲気を担ってくれているお2人がTHE SECONDの決勝に行ってかっこいい姿を見せてくれるのがすごく嬉しいですね。部活の顧問の先生が久しぶりに野球をやったらめっちゃうまかったかっこよさというか。
はりけ~んずさんのネタを見ると、M-1の予選で若手をずっと見てきているのが伝わってきますし、安定感、絶対に面白くできる土台がありますよね。
一方でマシンガンズさんはTHE SECONDを一番追い風にしているコンビ。決勝の8組の中で一番爆発力を生む火薬を積んでいると思っていて。今年のマシンガンズさんも第1回大会で準優勝した時と同じ、前に前にのガムシャラでアドリブ多めの感じが変わっていないのがいいなと思いました。
どちらのコンビも好きなんですが、THE SECONDという大会だからこそマシンガンズさんの勝利を予想します。今回審査するお客さんも、第1回大会のあのマシンガンズさんを知っているので、気持ちもより乗っかるんじゃないかなと思います。
〈第3試合〉囲碁将棋VS吉田たち
囲碁将棋(結成22年目・吉本興業)文田大介(左)寝建太一(右)©フジテレビ
吉田たち(結成18年目・吉本興業)こうへい(左)ゆうへい(右)©フジテレビ
――ありがとうございます。第3試合は囲碁将棋VS吉田たちです。
新居 THE SECONDって漫才師のニン(漫才師の個性や人柄、人間力)を出せる場所で、吉田さんたちは双子漫才師というマイノリティを確立していて、自分たちのスタイルをのびのび出せる環境かなと思います。同じ双子のダイタクさんもいないので、今回は追い風が吹いているなと思います。
一方で今年の囲碁将棋さんはエグいです。エグすぎます! まだ劇場に通い立ての頃に大宮の劇場で囲碁将棋さんの漫才を何回か拝見したことがあるんですけど「これが漫才師か」と感じたのを思い出します。まだお笑いに慣れていない私でも、見ていて一切の不安要素がなかったんです。そんな囲碁将棋さんが今回はより賞レースに寄せて仕上がりまくってます。今までもずっと面白かったんですけど、まだ面白くなれるんだって驚きました。誰が見ても安心していい点が出せるコンビだと思います。
予想は囲碁将棋さんの勝利でお願いします。私の中で囲碁将棋さんは優勝候補といっても過言ではないので。吉田さんたちは逆に自由にやってもいい気もします。囲碁将棋さんはTHE SECONDでなくてもオールマイティーに戦える分、THE SECONDならではの戦い方を加えられれば勝機もあるのかなって。
あっ、でも、こんな小娘があまりに上からの予想ですいません。記事にする時は(※イラつくところがあったら◯ってください)と入れておいてください(汗)。
――大宮の劇場も行かれていますし、そう恐縮しなくても大丈夫だと思いますよ。
〈第4試合〉金属バットVSザ・ぼんち
金属バット(結成19年目・吉本興業)※2024年グランプリファイナル進出 小林圭輔(左)友保隼平(右)©フジテレビ
ザ・ぼんち(結成54年目・吉本興業)ぼんちおさむ(左)里見まさと(右)©フジテレビ
ーー1回戦最後は金属バットVSザ・ぼんちです。
新居 私は今回の8組の中で、金属バットさんの漫才を一番見ているんです。劇場に通う前から金属バットさんのネタやYouTubeチャンネル「金属バット無問題」、あとはラジオも聞かせていただいていて。その金属バットさんがTHE SECONDに出ているのも嬉しいですし、その好きという気持ちを超えて「ああ、金属バットだな」と思わせてくれる仕上がり具合で。
ノックアウトステージを見ても、もうカリスマ性が確立しているじゃないですか。場の視線を持っていく力があるなって感じます。絶対的な力がある中で、M-1最前線もずっと走り続けてきた人だから「久しぶりに見るあのコンビ」じゃないんですよね。その金属バットさんの相手が35年芸歴が離れているザ・ぼんちさんというのも面白いです。
――現在21歳で劇場に通う若手お笑い好きの新居さんは、ザ・ぼんちをどう見ているんですか。
新居 若いなって感じます。場の盛り上げ方だったり、暴れ方だったり、師匠だから感性がすごく離れているということもなく面白くて。21歳の私がまだこんなに面白いと思えることができているのがすごいなと思います。あと、漫才をしていて楽しそうなんですよね。師匠レベルの漫才を初めて見たんですが、それがザ・ぼんちさんでよかったなと思います。
金属バットさんのラジオを以前は毎回聞いていたんですけど、ちゃんと師匠に対するリスペクトを持っている人たちだから、その2組が戦うというTHE SECONDならではで面白いですね。
――勝敗予想はどうでしょうか。
新居 先行の金属バットさんがめっちゃ会場の空気を持っていくと思うんですけど、でもザ・ぼんちさんはその空気に飲まれずにやれると思うので。難しいんですけど、ここは金属バットさんの勝利でお願いします。過去の優勝者を見てもM-1を走り抜けてきた人なので。金属バットさんかなって。
■準決勝予想! モンエンVSマシンガンズ!? 金属VSぼんち!?
――ありがとうございます。新居さんの予想だと準決勝はモンスターエンジンVSマシンガンズです。
新居 モンスターエンジンさんもめっちゃ面白いんですけど、マシンガンズさんの第1回大会を振り返ると、1回勝つごとにパワーアップするんですよね。マシンガンズさんもニンが強いところがあるので、場の空気を持っていくと思うんです。その爆発力を期待したいので、マシンガンズさんの勝利でお願いします。
――準決勝第2試合は囲碁将棋VS金属バットです。
新居 うーわっ! マジで想像がつかないです。偏見ですけど、金属バットさんは先行がいいと言いそうですよね。2組ともM-1最前線で戦ってきて、芸歴も大きく離れているわけじゃない。どちらもめちゃくちゃ実力がある上に、どちらもTHE SECONDのファンの追い風もある。なので点差は全然開かない気がします。
あとは本当に好みの話になってきますよね。どっちの漫才も好きで、どっちもめちゃくちゃ期待しているからこそ、ここはデータで。予選のウケ方で囲碁将棋でお願いします。ただ、どっちが上がっても嬉しいし、どっちが落ちても悲しいです。
■優勝は積み重ねてきた舞台に立った経験の底力で......
――となると決勝はマシンガンズVS囲碁将棋です。
新居 うーわっ!うーわっ! マシンガンズさんが優勝するところをめちゃくちゃ見たいんですけど、THE SECONDのお客さんは冷静だからちゃんと審査をすると思うんです。これまで優勝したギャロップさん、ガクテンソクさんって劇場に立つ数がめちゃくちゃ多くて、そこで技術をめちゃくちゃ磨き上げてきた。そこには吉本の強さもあるかなと思います。
――囲碁将棋は吉本所属、一方でマシンガンズは太田プロです。新居さんは劇場に通っていますが、吉本と非吉本の芸人の違いは感じますか。
新居 感じます。例えば同じ4年目の同期ライブを見ても、吉本の方が育つスピードが全然違っていて「芸人だ」ってなります。吉本の劇場に通っている人のSNSのタイムラインを見ると「今年は300現場でした」とあって、一方で私の推しは非吉本なので全通しても100も現場がないんです。
囲碁将棋さん、マシンガンズさんには本当に差はないと思うんです。どっちも面白いし、どっちも優勝している姿を見たい。そうなると違いは最終的に積み重ねてきた舞台に立った経験の底力で囲碁将棋さんが優勝すると思います。
ただマシンガンズさんの第1回大会の感動ってとてつもなくて。もし、それを超える感動があって「マシンガンズすごすぎる、かっこよすぎる」ってなったら、マシンガンズさんの優勝も。とにかくとんでもない決勝になると思います。
――予想ありがとうございます。最後にTHE SECONDに望むことを教えてください。
新居 M-1だと1年でめっちゃ結果が変わるじゃないですか。THE SECONDはそれがなくて。膨大な積み重ねがあってのものだから。お笑いファンとしてはTHE SECONDの決勝の数時間で、何十年ものお笑いの歴史が見られちゃうので、とてもお得だなと思います。
今回は決勝4カード全部の組み合わせが面白いですし、M-1と同じ漫才の大会なんですけど異種格闘技というか。THE SECONDでしか見られないものが多すぎて。THE SECONDだからこそ、これが見れたんだよというものを一つひとつ目に焼き付けたいです。
●新居歩美(にい・あゆみ)
6月28日生まれ 香川県出身 身長148cm 血液型=O型
◯アイドルグループ「ドラマチックレコード」の赤色担当。
冠ラジオ番組『新居歩美の番台さんラジオ』(FM高松・毎週水曜23:00~)が放送中。
公式X【@DMRC_ayumi】
公式Instagram【@ayuchi_nii】
公式TikTok【@niiayumi_dmrc】