旬を迎えたマゴチに浮き足立つ週プレ釣り部。今回は満足いく釣果となるのか!

前回は本命だったアナゴは釣れたものの、わずか一匹となんとも悔しいチャレンジとなった「週プレ釣り部」。もうあんな悔しさは味わいたくないけれど、旬の魚は味わいたい! ということで、今回は不細工だけど、味は一級品の「マゴチ」を狙う!

***

■今回のターゲットは海底に潜むプレデター「マゴチ」

一般的にはマゴチと呼ばれるが、正式名称は「硬骨魚綱類条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系カサゴ目コチ亜目コチ科コチ属の脊索動物」という長い名前がついている。地方での呼び名は牛尾魚やホンゴチなど。生息域は深くても約30m、産卵期になると10m、5mと浅場に上がってくる。

マゴチの大きな特徴は、その見た目だ。頭を上から押しつぶし、大口の下あごが付き出た扁平で不気味な顔つき。胴体は、大きな胸ビレから尾に向かって細くなっている。大きなもので80cm、最大1mほどにまで成長するが、釣りでは50cm前後が良型のサイズだ。通常海底の砂泥地にべったりと横たわり、黒く斑(まだら)模様の保護色をもった魚体は、砂の中に身を隠すとどこにいるのかわからない。背中と腹側のセンターには鋭く尖った背ビレ・腹ビレが尾に向かって立っている。

見た目はなんとも魚らしくなく不細工だが、類(たぐい)まれなファイターで、繊細な捕食機能を持つプレデター。好物はハゼ・メゴチ(ネズミゴチ)・サイマキ(小型クルマエビ)・タコ・イカなど、とにかく動くものはなんでもかぶりつく獰猛(どうもう)な魚だ。しかも、丸ごと飲み込むのではなく、エサを弱らせ生殺しするような計算高さも窺(うかが)える。釣り魚としてリスペクトできる対戦相手なのだ。また、この魚は、生命力も半端ではなく、濡れた新聞紙に包んで持ち帰ってもまだ生きているほどである。

エサのサイマキ

旬は5月~夏場。漁師言葉では「照りゴチ」ともいわれ、カァーっと日差しが照り込んだ時に良く釣れる。35cmくらいまではオスで、40cmを超えるとメスに性転換する。つまり、50cm前後の大型は全ての魚が産卵することになる。

淡白な白身はなんでも旨い?

朝日を照らす船場

■見た目に反して希少で旨い!

肝心の味だが、この魚、すごく旨いのだ。勇気を出して最初に食べたのは誰なのだろうか? めったに巷(ちまた)の店頭には出ず、高級魚の番付ではいつも上位に君臨している。刺身や洗いはもちろん、こぶ締めや煮魚など、淡泊な白身はどの料理でも飽きない。

ちなみにマゴチは一年中釣れ、特にこの旬の時期なら東京湾の湾奥の乗合船は、概(おおむ)ね出船している。しかし、相手は大物高級魚なのでそうそう釣れ続くとは限らない。思い立ったら、とりあえず情報を確認してから出かけよう。

また、エサについてもサイマキ、ハゼ、メゴチ、シロギス、背黒イワシ、マイワシなどの入手が難しいことも時にはある。今回お世話になった釣り船「鹿島丸」(千葉県富津市)ではエサの準備があったが、船宿に予(あらかじ)め確認しておこう。

東京湾口周辺には手漕ぎのボート店や、船外機付きボートをレンタルしている地区もあるが、ボートを借りてマゴチを狙う場合は、ほとんど自前でエサを釣って対応するしかないので、それなりの道具の準備が必要だ。

釣る気満々。当然、捌き方も予習!

【捌き方】(1)細かい鱗を落とす(ヒラメやカレイなどと同じく、細かい鱗は金属たわしが良く落ちる)

(2)そのあと鋭く尖った背鰭(せびれ)を尾の方から削りとる

(3)裏返して、同じく腹鰭を削りとる

(4)裏にしたまま胸鰭を頭に向かってタスキに落とす

(5)表にして上から頭を落とす

(6)尻から腹を開き(この時、眞子を傷つけないように注意する)、眞子などのワタを全部取り出す

(7)頭側から背骨に沿って刃を入れ半身をとる、もう片方も同じく落とす。これで三枚おろし完成。頭や背骨などはアラ炊き用に取っておく。頭はそのまま塩焼きにしても良い。2個しかとれない頭のほほ身は格別の部位で非常に旨い

(7月12日配信予定の第2回に続く)

【釣宿情報】場所 :千葉県富津港(都心から車で約1時間30分程度)釣り船:鹿島丸(予約は0439-87-2186、9:00~21:00)http://www.aqualine.ne.jp/~kashimamaru/船紹介(マゴチ乗合2号船):全長17m、全幅3.0m、電動電源、トイレ3、循環水釣り物:夏場はマダコ、ショウサイフグ、カサゴ、シロギス、マゴチなど料金 :マゴチ乗合9,500円(サイマキ5匹と氷付、追加のサイマキは1匹100円)