ジャパーン!のみなさま、夏バテなんてしてないよね? ついに一時帰国しちゃったマリーシャです。最後の最後までトラブルに見舞われて波乱万丈な旅でしたが、生きて帰ってきました!
コロンビアで南米フィニッシュして、あとはロス経由で日本に一時帰国! やっと南米ほど危険じゃないし、英語の通じる国に入って安堵(あんど)のため息。ホッ。機内食のない格安便で乗り換えだったから「途中でハンバーガーでも食べようかなー、ルンルン♪」なんて思ってたのに……。
南米からアメリカ合衆国への入国は厳しく、乗換地・フロリダ州フォートローダーデールでの入国審査はまるでディズニーランド並みの長蛇の列。航空会社が用意した航空券では乗り継ぎに2、3時間しかない。心配になった私は何度も間に合うか確認を取った。
「大丈夫だ」と言われ続けたのに、結局、入国審査が終わったのは飛行機の飛ぶ10分前! 空港内を猛ダッシュしたところで間に合うわけがない。まさかのミスドフライト(乗り遅れ)。最悪!
「お客様、残念~! でも、しかたがないのでご理解くださいね。次のロス行きの空席があるのは……なんと24時間後でーす」
ポテトとコーラの似合うLLサイズの窓口女性は、クスっと笑いながらそう言った。
はぁ? 愕然(がくぜん)とし、立ち尽くしたいところだけど、そんな余裕はない。言葉が通じるんだから、ちゃんと思いを伝えなきゃ。
「南米からの入国が厳しいのはご存知でしたでしょうし、この無理のあるタイムスケジュールを組んだのはあなたがたでしょう。どうにか早い便に乗せてください」
やり取りは堂々めぐりになり、何度もあきらめそうになったけど、あきらめたらそこで試合終了でしょ? 最後まで頑張りましたよ。するとスーパーバイザーという何やらカッコイイ肩書きのキャリアウーマン風の女性が、ヒールをカツカツならしながら現われた。
「お客様、ロス行きはそれしかないんです。どこか別の都市ならご用意しましょう。そうですねぇ、アナタの次の行き先は……(ドーン!)ラスベガス! そうでしょう?」
まるで『笑ゥせぇるすまん』のように、笑わないスーパーバイザーは私の運命をカジノの都へと導いた。
そんなに一攫(いっかく)千金で旅したい表情してましたか、私? ま、確かに一瞬ワラにでもすがりたい気持ちだったけどさ。でもこれは呼ばれてるってことかな。こうなりゃノリで、行くか、ラスベガス。
せっかくなのでベガスを満喫
はっ!! そうだ!!!
荷物は? 私のバックパックはどうなってるの? 10分間に急いで手渡しで預けた荷物はギリギリ間に合っちゃったようで、飛行機乗って行っちゃいましたよ、ロサンゼルスに。
ああ、離れ離れ。ミスドフライトの二次災害でロストバゲッジか。手渡しして走らされたから、荷物番号もない。貴重品以外、何もかもなくなった。肩は軽くなったけど、心は重い。見つかり次第、ベガスに届けてもらう手はずにはなったけど、いつになるやら。
その日はそのまま、この旅でもう慣れた空港泊。南米に比べてあったかいし、Wi-Fiは快適だし、一緒の便でミスドフライトした子供にもモテた。コロンビア人の子供たちに「漢字で名前を書いてー」とせがまれ、「真梨亜(マリア)、出美人(デイヴィッド)、想妃亜(ソフィア)」など平成のキラキラネームみたいになりながらも、喜んでもらえたよう。
バッグの行方が心配で眠れない夜を過ごし、着いたラスベガスは、飛行機を降りた場所からいきなりスロットマシーン! これには笑ったね!
ロスバゲで荷物のない私だけど、せめて屋根はほしいです……ってなワケで宿へ。カジノで成り立ってる街なので、宿代は比較的安い。と見せかけて、人が集まる週末は高騰(こうとう)するし、TAXに加え、リゾート料という謎の追加料金もかかるので要注意。
それにしても南米から来た私にとって、ラスベガスのホスピタリティーはとても心地良かったよ。さすが、市内にあるネバダ大学ホテル経営学部が全米トップランクだけある。もちろん「お・も・て・な・し」の日本にはまだまだ及ばないけどね!
宿でシャワーを浴びた私は、化粧品もないのでスッピンにTシャツ短パンという格好で街へ。でもそんなの関係ねぇ!って思わせてくれたのは、いきなりお尻を振って踊っているGO!GO!ガールのセクシーなお姉さん。ブラジルのビーチに続き、海のないこの街でもキレイなお尻を拝見できました。
そして暑そうなプレスリーやKISSの隣りで信号待ち。目の前には大きなスロットマシーンがそびえたつ。ブーツ型やセクシー脚型などユニークグラスに入ったお酒でノドを潤(うるお)し、ベガスの街をさまよい歩く。
うれしいふたつの再会が!
そういえば、トラブル続きでろくにご飯を食べてない。ベガスといえばバフェが有名。日本でいうところの食べ放題ですね。
ホテルの朝食バフェは12ドルと格安だったので、ここでしっかり栄養補給しちゃおーっと。ひさびさの南米食じゃない食事に、何往復もおかわりして大満足。日本で流行(はや)りの有名パンケーキショップより、名もなきシェフの焼いたパンケーキのほうが激ウマだったよ!
おなかをパンパンに膨らませた私は、ご機嫌になり「バッグはないけど運はある!」そう信じて挑みましたよ、ラスベガスのカジノ!
これがまたカワイイカワイイ。『チャーリーとチョコレート工場』や『セックス・アンド・ザ・シティ』『ゴーストバスターズ』に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。知っている有名映画のスロットマシーンがいーっぱい。これには勝負を忘れ、ただただその映像が見たくてドル札を滑り込ませてしまう。危ない。これは間違いなく危ない遊びなのだ。ご利用は計画的に。もちろん負けたさ! へへーんだ!
ベガスのメインストリート「ストリップ大通り」は映画に出てくる豪華ホテルがズラっと並ぶ。有名な『オーシャンズ11』の舞台「ベラージオ」では、派手な噴水ショーを見物し、ブラピを思い出してはロマンチックな気分に浸ってた。
「プラネッドハリウッド」では、私の大好き女優キャメロンさんの『ベガスの恋に勝つルール』のように、大金を当てたお方とのベガス婚?を妄想したり。
機内放送で見た『ラストベガス』のマイケル・ダグラスやデ・ニーロがビキニ・パーティーをしてた「アリア・リゾート」のプールサイドでは、セレブ気取りでビキニで寝転がってみたり(落ち着かなかった)。
こうして、運命のいたずらに導かれたベガス滞在を満喫していたところ、なんと南米で出会った旅友と再会! まさか、ほかの大陸でも会えるなんて、旅は偶然の連続だ!
ペルーやブラジルでの思い出話に花を咲かせ、ベガスのギラギラした夜をともに過ごす。そして、旅の最後にふさわしいんではないでしょうか。翌日はしっかりと『ハングオーバー!(二日酔い)』。フラフラとこの地を去るのであった。
気づけばカレンダーは7月7日。まるで七夕の織姫と彦星のごとく、私は愛するバッグパックとも再会! なかばあきらめかけてたこともあり、感動もひとしお!
ブエノスアイレスで強盗に遭おうと、イースター島の泥棒に誘拐されかけようと、ボリビア内でジッパーを壊され中身を探られようと、いつも私の元に戻ってきてくれたバッグパック。よく無事で帰ってきたね。汚れて壊れて本当に汚くなったけど、今も私はこの子とともに生きてます。
【This week's Blue】 天井に青い稲妻が! ダウンタウンのフリーモントストリートで行なわれる長さ450mに1250万個のLEDライトの天井ショー。にぎやかな音楽と豊富な映像のレパートリーでド派手! 見る価値大!!
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】