ヤバイとは思っていても、なかなか病院に足が向かない「再検査」。放っておくとトンデもないことに?

会社や学校で1年に1回行なわれる「定期健康診断」の季節がやってきた。

診断結果に「再検査」の文字を見つけた人もいるかもしれない。とはいえ、お医者さんからキツく「絶対に再検査しなさい!」と言われたわけでもないし、まあいいか……と思っていたら非常に危険だ。

産業医(企業における労働者の健康管理等を行なう医師)の経験も持つ、健康科学アドバイザーの福田千晶先生(医学博士)が、健康診断の重要性をこう教えてくれた。

「私が診た患者さんで、40代で脳出血や脳梗塞になり、手足のマヒや知的障害など、大きな障害を持ってしまった方たちがいます。そういった方の中には、健康診断で『高血圧』や『脂質異常』を指摘されていたのに、何も治療をしなかったことをすごく後悔されている方が多いんです。報告書に『再検査』や『治療』と書かれていたのに無視していたんですね」

つまり、ちゃんと再検査を受けていれば、大きな病気にならずに済んだ可能性が高いということ。後悔しても、そのときには遅いというわけだ。

健康診断にはふたつの目的があると、福田先生が説明する。

「ひとつは“今の自分の体の状態を知る”ことです。『今、尿酸値が高い』とか『今、血圧が高い』とか『今、肝臓が悪い』という現在の体の状態ですね。もうひとつは“将来の病気の予防”。今、中性脂肪が多いということだけで、すぐに死ぬということはありません。

しかし、その状態が続くと血管の老化を早め、動脈硬化を進ませてしまう。そうすると若い年齢で、脳梗塞や心筋梗塞などになる可能性が高くなります。また、血圧が高い状態が続くと、血管を傷つけ、脳内の血管が破裂して脳出血になる可能性もあります。こうした大きな病気を予防しようということです」

健康診断は、血管系の病気リスクを下げることができる

もちろん、自分で「すごく健康」と感じていたとしても、健康診断は受けなくてはならない。

「そもそも健康診断は、自覚症状がほとんどないものを調べるものなんです。例えば尿酸値が少し高くても、血圧が少し高くても、特に自覚症状はありません。だから、自分は健康だと勘違いしてしまうこともあるでしょう。そうした、自分では気がつかないけれども、治療したほうがいい病気が潜んでいた場合に知らせてくれるのが健康診断なんです。

日本人の死因を大まかに分けると、約3分の1はがん。約3分の1は脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など血管系の病気。残りの約3分の1は事故や肺炎、のどに何かを詰まらせたなどの予期せぬ事態です。健康診断は、この約3分の1を占める血管系の病気リスクを下げるために大きく役立つんです」(福田先生)

診断結果に「再検査」と書かれていたら、迷わず病院へ直行だ。

(取材/村上隆保)

■週刊プレイボーイ21号「皆さん、知らなすぎだよ! 健康診断表の正しい読み方」より