気温がだんだん高くなり、湿度も徐々に上がるこの季節。「なんか足がムズムズするな」と思ったことはないだろうか? 実は今、日本人の4人に1人が水虫で、しかもこのGW明けが発症の時期なのだという。

医学博士で、日本医真菌学会理事長、お茶の水真菌アレルギー研究所所長の比留間政太郎氏が説明する。

「水虫菌(白癬菌・はくせんきん)は、人の皮膚・爪・毛が好きなカビの一種で、とても身近な菌なんですよ。それが、足につけば水虫で、爪に入れば爪白癬、股の間につけばインキンタムシ、体につけばゼニタムシになります。水虫は、気温が18度以上、湿度が70%以上になると活発に動き出します。関東でいえばゴールデンウイーク明けからが、ひどくなり始める時期ですね」

まさに、水虫の恐怖はそこまで迫ってきている。

「実は、水虫が皮膚に付着したばかりのときは、それほどかゆくないんですよ。皮膚が少しカサカサしてるなあという感じです。だから、普通の人は自分が水虫(の初期症状)だとはわからない。それに夏になって、なんとなくかゆいなと思っても、秋になれば収まってしまうので、そのまま放っておいてしまう。こうした“隠れ水虫”の人は、ものすごく多いんです」

そんな“隠れ水虫”はどうなってしまうのか。比留間所長が続ける。

「その状態で数年が過ぎて、水虫菌が増殖してくると、皮膚がグジュグジュしてきたり、ポツポツ発疹ができたりして、かゆくなるんですね」

自覚症状が現れたら、それは水虫がかなり進行しているということ。

水虫菌で死亡例もあった!

「それが、さらに進むと角質増殖型といって、皮膚がザラザラになります。お年寄りの足などによく見られるのですが、この状態になるとかゆみがなくなるんですよ。それで、さらに長期間放っておくことにもなります。

また、ジュクジュクしたり、ポツポツ水疱になっている状態では、壊れた皮膚から化膿菌が入り、足が腫れ上がって痛くなることもあります。そうなると歩くこともつらくなりますよね」

水虫の恐怖はまだまだ続く。

「私が順天堂大学病院にいたときは、水虫が化膿して歩けなくなり、入院した人が年に6、7人はいました。化膿菌が水虫に入ると2、3日で急に症状がひどくなるんです。この状態になったら、一刻も早く病院に行くべきですね。

これは終戦直後の話ですが、水虫菌が脳の中に入って、死亡した例が3、4例あります。化膿したところから水虫菌が血流の中に入って、脳の血管に腫瘤(しゅりゅう)をつくったんです。水虫菌は皮膚だけではなく、まれに体の中に入ることもあるんです」

たかが水虫と侮(あなど)るなかれ。この季節、足は隅々までしっかり洗いましょう!

(取材/村上隆保)

■週刊プレイボーイ19・20合併号「人に言えない『水虫の悩み』解決法!」より