今、若い男を中心に美容への関心が高まり、“綺麗男(キレオ)”や“美魔男(ビマダン)”なんて人種まで出現しているという。
“美容”なんていうと初心者には敷居が高い。とはいえ、やっぱり女子モテの最低条件といえば、「清潔感」があって「さわやか」な男。身だしなみがビシッとキマれば、仕事だって自信を持ってこなせそうだ。
いきなりイケメンになるのはムリとしても、“小ぎれいな男”になら努力すればなれるんじゃ? でもそれって毎日風呂入るだけじゃダメなのか? お金がないモノグサ男でも変身できちゃうのか?
……というワケで、勇気を出して初めての“メンズ美容道”、一緒に学んでまいりましょう!
■男にスキンケアは必要?
―さっそくですが男性美容研究家の藤村岳(ふじむら・がく)先生、ご指導よろしくお願いします! とかいいつつ、男が美容って気恥ずかしいっていうか、やっぱ男は中身だろなんて思ったりも。
「ハッキリ言って、その考えは時代遅れですね(さわやかな笑顔)。例えばスキンケアといっても、そんなに特別なことをするわけじゃない。トラブルがない健康的な肌に戻すだけ。“ゼロベース”の見た目に戻すだけだと、まず知っておいてください」
―ゼロベース? つまり、何もしないとマイナスの見た目になってしまうってこと?
「そう、確かに昔ならガツガツ働いて汗くさい、男くさいのも美徳だったかもしれません。でも、今は女性の社会進出も進み、“汚い人とは一緒に仕事をしたくない”という時代。合コンでも“汚い人”は誘ってすらもらえませんよね?
中身を知りたいと思われるためには、まず“ゼロベース”の見た目が大事。つまり、スキンケアをはじめとする身だしなみは“男の危機管理”といえます」
―汚い男は女も仕事も逃げていく、と。スキンケアはデキる男のリスク・マネジメントってワケですね。
「今、20代前半までの男性にとってスキンケアは常識。みんな食事の後に歯を磨くような感覚でやっていますよ。
でもミドル以降では意識の差が大きいのも確か。危機意識の高い人は、何もしてないように見せてウラできっちりやっているものです。“男はそんなことしなくていい”という強がりを捨て、早く始めた人から確実に差をつけられるでしょうね」
男はある日突然、ダムが決壊するように老ける
■男の肌は頑張れる。でもある日突然……
―ホントは気になってるけど強がってる……ありますね。ひそかに始めてそんなみんなに差をつけたいです。藤村先生のようなすべすべお肌になる秘訣を、コッソリ教えてください。
「その前に、まず男の肌の基本を知っておきましょう。実は男の肌は女のコよりも若干厚みがあります。その分、中のコラーゲンやエラスチン(*)などの量も多く、肌が強い。つまり、ケアしなくてもそこそこ我慢できてしまうんです。だから30歳くらいなら、まだ男の肌のほうがつるっとしてたり。
でも、そんな頑張れてる肌を過信して何もしないと、ある日突然、男はダムが決壊するように老けます。それがシワ、シミ、たるみとか。ちょっと会わない間に急に老けたという人、周りにいませんか?」
*コラーゲン/エラスチン…皮膚などに多く含まれるタンパク質の一種。コラーゲンは保湿効果を維持し、エラスチンは肌に弾力を与えるといわれる
―いるかも……。ある日突然、鏡を見たらオッサンになってるって、コワすぎる。
「それから、男の肌を老化させる大きな原因がもうひとつ。それは“ヒゲそり”です。毎日カミソリを肌にあてるのは、強制的にピーリングをしているようなもの。表皮の最も外側にある、ラップ1枚程度の薄さの角質層をガリガリと削り取っているのと同じ。だから、こまめにケアして修繕しないと、いつかダムは決壊してしまうでしょう」
―どうしよう? 今まで何もしてません! このままでは決壊してしまう。今からでも修繕は間に合うんでしょうか?
「老化は20代から徐々に始まり、40代でガクンと差が出ます。でも、そんなに心配しなくても大丈夫。もちろん、早ければ早いほど肌は答えてくれます。かといって何歳すぎたらムダということもない。
これまで何もやってこなかった人ほど、正しいケアをするだけで劇的に変わっていきます。それが楽しくて、どんどんハマっていく男性も多いんですよ」
ということで、次回はスキンケアの基本「洗顔」をクローズアップ。藤村先生の指摘する「男を老けさせる間違い洗顔」とは? 要チェックです!
(撮影/五十嵐和博)
●藤村岳(ふじむら・がく) 男性美容研究家。1973年、東京生まれ。雑誌・書籍の編集者を経て、シェービングを中心に据えた独自の男性美容理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動中。総合情報サイト『All About』にて「メンズコスメ」のガイドも務めている。数々のテレビ番組やラジオなどの出演のほか、講演・イベントなども行う。【http://danbiken.net/】