突如始まりました新連載コラム「週プレ釣り部」。旬の魚を釣り、そして美味しく食するため、日本全国の海、川、湖に釣りバカたちが出動します!
はたして毎回、上手いこと釣れるのか?……という一抹の不安はよぎりますが、ボウズでもご愛嬌。釣りの楽しさを知っていただければ。
それでは第1回、スタートです!
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■今回のターゲットはマハタだ!
4月上旬、桜の枝先に若葉が萌え始める頃、「三日間寒く、四日間暖かく」のペースで、じわじわと気温が上がってくる。それにつれて海水温も上がり、海の中も騒がしくなってきた――「週プレ釣り部」、いざ出動します!
記念すべき連載の第1回、ターゲットは「マハタ」だ。
漢字で書くと「真羽太」。北海道南部が北限で、以南の岩礁帯に生息するスズキ目スズキ亜科ハタ科マハタ属である。
沖釣りにたまたま混じり、“プラチナ外道”として釣り人を喜ばせてくれるが、サイズはマチマチで、千葉・勝浦沖では0.5kg前後から2kgぐらいが平均サイズ。伊豆七島などの島廻りでは、まれに100kg、1m超にもなる超大型サイズが釣れることもあり、別名「カンナギ」と言われている。
外見は、体の側面に7本の縦縞が入り、うちわのように丸みを帯びた尾ひれと胸びれ。ずんぐりむっくりの体型はどこかシーラカンスを髣髴(ほうふつ)とさせる。メタリックグリーン色の目は妖艶で美しいが、その顔は、下あごが上あごより前に出て受け口。荒武者のようなロックフィッシュ(根魚)だ。
行動範囲はごく狭く、ゴツゴツした岩礁帯の間に潜み、近づいてきたイワシなどの小魚や甲殻類といった獲物を、大きな口で丸飲みする。その瞬間は、想像以上のダッシュを見せることもある。
そして、なんといっても美味い! 白身の肉質はほどよく脂(あぶら)が乗り、刺身・鍋・塩焼き・煮魚・シャブシャブ・蒸し魚フライなどなんでも来い! さらに、鍋や煮魚に出る旨み脂は最高の出汁(だし)となる。また肝(きも)は、湯通ししてポン酢で食したり、煮ものに混ぜたりする。巷(ちまた)の店頭にはなかなか出てこない希少な高級魚なのである。
とはいえ、実はワタクシ、過去においてマハタを専門に狙って射止めたことはない……。マダイ釣りやヒラメ釣りの外道として釣ったことはあるものの、狙うと釣れないニクいヤツなのだ。ぜひとも、今回リベンジしてみせる!
稀有魚・マハタを釣るポイントは?
■情報も少ないマハタ攻略
ここで、マハタ釣りのポイントをおさらいしよう。まず基本として、マハタはフィッシュイーター(生きた魚を捕食する)であるということ。エサはイワシ類、アジ類、エビ類。こいつらがピンピン動いてないと食わないのだ。
ということは、海底でじっとしているマハタの近くに活きエサを差し出さなくてはならない。そして、自然にエサを泳がせ、じっくり待ってバイトを誘う。
しかし、このプロセスがまた険しい。ゴツゴツの岩礁帯では、仕掛けのオモリが根に引っかかってしまう。また、適当に潮が流れていないとイワシも泳がない。そこらじゅうにいる魚でもないので、マハタの棲家の真上に仕掛けを落とさなければならない。天候、潮、岩礁帯、水温、エサの状態など、あらゆる条件が揃ったときにだけ魚信(アタリ)が来るのだ。
しかも、マハタを釣らせてくれる船は少ない。つまり、情報が極めて少ないのだ。そんななか見つけたのが、マハタ五目乗合船、勝浦松部港「信照丸」。五目と言うからにはマハタ以外では、ヒラメ、カサゴ、マトウダイ、ヒラマサなどの青物が混じる釣りとなる。
早速電話して船長にたずねると、「マハタは一年中釣れるが、たくさんは釣れない」とのこと。しかし行くしかない! 釣るしかないのである!
(5月3日配信の第2回に続く)
【マハタ釣り情報】 場所 :千葉県勝浦松部港(都心から車で約2時間) 釣り船:信照丸(予約は0470-73-3483、または080-1180-2691) http://www2.bii.ne.jp/~sinsho/index.html
船長 :吉野 勉 船紹介:全長18.5m、全幅3.7m、電動電源、トイレ3、循環水、探見丸 釣り物:4月現在はイサキ乗合、マハタ五目乗合、ルアー乗合で出船中 海域 :松部港を出て40~50分くらい走った、三本松という根(岩礁帯) エサ :活きたマイワシ(15㎝前後の中葉イワシ) 仕掛け:信照丸謹製の活きエサ仕掛け、ハリス8号90cm、シマアジ針の1本針 オモリ:100号 交通 :車は都心からアクアライン利用で鶴舞IC下車→松部港 料金 :ハタ五目乗合10,800円(活きイワシは別料金、1尾120円)