前半のシロギスはいまいちだった週プレ釣り部。それでも本命のアナゴを釣り上げることはできれば万々歳。慣れない二刀流を駆使して達成できるのか、はたしてっ!?
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いよいよ後半戦、本日本命のアナゴ釣りの開始!
まずはエサの準備。明るいうちはサンマの身エサに分があるとの情報に乗っかり、今朝方、生サンマを購入していた。クーラーからサンマを出し、3枚に下ろす。それを5ミリ幅の短冊状にカット。竿は2本、一方の仕掛けにはサンマの身エサ、もう一方はアオイソメ団子房掛け。どっちが最初に食うかな?
二本とも仕掛けをおろした。慣れないせいか、なんかしっくりこない。二本竿を交互にコツコツかぁー、難しいなぁー。
それもそのはずで、一本は135cmでもう一本は120cmと長さが揃っていないのだ。これでは違和感があるのも当たり前か。
船長は「アタリがなかったら、スピニングリールで遠投して、広範囲を探って下さい。7時ごろから食いだすと思います」としきりに言っていた。遠投はシロギス釣りと同じで、ハリスが短いだけだ。1時間が経過、つまり6時半。誰も釣れていない。
■暗闇でただただ過ぎ行く時間
数回の場所移動をしたにもかかわらず、いまだ誰も釣れないまま8時を回った。船長は、「少々風が収まったみたいなので本命場所の木更津沖に移動してみます」と意を決して船を動かす。
相変わらず8mくらいの強風だ。海面は風で白波が立ち、ウサギのように飛んでいる。船はそんな中、約20分ほど走って木更津沖に到着。船長がポイントを探っている。アンカーが下りた。
「どうぞやってみて下さい。いやぁー今日は渋いなぁー」。
船長はさじを投げるも奇跡が起きた!
さっきまでと同じようにコツコツ、トントンと海底を小突けど、小突けどアタリなし。途方に暮れかけていると、ここで私の前方にいる船長がアナゴを掛けた!
アナゴいたんだぁー! まぁまぁのサイズだが念願の1匹目が釣れた。風はビュービューとマストを抜け、波がバシンバシンと船腹を叩く。そして焦燥しきっていた時のお初アナゴ。船上はにわかに騒いだっ!……と言っても4人なので聞こえない。気持ちが騒いだのだ。
…… しかし後が続かないまた元の焦燥に戻ってしまった。うぅーん、ブツブツ、K氏が何か言っているが聞こえない。ビュービュー、バシバシバァーンと荒れ模様のまま、9 時を回った。船長は少しでもアタリのある場所を探索するも反応なし。ダルマ状態です。奥の手も秘密兵器も無く、お手上げだ。
船長「申し訳ありませんが、あと15分です、次が最後の場所にさせて下さーい。今日はダメだねぇー、まいった、今年度のワースト記録を更新してしまいました。ごめんなさい。」
■ラストチャンスで起きた奇跡
ついに最後のポイント移動になってしまった。
しかし最後の最後にドラマが待っていた!
なんと残り時間数分、最後の一投で待ちに待った、本日最初で最後の魚信! 海底を小突いているときに、クックッっと来たっ! アタリだ!
食ったやいなや電光石火の合わせっ! ギブアップ寸前の左手で大きく、力一杯突き上げた。今までの焦燥や落胆云々で「取材不成立」がちらちらしてきた矢先、この魚信はアンビリーバブル。奇跡に近い。
しかし、本当に本命のマアナゴだろうか? ドキドキしながらリールを巻いた。頼む、アナゴであってくれっ! 頼むっ、バレんなよっ! 巻きながらじっと海面を凝視。頼むっ! 頼むっ!
小さくても元気なアナゴ!
じゃじゃじゃぁーん! アナゴじゃーやぁっったー! うわっはっはっー! でも、ちぃーっちゃ。でもアナゴぉぉー! 最後の一投できたぁー、やぁっったー!
クネクネと頑張ってハリを外そうとしている小さいアナゴちゃん。やがてアナゴちゃんはクネクネ団子状態になってしまったが、少し待ってたら、苦しくなったのか自ら体を解いた。
でも、ちぃぃちゃっ!これってやっぱりリリースかなっ? まだ中学生って大きさだよ。これで船中4人(船長含む)で3尾目だ。船長はいつの間にか1尾を追加していた。
そして……ああぁー、無常にもタイムアップ! 船中3尾、船長2尾、私1尾、他の人2人は残念ながら、1尾も釣れず「おでこ」となりました。ゴォ~~ン!
戦果は微妙……心の内にリベンジを
昼から9時間の耐久リレー釣りはこれにて終了! 船長はやおら大事そうに3尾のアナゴをバケツに入れた。これからアナゴの船上捌(さば)きが始まる。まな板、出刃、 目釘を用意し、左手に滑り止めの軍手。コンコンと出刃の柄でアナゴの頭に目打ちして、首筋から一気に尻尾にかけて刃を入れる。ツッツッツゥーと刃が滑っていく。 ワタを掻き出し、瞬く間に3尾のアナゴが捌かれた。大きく揺れる船上にも関わらず、さすがの手捌きだ。
そして本船は錨を上げた。南西の強風に追われるように船は速度を上げる。雲も出ていない夜なのにキラキラ明るい。夜釣りはこんな楽しみもある。アクアラインの流線的な灯りや、海に浮かぶ釣り船や大型客船からこぼれる航海灯……光が波に跳ね返る。
本船は、赤色と緑色の航路標識灯の間を江戸川河口に向かって疾走する。いやぁー終わってしまった。K氏はがっくり。私も似たようなもんだ、二人はやるせない気持ちで密かにリベンジを誓ったのでした。
ジュウジュウと揚がる幸せの音色
■ともあれさっそく実食!
さぁー、お楽しみぃー。江戸前種の天ぷらを食べましょう! 結局、船長のおもてなしで希少な3尾のアナゴを頂いた。1尾はもちろん私のアナゴ。
●テーブルに簡易コンロとてんぷら鍋を用意する。 ●衣は薄力粉と卵の白身。今は卵入りの粉もある。白身の代わりにマヨネーズでもOK。衣はあまり混ぜ込まない。 ●油はサラダ油とごま油を5:5の割合で混ぜる。適温は140~160度、衣を少し油に垂らし、はじめ沈んでから直ぐに浮いてくるのが温度の目安。量はできるだけたっぷりと。 ●大根おろしとめんつゆを用意、天日塩や抹茶塩でも良い。 ●シロギスもアナゴも背開き、中骨、腹骨をとり水気もとる。 ●アナゴは細長く丸まりやすいので、菜箸やトングで真っ直ぐにして揚げる。 ●飾り衣は適宜お好きなように。はじけた衣をかき集めて付ける。衣を上から垂らすなど。 ●そして、程よい色になったら余分な油を落とし、天ぷら敷紙に移動する。
やはり天ぷらは揚げたてが旨い! ここまできたら冷めないうちに。次が揚がるのを待つなんてせず、即食だ。
さぁー次回はどんな旨い魚に出会えるかなぁー!
(次回は7月5日、Fishing.3「マゴチ」篇を配信予定)