サッとひとぬりで体臭を抑えられるデオドラント剤は便利だが、それはあくまで一時的なもの。体臭そのものをなくする、あるいは軽くすることはできないのだろうか?
今回は体臭のプロである五味クリニックの五味常明(ごみ・つねあき)先生に、夏の体臭予防に効く生活習慣をうかがった。
■エアコンの使いすぎは体臭を強くする
汗をかきたくないからと、一日中エアコンをつけた部屋にこもりっきり…なんてことはありませんか? そんな生活をしていると、かえって体臭が強くなってしまいます。
みなさんは汗は臭いもの…と考えているかもしれません。でも、暑いときや運動をしたときに体温調節のために出る汗は、水のようにサラサラしてにおわない「良い汗」。かけばかくほど水に近くなりニオイが少なくなります。
ところが、エアコンの効いた環境に長くいると汗腺の機能が低下。そして、急に暑い屋外に出たときに、ベトベトして蒸発しにくい「悪い汗」をかく。この汗は菌を繁殖させやすく、ニオイの原因になります。体臭予防のためには、エアコンに頼りすぎず「良い汗」をかく生活を心がけましょう。
■夏風呂で良い汗をかこう
良い汗をかくためには、夏でも湯船につかるのがオススメ。血行がよくなり発汗が促されるとともに、ニオイのもととなる体内の乳酸が減り、体臭の軽減に効果的です。
入浴の時間は、なるべく夜にゆっくりとお湯につかるのがいいですね。入浴後にすぐに就寝すれば、体内の乳酸が減ったままで朝を迎えられます。逆に、朝に急いで風呂に入りすぐに活動をすると、運動によって体内に乳酸が増え、体臭が強くなってしまうので要注意。
また、汗腺機能の正常化に効くのが「酢風呂」。酢に含まれるクエン酸には殺菌作用があり、皮膚の表面を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を防ぐ効果が。オススメは醸造酢または黒酢。醸造酢なら180リットルのお湯にコップ1杯、黒酢ならおちょこ1杯程度でOK。このお風呂を1週間続ければ、不快な汗のニオイがかなり軽減できます。
食生活で体臭を抑えよう!
■肉の食べ過ぎは体臭の原因に
夏バテ防止にスタミナをつけようと、肉を食べることが多くなっていませんか? 肉や乳製品などの動物性脂肪をとりすぎると、皮脂腺や汗腺から分泌される油脂成分が多くなり、体臭が強くなります。また、コーヒーやお酒、タバコの摂りすぎも体臭の原因に。バランスのよい健康的な食生活を心がけましょう。
■体臭を抑える食材は?
ニオイを軽くする食材といえば、強い消臭効果をもつパセリ。パセリには消臭作用を持つクロロフィル、殺菌作用、防臭作用をもつフラボノイドが含まれています。
また、酢にもエネルギー代謝を良くして乳酸の生成をおさえ、体臭を軽減する効果が。さらに、リンゴがワキガに効くこともわかっていますが、これと酢を組み合わせた「リンゴ酢」も相乗効果が期待できます。日々の食事内容の改善により、ニオイを出しにくいカラダにしたいものですね。
●五味常明(ごみ・つねあき) 五味クリニック院長、医学博士。 1949年、長野県生まれ。一ツ橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践する【http://www.gomiclinic.com/】