地域密着でその土地ならではの商品が並ぶ“ご当地コンビニ”に、今注目が集まっている。
コンビニウオッチャーでフリーライターの田島雄介氏が語る。
「僕のお気に入りは北関東を中心に展開するセーブオンです。地元の農家や飲食店とのコラボ商品が面白いですし、最近販売を開始したスイーツが“揚げもち”ですからね。シブイですよね?(笑)」
早速、千葉県柏市郊外にあるお店の弁当売り場に行ってみると……コラボ商品があった! 「群馬県太田市田端さんちの大和芋使用冷しとろろそば」。……誰?とツッコミたくなるが、しかし、産地や農家の方の実際の姿が写真で見られるのは安心。かつ、地元民の購買意欲はわくはずだ。記者もこのそばを味見してみたが、心なしか高級感が漂っている気が……!
さらなる魅力を探るべく、お店に来ていた20代のカップルに話を聞くことに。
―今日は何を買いに?
「このドリップコーヒーです。このあたりってスタバとか、マックさえもないんで、本格的なコーヒーが飲めるのは本当にありがたいんですよ。今まで缶コーヒーかパックのコーヒーしか飲めなかったですから。あと、揚げもちも気になって買っちゃいました。あれだけレジ横で大々的に売られていると目がいっちゃいますよね」
コーヒーショップが数多くある都心では気づかないことだが、郊外在住の人にとってコンビニコーヒーはかなり画期的なもの。このセーブオンでは有名バリスタとコラボして力を入れているようだ。そして話に上がっていた「揚げもち」も実際に食べてみると、これがウマイ! 味噌味はかなり甘め。醤油味は甘さ控えめで大人の味。どちらも「団子」という感じでなく「もちもちの揚げドーナツ」のような食感で郷愁を感じさせながらも「今風」にアレンジされているところが、さすが!
ボリューム系メニューが男性に大人気!
さぁ、次のご当地コンビニへ!
「ここでひとつ、ボリューム系メニューに力を入れているご当地コンビニを紹介しましょう! 北関東や愛知、沖縄などを中心に展開しているココストアです。名物のばくだんおにぎりをはじめ、店内には数多くのボリュームメニューがそろっていますよ」(田島氏)
埼玉県にあるお店に行くと……目に入る、かなり大きな「ばくだんおにぎり」の山。具が1種類でなく、「シャケとツナとエビマヨ」や「唐揚とツナマヨ」のように、2、3種類も入っているというから驚きである。具同士がケンカするのでは……と思って食べてみると、これが意外に合う! 一度にいろんな味が楽しめてなんだか得した気分に。ほかにも店内には具がパンからはみ出た特大バーガーやビッグなカツ、フライが目白押し。お昼時、男性客でごった返しているこの光景もうなずける。
奥が深い“ご当地コンビニ”ワールド。さらにこんなチェーンも。
「ありそうでなかった、アイデアあふれる一品でほかのコンビニと差別化を図ったご当地コンビニもあります。お店で炊いた熱々ご飯を弁当に詰めた『ポプ弁』が人気な、中国地方を中心に展開するポプラ。そして、もちもち皮の新食感シュークリーム『もちぽにょ』がバカ売れしている、南関東を中心に展開するスリーエフなどがそうです」(田島氏)
まずは、「ポプ弁」を求めてポプラへ! レジで注文するのかと思いきや、普通の弁当が売られている棚に、ご飯部分のみ空になっている「ポプ弁」を発見。レジに持っていくと、おかずのみレンジで「チン」した後に、レジ裏にある炊飯器の熱々ご飯を詰めてくれるというシステム。詰めた後は「ほか弁」の容器のような発泡スチロール製のフタをしめて渡してくれる。ちょっとした工夫だが、レンジで温めたご飯よりもふっくらしていてハイクオリティ!
こんな変化球コンビニも!
続いてスリーエフ。店員さんに「もちぽにょ」について聞いてみると、
「買っていく人はOLさんが中心ですが、男性も買っていかれますよ。なかには10個以上まとめ買いをする方もいるので、常時、棚にたくさん用意するように心がけています。聞いた話では、関西の方が、関西にはスリーエフの店舗がないので、四国まで『もちぽにょ』を求めて買いに出かけたそうです。それくらい人気みたいですね」
開けて割ってみると、皮は薄めで、中はとろとろのクリームがぎっしり! 薄皮でありながら、もちもちした食感で食べ応えもアリ! 累計450万個販売の大ヒットというのも納得だ。
最後に、コンビニ評論家の吉岡秀子氏がオススメしたいご当地コンビニがあるという。それは……。
「鉄道系のご当地コンビニ、アズナスです! 関西を中心に展開する阪急・阪神系列のチェーンで、鉄道系だけあって車中で食べやすいグミやチューイングキャンディ、おつまみなどのポケット菓子の品ぞろえが圧巻。さらに店舗によって缶詰が大量にそろっていたり、鉄道グッズや関西のお土産が豊富だったりと、それぞれの店舗でも商品のラインナップが違うので楽しいんです」
実際に行ってみると、確かにあった鉄道グッズ。電車の車両柄の靴下やトートバッグまで。いったい誰が買うんだろう……と思ってしまうが、そのユニークさはいかにも大阪らしい!(笑)
皆さんも、出張や旅先で普段見かけないご当地コンビニを見つけたら寄ってみては? 新たな発見ができるかも?
*価格はすべて税込みです