引っ越しシーズン真っ盛りの今、「0円引っ越し」「100円引っ越し」といった格安サービスが話題になっている。

そもそも引っ越し料金の相場は、価格比較サイト『価格.com』によると、都道府県内50km未満の単身者・荷物少なめの人で約3万円、荷物多めの人だと通常期で約5万円、さらに3月~4月の繁忙期だと7万円近くにもなる。

それがなぜ、0円や100円というタダ同然になるのか? 実は、引っ越し先でNTTのインターネット回線「フレッツ光」と、業者によってはプロバイダーに加入することが条件になっている、いわばキャッシュバックサービスなのだ。

この仕組みをメジャーにした「100円引越しセンター」を運営する企業、ベルテクノスの担当者に聞いた。

「もともと通信業界では、光回線を開通していただく代わりになんらかのキャッシュバックで還元するのは普通のこと。よく家電量販店などでもやっていますよね。私たちも光回線加入者にキャッシュバックをやっており、そのサービスを引っ越しで応用してみたんです。単身者の引っ越し規模なら、その料金をキャッシュバックに充(くわだ)てられる、と。本当は0円でもいいんですが、個人のお客さまが対象のため、無料だと怪しまれると思い100円にしています」(ベルテクノス・担当者)

2011年にスタートしたこの「100円引越しセンター」は、現在、月平均で約500件もの問い合わせがあるという。

激安引っ越し、注意しなければならない点とは?

今では同様のサービスが次々と誕生し、どの業者も、移動距離の上限や使用されるトラック、作業員の人数などに条件がつくものの、近距離の単身者ならいずれも問題のないレベル。さらに、引っ越し作業と一緒にインターネットの手続きができるので、転居後、すぐにネットを使うことができる点も魅力だ。

とはいえ、「インターネット回線工事はできるけど、引っ越しは素人です!」という業者が来ることはないのだろうか?

「私たちはもともと通信回線のコンサルティング会社ですが、引っ越しは専門業者に委託しています。正真正銘のプロが作業するので、安心してください!」(ベルテクノス・担当者)

引っ越し先でネット契約をすることが確実な人にとっては、契約や回線工事の手間が省ける上、引っ越し料金も激安になるという、いいことづくめのプラン。引っ越し先が「フレッツ光」に対応している建物であることが大前提だが、悩んでいる人は、一度検討してみるのもいいかもしれない。

(取材/高山 恵[リーゼント])

■週刊プレイボーイ13号「業界の新主流! 引っ越しは“タダ”の時代に突入した!!」より