住み慣れたシドニーから飛行機で約4時間、南国に心踊らせて着いたのはフィジー。
本島ナンディに降り立ったらいきなり汗ドバーッ! サンサンと光り輝く太陽とすごい湿気で、荷物を軽くするために着込んだ冬服がウェットになっていく。ひとまず宿探しすっかー。
窓ガラスもなくドアも開けっ放しの路線バスは、レゲエミュージックをガンガンに鳴らしながら走る。賑やかな場所になったら降りようと景色を眺めつつ、隣に座る現地の学生に「宿探ししてるんだけどチープなのない?」って聞くと、彼が指差したのはホテルがふたつしかないような寂しい場所。
こんな何もないところで降りるわけにいかないと、事前にフィジー留学者から聞いていた中心エリア・マーティンタールの場所をお隣さんに聞くと、「今のところだよ」って。ムム。マジですか??
通り過ぎたショックより、あそこが中心部だったことが恐怖。
しかたがないので、その閑散とした中心街で現地人が教えてくれた宿にチェックイン。ロビーの暗い蛍光灯の下で写真を1枚送るのに5分はかかるようなフリーインターネットの宿。セキュリティは不安だけど、意外にしっかり水洗トイレとお湯の出るシャワーが救い。
さぁ、気をとりなおして海にでも行こう! ...と思ったものの、なんと近くにはキレイな海がないことが判明。そっか、シドニーからの同乗客はみんなリゾートに行ったのね! 観光客はこんな寂しい中心街に来ないんだ。やられた!
熱帯地域特有のスコールもあいまって、なんだか憂鬱な気分にすらなってきた。近所には高い飲食店ばかりで宿にはキッチンもないので、とりあえずポテチと唯一の楽しみのビールで一日やり過ごす。不健康。
街をブラブラして出会ったのは...
■フィジーの街をブラブラ
薄暗い宿にこもっていてもしかたないので、とりあえず街を散策することに。
タウンのマーケットで食事はロティと呼ばれるクレープ包みの食べ物F$1(約55円)。コンビーフ、ツナ、ラムがあったけど、そういった具はほんのちょっぴり入ってるだけで、あとはカレー味の芋だらけ。しかしウマイ。食費はこれで浮くな。
前日、学生に混ざって買ったジュースの値段が高いのでケチをつけると、昨日と同じにしてくれた。同じものの値段が変わるのはストレス。かわいいファンキーヘアのおばちゃんを信じたいので、ボッタクリとは思わず、昨日はフライデーセールだったってことにしておこう。
小さなタウンを端から端まで何周もしていると、やっとひとりの警察官と遭遇。島の警察官は何人いるのかと尋ねると「4000人くらい」。ん? 中心街でも5日間で警官はひとりしか見なかったけど...。
そして夕方になるとタウンのバスターミナルには学生があふれる。ピンク、緑、えんじ、紫、水色、そしてブルーなど、カラフルな制服を着た学生たち。いろんな制服があるので、「フィジーに学校は何校あるの?」と聞くと、「いっぱい!」との答え。うーん、たぶん数校なんだろうけど、わりと数字にアバウトな国民性なのかな?
学生たちも大好きなインド系スイーツ屋台からは、カレーや八角や五香粉のようなツーンとした香辛料の香りが漂う。皆がすかさず注文するのでなかなか入れなかったが、見よう見まねでF$1を出すと5種類くらい買えた。でも、沖縄のサーターアンダギーみたいなドーナツ以外は、謎の香辛料の効いたがんもどきやかりんとうのようなもので、正直どれも口に合わない。空腹なので食べたけどね。
こんな感じで特に何をするでもなく、ローカルな街でブラブラと過ごした。やっぱフィジーは、快適に過ごしたければリゾートへ行くべきだね。でもバッパーの私にはローカルエリアが結果、似合ってたかも。
まさかの期待以上トンガ
■まさかの期待以上トンガ
やっと海なしフィジーを脱出。大きな期待はせずにお隣の島トンガへ。
トンガは空港からの公共交通がないので、予約した宿に送迎してもらう。ほらね、街に出る手段が無いなんていきなり大変じゃん。とやさぐれていたら...。
クー! 良い雰囲気!
山も川もなく坂もない街を、のんびり車が走る。通りすがる人の笑顔が温かい。物価の安い国でありがちな勧誘も一切なく、親切で人なつこい島人たち。トンガはなんとも心地良いところだった! 子供たちはカメラを向けると必ず笑顔になってくれて本当かわいー。
朝は鶏とブタの声で目覚め、夜は遅くまで歩いてもそれほど危険性はない。24時間と書かれたお店もかろうじてある。宿のフリーインターネットも島のわりにはハイスピード。聞けば昨年末からネット環境が変わったそうな。シェアメイトも皆満足していた。
さあ、こんどこそ美しい海だ!と、評判のファファ島に行こうとすると、宿オーナーが「ファファ島なんて高いぜ! もっと近場のパンガイモツ島ならTOP20(1TOPトンガパアンガ=約55円)で行けるぜ! うちの宿の冷蔵庫にはビールがあるぜ!」と教えてくれる。
周りにいる人も、「そうだそうだ! 街でビールを買うのは高いぜ! あそこの宿ならTOP3だぜ!」と、島の話がビールの話へ。ともかく島ぐるみで観光客から金をとろうとする国とは違い、商売気のないトンガンにますます好感度アップ。
小型船ですぐのパンガイモツ島は、地元の人が遊びに行く小さな島。波がなくプールみたいに泳げるナイスなビーチ。船着場がいきなりビッグママと呼ばれるしっかり体格のトンガママのお店になっていて、犬と猫が仲良く暮らしてる。まるでカリブの海賊に出てきそうな雰囲気。
小屋には数組のお客さんがいて、トンガ人のグループが楽しそうにお酒をあおっている。そのひとりの恰幅のよい女のコ(レナちゃんという)はベロベロで、「ニホンゴスコシ、ハナセマス」とフレンドリーに話しかけてきた。しばらく話すと、なんとその中にはトンガ王国のお姫様がいらっしゃるそうな! クー! マジですか?
姫は見た感じとってもフツーの女のコ。残念ながら写真はNGだったけど、酔いを加速させたそのグループに誘われ"酔っ払いだらけのグダグダバレー"という新競技で国際交流。こんなふうに現地の人と遊ぶのは、土地の人たちの人柄もわかるし旅の大切な経験になる。トンガ人はまさにハッピーピープルだった!
飛行機の都合でトンガはたったの1泊。後ろ髪を引かれながら、出発前におみやげ売場のく女の子と仲良く話していると「これTOP15なんだけど...」と言うので、ムム。セールス始まっちゃったな~とかまえていると、あなたは特別だから...」。うん、いっつもそう言われるよ。買ってあげたいけど買えないっていうのツライなーと思っていると、「お友達の印にこれをあげる。絶対また遊びに来て」と私に神のお守りのペンダントをくれた。
一度でも疑った心の汚れた私をお許しください。彼女が日本に来たら、お礼に寿司でもごちそうするとここに誓います。
街も人も、ほのぼの癒やしの空気であふれていたトンガ。この国には必ずもう一度、次はもう少し長く滞在してもっと生活に触れたいな。というわけで、今回の(勝手に)島対決は、トンガに軍配を上げたいと思います!
【This week's BLUE】 トンガの民族衣装。 スカートみたいなトゥペヌの上にタオヴァラというゴザを巻く。
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】