「偉業を達成して歴史に名を残す人間になりたい」
そんな妄想を描いたことはないだろうか。とはいえ、ほとんどの人には無理な話。せめて自分ががんばった証、いや生きた証を後世に残してみよう、というわけでわりとお手軽な方法を紹介する。
まずはモノではなく、精神的な“プチぜいたく”を味わえ、人のためになったり自身の趣味も堪能できたりと多種多様な魅力のある“ネーミングライツ”だ。
■「オレがスポンサー」という超ビッグな優越感
福岡ヤフオク!ドームや味の素スタジアムは大企業による代表的なネーミングライツ(命名権)だが、実は“プチぜいたく”としてお手軽なものもある。自宅の周りの公園や神社などで、意外なものの命名権が売られているのだ。
例えば、東京都が実施している「思い出ベンチ」は、公園の古くなったベンチを有志の寄付で新しいベンチに交換する事業。寄付金額15万円~で、自分の名前とメッセージが刻まれたプレート付きのベンチが、都内の公園や動物園などに設置される。昨年までで、すでに875基も寄付があったというから、気づいた人もいるかもしれない。自分も使えるし、人にも喜んでもらえる満足度の高いプチネーミングライツだ。
一方、競争率は高そうだが、充実度最高なのが、東北楽天が4月に二軍戦で行なった個人協賛冠試合。わずか3万円の協賛金で、当日券のチケット券面への冠名印字、大久保二軍監督&選手からの花束贈呈、大久保監督&当日のスタメン全員のサイン入りパネル贈呈、始球式の投球権&協賛名ボードの設置……と信じられないほど盛りだくさんな特典。
星空にも自分の名前が!?
実際に行なわれた3試合の冠内容も「後久大樹 就活成功祈念デー」「薄木孝時さん44年間お疲れ様でしたデー」「のぶき&なおハッピーウェディングデー」と、どれもノリノリの内容。
このネーミングライツ企画、あまりの好評ゆえ8月に次回開催を予定しているとのこと。実施時期や内容は球団のHPで公表されるので、要チェックだ。
お安い金額でロマンを求めるネーミングライツといえば、“スターネーミングギフト”がある。文字どおり夜空に輝く星に名前をつける権利だ。「そんなことができるのか?」と不思議に思うが、夜空に輝く星は無数にあるため、無名の星には名前をつけることができるわけだ。
ただし、つけた名前は学術上(天文学)での命名や、星の所有権ではない。オーストラリアのスプリングブルック天文台で使用されるもので、その名は、同天文台内にて永久に記録・保存されるという。
2万9800円というお手頃な価格で申し込めば、登録証明書とともに選定した星の観測実写真が送られてくるので、「あっ、あれがオレの名前の星ね!」と確認できるのがうれしい。彼女の誕生日に星を贈るなんてことも可能だぞ。
もっとプチでいいという人は、各地の神社で募集される奉納提灯(ちょうちん)がいいだろう。祭りを彩る提灯に奉納者の名前が書かれるので、人混みのなか、自分の提灯を探すのはけっこう楽しい。相場は3000円程度からだ。
究極の自画自賛?
お次は街中や会社で時折みかける“銅像”。やけに自己主張の激しいモノだが、それこそ自分の生きた証を後世に残したい願望があれば、その満足感は計り知れないはず。
■自分で自分の業績をたたえたい
おめでとうオレ、よくがんばったよ……エラいぞ!
誰も褒めてくれないなら、自分で自分を褒めればいい。「初めて自分で自分を褒めたいと思います」との名言を残したのは、アトランタ五輪女子マラソンで銅メダルを獲得した有森裕子。自分をたたえるのは悪いことじゃないのだ。
というわけで、自分の栄誉をたたえるべく銅像を建てるとしたら、いくらか?
銅像制作のプロ、株式会社ナガエによると、69cm等身胸像で、木製の台付き税込248万4000円。2mの巨大像になると、2000万円のモノもあるという。粘土原型、石膏原型、鋳込み、仕上げなど多数のプロの手で3ヵ月がかりで仕上げるだけに、費用がかかるのも当然だろう。
自分をたたえたいが、銅像の予算がないという人には、世界でひとつだけの似顔絵ぬいぐるみを作るという手もある。
ぬいぐるみノベルティ専門店GSクラフトなら、1個からオリジナルぬいぐるみを制作可能。銅像に比べリアルさは劣るが、こちらは体長20cmクラス1体ならご予算3万円程度とリーズナブル。1000個の注文なら1個当たり840円と単価は大きく下がる。
彼女の似顔絵人形を作って自宅に飾ったり、プレゼントする手もあるが、本物より少し美化を頼んでおかないと、喜ばせるつもりが機嫌を損ねて逆効果の場合もあるので要注意だ!
(取材・文/ダカーポ)