関東でもすでに真夏日を記録するなど、汗ばむこの季節。実は、“水虫”がもっとも発症しやすい時季なので注意が必要だ。
感染には「水虫菌がたくさんすみ着いているアカが媒体となる場ケースが多い」と解説のは、医学博士で、日本医真菌学会理事長、お茶の水真菌アレルギー研究所所長の比留間政太郎氏だ。
「歩いただけでうつることはないでしょう。よく病院のスリッパでうつされたという人がいるけれど、それは考えにくいです。それよりも心配なのは、水虫菌がたくさんすみ着いているアカが媒体となるケースです。
水虫菌は、体から離れたアカをエサにして半年から1年ほど生き続けます。感染経路として一番多いのは、アカが家庭やスポーツクラブ、プール、浴場などの足ふきマットなどに落ちて、次にそのマットを使った人に付着し、気づかないまま2、3日過ごしてしまう場合です。それが主要な感染ルートです」
感染を予防するには、どうしたらいいのか?
「水虫は、皮膚に24~48時間ついていると、角層の中に入っていきます。ですから、予防の基本は毎日お風呂に入って、足をきれいに洗うことです。そして、そのときに“足の指の間”“爪のまわり”“土踏まず”“かかと”などを丁寧に洗う習慣をつけることです」
やはり第一に“洗うこと”。また、メッシュの靴など、通気性のいい靴を履くこともかなりの予防になるが注意点があるそう。
「ただし、通気性が良さそうだからといって、大きめのブカブカの靴を履くのは逆効果です。靴の中で足が動いてしまって、擦れて皮膚が壊れ、化膿するなど重症化する原因になります。
あと、仕事などで歩いた後は、靴を脱いで、足の指を開く運動をするのもいいでしょう。指の付け根が一日中くっついていると菌がそこに密着してしまい、皮膚内へ侵入して水虫になりやすいというデータもありますから」
完治には3カ月以上が必要!
それでも、水虫になってしまった場合、市販の薬で治すことは可能だが、比留間所長はあまりオススメしないという。いったい、なぜか。
「多くの人は市販の薬を塗って、少し症状が良くなると、治ったと思って薬を塗るのをとめてしまうことが多いんです。
一般的に足の裏の古い皮膚が新しい皮膚と入れ替わるのに3ヵ月(かかとなどの硬い部分と爪は1年)ほどかかります。ですから、重症度にもよりますが、病院に行ってもだいたい3ヵ月は治療期間が必要です(かかとや爪の場合はだいたい1年は必要)。
症状が治まっているのに薬を塗り続けるのは、かなり根気が必要です。しかも、市販のよく効く薬は、1本3000円程度します。それを足全体に塗ると10日くらいで使いきりますから、月に3本で1万円。3ヵ月で3万円近くの出費になります。それなら、初めから皮膚科に行ったほうが確実に治せると思いますよ」
そもそも“発疹があってかゆいから”というだけでは、ほかの皮膚病の可能性もあり、その場合、水虫の薬で悪化することも。市販の薬で治すより、やはり病院できちんと治したほうが得策だ。
ちなみに“お酢で足を洗うと水虫が治る”といわれているが、それは本当なのか?
「お酢で菌は死にませんから、1回洗っただけで治ることはありませんね。ただ、毎日、お酢できれいに足を洗うことは予防にはつながります。また、熱い砂浜を歩くと治るとかいいますが、それもありません(笑)」(比留間所長)
長く苦しみが続く水虫。日々の予防はもちろん、ヤバイ!と思ったらすぐに病院へ行って、今年はきれいな足を見せびらかして夏を過ごそう。
(取材/村上隆保)