イオラナ! 皆さんペヘコエ? 私はリバリバ! (ラパヌイ語で「こんにちわ」「元気?」「元気です!」の意味です)
みんな、モアイを知ってるかーい? 絶対知ってるよね! いつモアイのことを知ったか忘れちゃったけど、愛着のわくあの長い顔と、神秘的な存在感にはなぜだか惹かれる。
そんな憧れのモアイとの対面を夢見て、前回のエル・チャンティンから、途中ふたつの街に寄りながら長距離バスを乗りついでチリの首都・サンティアゴへ。ここからモアイのあるイースター島へはさらに西に3700km。まわりに島のない“世界で最も孤立した島”なんだって。
島への航空券は決して安くないけど、一生で一度は行きたいと思っていた憧れの土地。「今回行かなきゃいつ行くの? 今でしょ!」とおそらく日本では賞味期限切れであろうセリフをつぶやきつつ、いざ、絶海の孤島へ!
■イースター島にモアイ像は1000体も!
イースター島の正式名称は、スペイン語で「イスラ・デ・パスクア」。日本の小豆島ほどの大きさの島に、4000人の島民と1000体ものモアイ(!)が暮らしている。治安がよいと評判のこの島では、宿泊はキャンプ場が定番。私が訪れたときは、なんとキャンプ客の9割が日本人だった。
そんなわけで、レンタカー仲間もすぐに見つかり、さっそくモアイめぐりへ!
まずは、7体のモアイ「アフ・アキビ」! モアイとの初遭遇にテンションMAX! 旅仲間たちの高品質一眼レフやミラーレスカメラのシャッター音は鳴り止まない。
このモアイたちは、島で唯一、海を向いて立っている。彼らが見つめるのは、春分・秋分の日に陽が沈む方角ともいわれるが、島の古代文字を読める人がいない今、その理由は謎のまま。この現代に解けない謎があるって、なんてミステリアス!
ミステリアスで愛嬌もあるモアイたち
続いて15体のモアイ「アフトンガリキ」! いきなり、モアイめぐりのハイライトです。
このモアイは日本と深い関わりがある。1960年のチリ大地震の津波で破壊されたときに、某クイズ番組で私の尊敬するタマネギヘアーのお方が「どこか日本の企業が助けてあげればいいのに」の一言に、日本のクレーン会社「タダノ」が動いた。そしてモアイは再び立ち上がったのだという。……わりと、有名な話かもしれないけど。
日本語の書かれた記念プレートもあって、日本人として誇らしく思いました。これからも世界のどこかで倒れている人がいたら、手を差し伸べてあげられる国でありたい、そして私もそうしたいと思ったよ。
そして実は、島内にはほかにも倒れたモアイがたくさんいる。プカウと呼ばれる帽子のようなものが散らばってる後ろに、うつ伏せに倒れるモアイはなんとも悲しげ。寝てるわけじゃないよね? でも、不謹慎だけどちょっとかわいらしくも見える。
そして、モアイの製造工場「ラノ・ララク」という石切り場に入ると、さらに夢の景色が。そこには400体のモアイが思い思いに地球に刺さっている。新しめのモアイはまだ風や雨を浴びてなく、目鼻立ちクッキリで鋭い顔立ち。平成の生まれでしょうか。イケメンです。
あ、そうそうモアイのほとんど男性なんです。そして実は女モアイも存在するけど、その姿はほぼ石のままで、なかなかモアイ像とは言いがたい。正座をするモアイはちょっとポッチャリでオシリがかわいかった。
憧れてたモアイたちは実際に目の当たりにしてもやっぱり不思議で、言葉を発さず物言いたげなその存在感にはカリスマ性すら感じる。彼らは人が作った物だけど、いつか島民の数を超えて、人間を倒し、イースター島にはモアイだけが住むようになるんじゃないかな。……そんな妄想が広がりました。
まさかの2度目の事件勃発!
■まさかの2度目の事件勃発!
イースター島は伝統的なポリネシアンダンス「カリカリダンス」のショーも見もの。男性の力強いダンスと女性のフラダンスやタヒチアンダンスが交互に繰り広げられ、1時間汗ビッショリで踊り続ける。島民パワーを感じる熱い演技に、ポリネシアンダンス好きの私も大満足。
衣装もなかなかセクシーで、女子もオシリが出ていたり、男性もフンドシ風に前を隠した衣装の中が裸の人も。悩ましい。
熱い夜に満足し、私はキャンプ場まで真っ暗な田舎道を歩いて帰った。この後、2度目の事件が待っているとも知らずに……。
キャンプ場に着くと、すっかり仲良くなった旅友たちがキッチンでパーティー中。吸い込まれるように私も参加する。そして、いったん荷物を取りにテントに戻ろうとしたときのことだった。あれ? 3m先に人影が。真っ暗で良く見えないけど、友達かな? 声をかけるとその影はしゃがんだ。
様子がおかしい。私は固まる。おかしい。ヤバイ。怖い。するととたんにその影は走り出し、目の前の壁を飛び越え私の前から消えた! まさか、嘘でしょ? 私は慌ててテントに入る。鍵がない。ドアが開いている。中に入ると薄暗いけど、わかる。バックパックがない!
私は走りながら叫ぶ。「みんな、泥棒!」。すると20人ぐらいが「ラドロン!ラドロン!(泥棒)」と飛び出して来た。そして、遠くから友達の「バッグない! パソコンとか電気製品全部!」との声が。ああ、やられたか!
心臓のドキドキを抑えながら、犯人のいた場所に恐る恐る近づくと……足元に何かある。私のバックパックだ! しかも重い! 開けてみると奇跡的に荷物は全て入っている。犯人がしゃがんだ時、見つかったと思って荷物を置いたんだ。もし、あと数秒遅かったら……。ブエノスアイレスに続き、なんて悪運の強い私のバックパック!
結局、友達のバッグも壁の向こうで見つかり、パソコンも無事。全体の被害は現金が3万チリペソ(約6000円)と100ユーロほどだった。
今回、被害にあったのは日本人だけ。今までこんな事件はなかったらしく、キャンプ場の人たちはショックを受け、警察を呼んだり警備員を配置したりと頑張ってくれた。私たちもいろいろ推理をめぐらし、「犯人はこの中にいる!」なんて漫画のマネをして明るく振舞っていたが、結局のところ謎は解決できず(あたり前)。
それとも、島民の言う「モアイは自分で歩く」は現実で、そんなモアイのいたずらだったのか。……なんて妄想してみるけど、唯一、犯人の姿を見てしまった私は、島を去る日まで落ち着いて眠ることができなかった。
イースター島が安全だなんて誰が言ったんだい。ここも南米だということを忘れてはいけない。泥棒と見合ったけれど、まだ生きてます。
【This week's Blue】 数々の素敵ビーチを見てきた私の中でも、上位にエントリーするであろう、モアイ像がドドーンとソリ立つアナケナビーチ! 海の色も絶品で、思わず服を脱ぎ捨て飛び込んだ!
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】