ぐっすり眠っている証拠、と軽く考えがちだが、放っておくと危険性なのが「いびき」だ。
医薬品会社の調査によると、日本人男性の約4割に症状が認められるというデータもある。いびきをかくのは当たり前のように思えるが?
「たかがいびきと思われがちですが、それが健康や人間関係にまで悪影響を及ぼす可能性があることは肝に銘じてください」
こう語るのは、国内有数の最先端いびき治療を行なう、東京・東銀座の慶友銀座クリニックの大場俊彦院長だ。
このクリニックには、いびきの悩みを抱える働き盛りのサラリーマンが、毎日5~10名、初診患者として来診するという。「いびきがうるさい」と周囲に指摘されやってくるのだそうだ。
大場院長が、いびきの危険性について語る。
「いびきには鼻づまりや疲労が原因の単純性のものと、寝ているときに気道がふさがって息が止まってしまい、いびきを起こすケースがあります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)という言葉はご存じですか?」
どんな病気なのか?
「日本人の2%に見られるほど潜在患者数は多いんですが、睡眠中、1時間に無呼吸や低呼吸が5回以上繰り返されるなどの症状が特徴です。放っておくと日中に極度の倦怠感(けんたいかん)や疲労感を覚えたり、頭痛やインポテンツといった症状を引き起こします。また、車を運転しているときに突然尋常でない眠気に襲われて事故を起こす方も多く、非常に危険です」
いびき対策には、まず減量すること!
その恐怖はまだ終わらない。
「さらにそれが重症化して無呼吸時の低酸素状態が続くことで、動脈硬化や脳卒中、高血圧や糖尿病などの合併症を引き起こしてしまう例もあるんです」
たかが、いびきと侮(あなど)っていたら、いつの間にか大病になっている可能性があるということだ。
いびき対策に効果のある予防法や解消法を大場院長に聞いた。
「肥満の人は舌の奥にもたっぷり脂肪がついてますから気道が圧迫されるんです。とにかく減量をすることですね。また、のどの筋肉を緩め、気道の閉塞を起こしやすい寝酒は控えましょう。そして、加齢とともに衰えやすいのどと舌の筋力を鍛えるべく、舌を前に出したり回転させたりする運動も効果的です。枕を替えたり、市販のいびき対策グッズで一定の効果が見られる場合もあるので、まずは一度医師に相談してみてください」(大場院長)
日常的に大きないびきをかいている可能性のある人は、一度病院へ行くことをオススメする。
(取材/河合桃子)
■週刊プレイボーイ24号「『いびき』に人生を狂わされた男たちの悲劇」より