眼下に見える奄美の美しい景色もさすがに飽きる? 奄美空港を2日で6回訪れる、JAL公式の16フライトツアー 眼下に見える奄美の美しい景色もさすがに飽きる? 奄美空港を2日で6回訪れる、JAL公式の16フライトツアー

1泊2日で計16回もフライトをするJALの公式ツアーをご存知だろうか?

早朝に羽田空港を出発し、徳島空港、福岡空港、奄美空港、喜界空港、また奄美空港……と、初日に7フライト、そして2日目に9フライト。同じルートの単純往復も含め、ひたすら飛行機に乗るだけのツアーだ。

乗り換え時間は30分程度なので、観光目的ではない。ましてやビジネスでもない。このツアーに参加する人の目的とは? 航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏が解説する。

「それは飛行機に乗ることそのものに理由があるからです。もっとわかりやすく言うと『乗る回数』に理由があるんです。このツアーを使えば、2日で16回飛行機に乗れる。そこが重要なんですよ」

JALもANAも、航空会社には飛行機に乗った距離、運賃クラスなどから算出する独自のポイント(JALはFOP[フライ オン ポイント]、ANAはPP[プレミアム ポイント]という名称)があり、そのポイントに応じてステイタスが与えられる。たとえばJALの場合、上位からダイヤモンド、プレミア、サファイア、クリスタルというステイタス区分になっている。

「実はJALはポイントのほか、飛行機に乗った回数もステイタス区分の基準にしているのです。最初のランクであるクリスタルは30回、次のサファイアは50回乗ると、必要なポイントが3分の1程度に免除されます。つまりこのツアーをうまく活用すれば、お金も時間も節約しつつ上位ステイタスが狙えるのです。今回のツアーに2回参加でクリスタル、3回参加すれば、サファイアは目の前です」

航空会社の「ステイタス」が上がればこんな特典が!

ざっくりと計算すると、JALでクリスタルを達成するのに必要なポイントは3万FOP。東京-札幌の往復(普通席)だけでためるなら15往復が必要で、必要なコストは約100万円(各種キャンペーン適用を考えない単純計算、2014年3月現在)。それに対し今回のツアー費用は12万から13万円程度で、2回でも約25万円である。

確かに割安ではあるのだが、そこまでしてステイタスが必要なのか?

「上位ステイタスに認定されると、あらゆる部分で一般の利用者より一段上のサービスを受けることができます。空港での待ち時間も快適なラウンジが使えるようになります。ランクが上がれば、サービスも手厚くなるというわけです。飛行機に乗るというのは、時間どおりに空港に行き、手荷物検査に並び、混雑したロビーで出発を待ち、搭乗時には再び列に並び……と、ストレスの連続です。しかしステイタスが上位になれば、手荷物検査も専用レーンとなり、搭乗も一番先。目的地で荷物が出てくる順番も優先されるなど、目に見えて優遇されるのです」(鳥海氏)

鳥海氏によると、このようにステイタス達成を目指して搭乗回数やポイントを稼ぐ旅のことは“修行”、修行する人は“修行僧”、ステイタス基準の達成は“解脱”と呼ばれているとのこと。興味のある人は1泊2日の修行に出てみては?

(取材・撮影/植村祐介)

■週刊プレイボーイ15号「何が目的!? JAL公式1泊2日16フライト修行ツアーに行ってきた」より

 島から島へのフライトは、このプロペラ機、340Bで 島から島へのフライトは、このプロペラ機、340Bで