インフルエンザ予防のためには、20秒以上手洗いすること。指の間や手首も念入りに洗って

全国で猛威をふるうインフルエンザ。厚生労働省の発表によると、1月20日から26日までの患者報告数は前週よりも2倍以上に膨れ上がっており、ますます油断できない状況が続いている。

ここはしっかりとした予防策でウイルスを撃退したいものだが、マスクに手洗い、空気清浄機やウイルス除去製品などたくさんの方法のなかで、本当に効果的なのはどれなのだろうか?

冬の感染症に詳しい昭和大学医学部臨床感染症学部門の二木芳人教授によると、意外にも“マスクや置き型のウイルス除去剤”よりも“20秒以上の手洗いと加湿器”のほうが効果があるという。

「インフルエンザなどのウイルスは、湿度が高くなると割と早く死滅するんです。ですから、加湿器で湿度を上げるのは効果があります。病院の場合、冬季は湿度を40%以上保つようにしています。そうするとインフルエンザやノロの感染をある程度防げる。

家に加湿器がなければ、やかんなどでお湯を沸かしておくだけでも意味があります。ただし注意してほしいのは、お湯を沸かしすぎて湿度が70、80%くらいまで上がると、今度は窓が結露してカビが生えることもあります。

お湯を沸かすこともできないような状況であれば、ボウルにお湯をはって部屋の中に置いておくとか、コップに水を入れて置いておくとか、それだけでもいいので、部屋の中の湿度を少しでも上げておきましょう」

水を入れたコップを置くだけなら今すぐにでもできる。では、最も原始的だが、手洗いの効果はどうなのか?

「あります。ウイルスや菌を落とすためには、せっけんを使って20秒以上洗ってください。アメリカでは『きらきら星』を歌いながら手を洗いましょうと教えています。日本的に言えば『うさぎとかめ』の「♪~もしもし亀よ」を2回歌うくらいの時間です。

親指のつけ根や指と指の間、手首などもしっかり洗ってください。それが感染予防のための手洗いの仕方です。あとはうがいも大切です。インフルエンザウイルスはのどで繁殖するので、しっかりとうがいをしてください」

ウイルスを落とすべく、うがい&手洗いは“しっかりと”を心がけたい。最後に二木先生がこうアドバイスする。

「同じ量のウイルスが体内に入っても、そのときの体調などによって、感染するしないはあります。過労・睡眠不足など体が弱っているときには、インフルエンザやノロウイルスにかかるリスクが高くなるので、日頃から体調管理をしっかりして、手洗い、うがいをして予防に努めてください」

これを実行して、ぜひともこの冬を元気に乗り切ってほしい。

(取材/村上隆保)

○二木芳人(にき・よしひと)昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門主任教授、昭和大学病院感染症内科科長、日本感染症学会感染症専門医。共編著に『感染症診療Pro&Con』(南江堂)などがある。