「ムチョパパス!(イモばっかり!)」
みなさん、おイモは好きですかー? ボリビアで毎日のようにイモばっかり食べているマリーシャです。
絶景に感動したウユニからバスで約10時間、ガッタガタに揺られ着いたボリビアの首都・ラパスの早朝マーケット。そこでも私を待っていたのは、大量のイモ、芋、おいも! ボリビア人はほんっとにイモが大好きなんだなー。
「ラパスにはイモが400種類あって、ボリビアには3000種類あるんだよー」
そう教えてくれたのは、フリーツアーの英語ガイドさん。チップのみで街案内してくれるフリーツアーは充実した内容で、マップを開かずとも街の中心が把握できるのでオススメ。赤と紫の髪をしたガイドさんの後ろを、各国のバックパッカー30人がゾロゾロついて歩く。
そして、市場で大声を張り上げ、大量のイモをさばいているのが、「チョリータ」と呼ばれる三つ編みのおばちゃんたち。彼女らは先住民族「インディヘナ」で、ラパスの人口の半数以上に及ぶそう。
ウユニで会ったシャイなおばちゃんたちとは随分違う、社交的な雰囲気。日本人が珍しいのか「スマホで一緒に写真撮ろうよ」と声をかけてきたおばちゃんも。ボリビア人と国際交流の兆しが見えてちょっと安心。
そしてツアーガイドさんは、チョリータについてこう教えてくれた。
「帽子をまっすぐにかぶってる人は結婚してて、斜めにかぶってるのがシングルだよー」
チョリータのトレードマークはハットに三つ編み、ヒラヒラのスカート。伝統を誇りとしてそのスタイルをしている人が多いので、わりと年配が多く、その格好を好まない若いコも多いらしい。でも、南米でもここまで民族衣装をまとった人が多いのはボリビアの特徴だと思うし、日本の着物のように伝統のスタイルを大事にするのはいいコトだよね。
泥棒市で、盗まれたパソコンを探してみた
ラパスの旧市街は、終わりの見えない店数の並ぶマーケットで賑わってた。野菜売場、肉売場、洋服、日用品、オモチャやDVDまでなんでもそろう。今まで各地で見てきた中でもこれは一番の規模。
それから、おもしろかったのが「魔女通り」。その怪しい名前の通りには、パチャママと呼ばれる女神の信仰グッズが売られていた。さらに呪術に使うリャマのミイラや、お香、おまじないグッズも。通りには異様な匂いがたちこめている。これはラパスでしか見なかったし、興味深かったけど、やっぱり不気味。おみやげを買う気にはなれなかった。
■盗品が集まる「泥棒市」へ
そして、この街での注目はなんといっても名物・通称「おばプロ」!
おばプロとはチョリータスタイルのおばちゃんたちが行なうプロレスのこと。これは、南米で一番ふざけた観光になりそうだけど、怖いもの見たさで行ってみよう!
おばプロの会場は、ラパスではこれまた有名な「泥棒市」と隣接している。
旅人の間で通称・泥棒市と呼ばれるこのマーケット。要は旅人から盗んだ携帯やらパソコンなどが売られているんだって。もし何か盗まれたら、そこに行けば見つかるとさえ言われている。まあ、見つけたところで、お金を払って取り戻すことになるんだけど。
どんな闇マーケットかと思いきや、さわやかに晴れた青空の下に大量の露天が並び、普通の市場と何ら変わりない。
だけど、時折後ろを振り向くと、こっちをジロジロ見ている怪しい男がいる。泥棒市で泥棒にあうなんてたまらない! 私は貴重品をしっかりと握りしめ、警戒して歩いた。
残念ながら、私や旅友がブエノスアイレスで強盗に盗まれた品々は見つからなかった。ま、そーだよね。
おばプロに感激!
■おばプロ、感動のパフォーマンス!
そしてお待ちかねのおばプロ開演。
前情報ではかなりの茶番と聞いていたので、コメディと思って見ることに。けど日本でクオリティの高い笑いに慣れ親しんだ私に笑えるかしら。
そこにチョリータおばちゃん登場! フリルのスカートを翻しながら、派手な音楽にノリノリ。クルクルと観客席の前を踊りながら練り歩く。観客は口笛をピューピュー鳴らし、拍手やヤジでヒートアップ!
今まで会った人たちと違い、ハイテンションでダンサブルなチョリータが珍しく、「こういうタイプも存在するんだ! けど伝統を重んじる人たちと対立しないかしら」と心配になった。余計なお世話か。
途中イケメンを見つけると顔をつかんで熱いキス。隣に座る彼女がキレる場面も。
いよいよリングに上がって、対戦スタート!
相手を殴ったり蹴ったり、お尻でふんずけたりするおばちゃんたち。翻るスカートの中からパンツが見えた直後、キック炸裂!
……と思ったら、すぐに反撃を受け、その瞬間見せる表情は演出とは思えないリアルに辛そうな顔。頑張れ、おばちゃん!
ヒール役のおばちゃんは、観客に対しても水をかけたりしてくる。これにキレて、おばちゃんにペットボトルを投げつけるオージーの旅友J。すぐにリング上は客の投げたポップコーンやペットボトルが散乱。
ヒール役のおばちゃんにはブーイングも飛ぶが、このプロレス、茶番的なところもあるとはいえ、本気で彼女らの体力がキツイと思う。標高約3600mの高さでこれだけ暴れるおばちゃんに、見てるこっちが息あがっちゃうよ!
おばプロを見て笑ったかといえば、逆。私は涙。痛そうとかかわいそうとかではなく、不覚にも(?)感動したから。ウユニではあんなに内向的でシャイなイメージだったけど、こうやって体張って、皆を楽しませるサービス精神を持って生きてるチョリータもいるんだなーと思ってね。おばちゃんたちの頑張りに拍手!
「おばプロを見て泣くやつはマリーシャくらいだ」。 周りにそう笑われながら、私は今日も生きてます。
【This'week's Blue】 ボリビアは安い床屋もいっぱいで、勇気ある旅人男子が果敢に挑戦をする。結果、みな悲しげな表情を見せるが、挑戦する人は絶えることがない。旅人のチャレンジ魂か。カット20ボリ也(約300円)。
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】