男なら誰しも、いい車に乗ってみたいもの。美しいボディライン、快適な走り、ラグジュアリーな内装……そんな憧れの高級車に乗る自分を妄想しただけでも、胸のあたりがツーンとする人だっているだろう。
しかし、いつまでも淡い夢を胸に抱いているだけでは、「その時」はやってこない。
そんななか、今年4月に消費税が8%へ引き上げられる。自動車購入時にかかる消費税は、新車・中古車の「購入日」ではなく、「登録日または納車日」の税率が適用されるため、購入から納車/登録のリードタイムを考えると、消費税5%で手に入れるには2月中に購入する必要がある。もはや時間の猶予はない。いい車に乗りたいとモジモジしている男にとって、まさに「決断待ったなし」の状況なのだ!
そこで今回は、自動車評論家の清水草一さんと、元レースクイーンで車にも興味津々な癒し系グラビアアイドル・おのののかちゃんに、20代から30代の男にとって憧れの自動車ブランド「レクサス」と「アウディ」について大いに語ってもらった!
■レクサスもアウディも“下克上系高級ブランド”だ!
清水草一(以下、清水) ののかちゃんは、車の運転免許は持ってるの?
おのののか(以下、おの) はい。今、実家暮らしなので、普段から家の車に乗ってます。元々、お父さんが車好きで、車をしょっちゅう買い替えてきた家庭で育ったんですよ。
清水 ってことは、いい車に乗りたいって男の気持ちはわかったりする?
おの すっごくわかります(笑)
清水 いいねぇ。今回はレクサスとアウディ、どっちが買いかっていうテーマなんだけど、このブランドについてはどんなイメージを持ってる?
おの 私、去年までレースクイーンをしていたんですけど、在籍していた「ZENT(ゼント)」というチームでは、レクサスとアウディ、両方のマシンを使っていたので、どっちにも親しみがあるんですよ。
清水 そうなんだ。じゃあ、この2ブランドって、ある共通点があるんだけど、わかる?
おの う~ん、ブランドイメージは似てると思うんですが……なんですか?
清水 ズバリ、下克上的というか、どちらとも下から這い上がってきた会社なんだ。それって自動車の世界ではとっても珍しいことで、高級車ブランドって最初から頂点を狙ってやってきたところばかり。ベンツしかり、BMWしかり。でさ、アウディって今や頂点にあるイメージが強いでしょ?
おの えっ、もともとそうじゃないんですか?
清水 うん、今ほどじゃなかったんだよ。この20年~30年かけて一生懸命、丁寧に車を作ってきた成果が、今の高級車ブランドとしての地位を築いたと言ってもいい。つまり、ここ20年でベンツやBMWに一気に追い付いてきたっていう経緯があるんだ。
おの へー、アウディにそんな後追いのイメージはなかったですぅ。
清水 でさ、レクサスはもっと下から這い上がろうとしているわけ。ご存知のようにトヨタの最高級ブランドとして、89年にアメリカでスタートしたわけだけど、トヨタって会社は日本が貧しい時から「みなさんに乗っていただく車を作ります」ってことでやってきた会社。つまり大衆車を作るメーカーだったと。そんな大衆車メーカーが、頂点を取ろうとはじめたブランドこそがレクサスなんだ。ただ、レクサスはどうしてもトヨタ=ニッポンの大衆車ってイメージが強いから、いくらいい車を作っても欧州発のアウディとは違って、お金持ちの受けが悪かったりする。
おの 固定概念みたいなものがあるんですねぇ。車そのものを見ればいいのに。
清水 いいこと言うねぇ。でもさ、買う側としては、そう見てしまう側面もあるのが現実なんだ。それでも、それを打ち破ろうとしているのがレクサスで、実際に北米では大成功を収めていて、日本や欧州ではこれから市場を拡大しようとしているところなんだよね。
■2大ブランドの最大の違いは“おもてなしの心”?
清水 ある意味、アウディはレクサスより先にブランド価値を高めることに成功できた会社なんだ。でも、それはブランディング先行ではなく、根底にはきっちりとした車作りがあるわけ。アウディって本当に、車の作りが精緻(せいち)で、これぞドイツ車の神髄ってところが、車の隅々に感じられる。本当に細かい仕事をしているから。
おの 細かい仕事っていうと日本のお家芸って思ってたんですけど、そうでもないんですか?
清水 正直、アウディの精緻さは日本の車にはないよね。
おの そうなんですか! 意外です。ということは、清水さんはレクサスよりもアウディの方がオススメなんですか?
清水 いや、そういうわけでもない(笑)。アウディは全般的に作りが精緻すぎて、ちょっと息苦しいところもあるから、個人的にはあんまり好きじゃないんだよね。
おの えー、さっきから聞いていると、てっきりアウディ推しなのかと思ってました(笑)
清水 たしかにいい車なんだけどさぁ、どこか自己中心的な感じがボクにはしちゃうんだよ。
おの そ、そんな……(苦笑)
清水 その点、レクサスは乗る人の側に立っている車。この2ブランドの決定的な違いは「おもてなしの心」の有無かもしれない。
おの わかるような、わからないような……。アウディってすごく素敵な車だと思うんですけど。
清水 そりゃ、素敵だよ。でも、素敵すぎて「オレってかっこいいだろ」って主張している車のように思えちゃうんだよねぇ。とはいえ、真面目な話をすると、アウディだとA5より上のクラスはすごく買いだと思う。上のクラスはどれも、さすがドイツ車って感じがある。走りもいいし、内装も質が高い。でもA5より上となると、価格も500万円以上になっちゃうんだけどさ。
おの じゃあ、レクサスでオススメの車は?
清水 ボクはSUVタイプのRXなんかいいと思うんだよね。本当のお金持ちが、普段の足に使っている車って感じがする。レクサスは全車種にハイブリッドを搭載しているわけだけど、RXのハイブリッドは本当に静かで品がいいよね。インテリアの上質さもアウディにまったくひけをとらない。
おの 私、SUVって車高が高いから好きですなんですよね。視界が変わると、見えてくる風景も違ってくるし。
清水 低価格帯のCTなんかも、よく走るし燃費もいいし、素晴らしい車だよ。総じて、低価格帯はアウディよりレクサスに分があると思うな。逆に高級セダン系だと、アウディの上質さが光るって感じかなぁ。
■男ならワンランク上の車を買う! それくらいの気概が欲しい
清水 やっぱり男の人って運転できた方がいい?
おの できた方がいいです! ちょっと前、男友達が車を買って、ドライブとか連れて行ってもらったんですよ。普段はただの友達でも、送り迎えとかスマートにしてくれると「おっ」って思っちゃう。
清水 いい話だねぇ。
おの なんというか、狭い空間で、特にやることがなくても、隣に座ってドライブしてると、なんか素敵な気持ちになれるじゃないですか。だから、次、彼氏が出来るとしたら、やっぱり車を持ってる人の方がいいですねぇ(遠い目で)。
清水 まぁ、車がある生活に慣れると、今度は彼氏がどんな車に乗ってるのか気になるようになるよ。いいものを知れば知るほど、後戻りできなくなるように、やっぱり車も上質を知ると、それにまた乗りたくなるもんだからさ。
おの それはそう思います。いい車に乗ってる人じゃないとダメってわけでは決してないけど、どちらが魅力的かって言ったら、やっぱりレクサスとかアウディみたいな車に乗ってる男性の方が……。
清水 うん、それが普通の感覚ってもんだよ。男だったら、少しは上昇志向がないと魅力もないしね。
おの 生意気なこと言いますけど、男性って守りだけじゃ、味気ないと思うんです。破産するほど無理してもらっちゃ困りますけど、ちょっとくらい無理してでもいい車に乗るんだっていう、ガツガツ感は欲しいです(笑)。そうだ、さっき聞いたんですけど、清水さんはサラリーマン時代にフェラーリを買ったんですよね。やはり……、無理をされたんですか?
清水 ま、まぁ、精神的にはかなり追い込まれたよ……。20年以上前にサラリーマンでフェラーリ買うヤツなんて、異常者扱いだったし、周りは「無茶しすぎ」、「維持費で破産する」、「人生詰んだな」とか散々なこと言ってたからさ。でも、買ってみると、そこは極楽だったんだよ。
おの 買ってみてはじめてわかったんですね。一歩踏み出す勇気があったからそこに気付けたと。
清水 そう。自分の予算より、上のクラスの車を乗るって、上の世界を見ることだから。男なら、そういう気概を見せて欲しいよね。
おの レクサスもアウディも、値段は高いし、あんまり若い人が乗る車のイメージはないけど、だからこそ、若い人が乗るとカッコいいと思うんですよね。そういう類(たぐ)いの背伸びなら、どんどんして欲しいです!
(取材・文/コバタカヒト、撮影/井上太郎)
●おのののか 1991年12月13日生まれ、東京都出身。バブル世代の両親は車が大好き。ちなみにお父さんは、ののかちゃんの“アッシー”だそうです!
●清水草一(しみず・そういち) 1962年1月29日生まれ、東京都出身。『そのフェラーリください!』(講談社)、『間違えっぱなしのクルマ選び』 (楽書ブックス)など、クルマに関する著書多数。