北関東が中心の「セーブオン」では郷愁を感じる「揚げもち」が大々的に売られている 北関東が中心の「セーブオン」では郷愁を感じる「揚げもち」が大々的に売られている

地域密着でその土地ならではの商品が並ぶ“ご当地コンビニ”に、今注目が集まっている。

コンビニウオッチャーでフリーライターの田島雄介氏が語る。

「僕のお気に入りは北関東を中心に展開するセーブオンです。地元の農家や飲食店とのコラボ商品が面白いですし、最近販売を開始したスイーツが“揚げもち”ですからね。シブイですよね?(笑)」

早速、千葉県柏市郊外にあるお店の弁当売り場に行ってみると……コラボ商品があった! 「群馬県太田市田端さんちの大和芋使用冷しとろろそば」。……誰?とツッコミたくなるが、しかし、産地や農家の方の実際の姿が写真で見られるのは安心。かつ、地元民の購買意欲はわくはずだ。記者もこのそばを味見してみたが、心なしか高級感が漂っている気が……!

 地元愛をかきたてるお店「セーブオン」(北関東などが中心) 地元愛をかきたてるお店「セーブオン」(北関東などが中心)

 地元の農家や有名店とのコラボ商品で「地元を愛する」お客さんの心をキャッチ。冷やしとろろそばは420 円。長野の有名店、丁子庵監修ざるそばは320円 地元の農家や有名店とのコラボ商品で「地元を愛する」お客さんの心をキャッチ。冷やしとろろそばは420 円。長野の有名店、丁子庵監修ざるそばは320円

さらなる魅力を探るべく、お店に来ていた20代のカップルに話を聞くことに。

―今日は何を買いに?

「このドリップコーヒーです。このあたりってスタバとか、マックさえもないんで、本格的なコーヒーが飲めるのは本当にありがたいんですよ。今まで缶コーヒーかパックのコーヒーしか飲めなかったですから。あと、揚げもちも気になって買っちゃいました。あれだけレジ横で大々的に売られていると目がいっちゃいますよね」

コーヒーショップが数多くある都心では気づかないことだが、郊外在住の人にとってコンビニコーヒーはかなり画期的なもの。このセーブオンでは有名バリスタとコラボして力を入れているようだ。そして話に上がっていた「揚げもち」も実際に食べてみると、これがウマイ! 味噌味はかなり甘め。醤油味は甘さ控えめで大人の味。どちらも「団子」という感じでなく「もちもちの揚げドーナツ」のような食感で郷愁を感じさせながらも「今風」にアレンジされているところが、さすが!

 大々的に売られている「揚げもち」。濃厚で甘めの「揚げもち(味噌)」(左)。甘さ控えめの「揚げもちのり(醤油)」(右)。どちらも86円 大々的に売られている「揚げもち」。濃厚で甘めの「揚げもち(味噌)」(左)。甘さ控えめの「揚げもちのり(醤油)」(右)。どちらも86円

 地元の人に人気のコーヒーは有名バリスタとコラボする力の入れよう 地元の人に人気のコーヒーは有名バリスタとコラボする力の入れよう

ボリューム系メニューが男性に大人気!

さぁ、次のご当地コンビニへ!

「ここでひとつ、ボリューム系メニューに力を入れているご当地コンビニを紹介しましょう! 北関東や愛知、沖縄などを中心に展開しているココストアです。名物のばくだんおにぎりをはじめ、店内には数多くのボリュームメニューがそろっていますよ」(田島氏)

埼玉県にあるお店に行くと……目に入る、かなり大きな「ばくだんおにぎり」の山。具が1種類でなく、「シャケとツナとエビマヨ」や「唐揚とツナマヨ」のように、2、3種類も入っているというから驚きである。具同士がケンカするのでは……と思って食べてみると、これが意外に合う! 一度にいろんな味が楽しめてなんだか得した気分に。ほかにも店内には具がパンからはみ出た特大バーガーやビッグなカツ、フライが目白押し。お昼時、男性客でごった返しているこの光景もうなずける。

 ボリュームがスゴイ!「ココストア」(愛知、北関東、沖縄などが中心) ボリュームがスゴイ!「ココストア」(愛知、北関東、沖縄などが中心)

 ひとつ食べれば満腹満足のばくだんおにぎり。具が2、3種類入っている。少しわかりづらいが、エビマヨおにぎりには小エビ一尾がまるまるイン! 価格は「シャケ、ツナ、エビマヨ」200円。「唐揚、ツナマヨ」200円。「梅、昆布、鮭」206円 ひとつ食べれば満腹満足のばくだんおにぎり。具が2、3種類入っている。少しわかりづらいが、エビマヨおにぎりには小エビ一尾がまるまるイン! 価格は「シャケ、ツナ、エビマヨ」200円。「唐揚、ツナマヨ」200円。「梅、昆布、鮭」206円

 「ココチキ!バーガー」267円(右上)、「フィッシュレタスバーガー」237 円(左上)、「ビックささみチキンカツ棒」131 円(下)。どれもビッグ! 「ココチキ!バーガー」267円(右上)、「フィッシュレタスバーガー」237 円(左上)、「ビックささみチキンカツ棒」131 円(下)。どれもビッグ!

奥が深い“ご当地コンビニ”ワールド。さらにこんなチェーンも。

「ありそうでなかった、アイデアあふれる一品でほかのコンビニと差別化を図ったご当地コンビニもあります。お店で炊いた熱々ご飯を弁当に詰めた『ポプ弁』が人気な、中国地方を中心に展開するポプラ。そして、もちもち皮の新食感シュークリーム『もちぽにょ』がバカ売れしている、南関東を中心に展開するスリーエフなどがそうです」(田島氏)

まずは、「ポプ弁」を求めてポプラへ! レジで注文するのかと思いきや、普通の弁当が売られている棚に、ご飯部分のみ空になっている「ポプ弁」を発見。レジに持っていくと、おかずのみレンジで「チン」した後に、レジ裏にある炊飯器の熱々ご飯を詰めてくれるというシステム。詰めた後は「ほか弁」の容器のような発泡スチロール製のフタをしめて渡してくれる。ちょっとした工夫だが、レンジで温めたご飯よりもふっくらしていてハイクオリティ!

 熱々ご飯で勝負!「ポプラ」(中国地方などが中心) 熱々ご飯で勝負!「ポプラ」(中国地方などが中心)

 レジ裏の炊飯器で熱々ご飯をよそってもらえる「ポプ弁」。写真はとんかつ、チキンカツ、唐揚げ、白身フライ、コロッケなどが入ったボリューム満点の「ミックスフライ弁当」480円。ほかにもスパイシーハンバーグ弁当や唐揚げ弁当が売られている レジ裏の炊飯器で熱々ご飯をよそってもらえる「ポプ弁」。写真はとんかつ、チキンカツ、唐揚げ、白身フライ、コロッケなどが入ったボリューム満点の「ミックスフライ弁当」480円。ほかにもスパイシーハンバーグ弁当や唐揚げ弁当が売られている

こんな変化球コンビニも!

続いてスリーエフ。店員さんに「もちぽにょ」について聞いてみると、

「買っていく人はOLさんが中心ですが、男性も買っていかれますよ。なかには10個以上まとめ買いをする方もいるので、常時、棚にたくさん用意するように心がけています。聞いた話では、関西の方が、関西にはスリーエフの店舗がないので、四国まで『もちぽにょ』を求めて買いに出かけたそうです。それくらい人気みたいですね」

開けて割ってみると、皮は薄めで、中はとろとろのクリームがぎっしり! 薄皮でありながら、もちもちした食感で食べ応えもアリ! 累計450万個販売の大ヒットというのも納得だ。

 コンビニスイーツで大成功!「スリーエフ」(南関東などが中心) コンビニスイーツで大成功!「スリーエフ」(南関東などが中心)

 昨年11月の発売以来、累計450万個とものすごい勢いで売れ続けている「もちぽにょ」。もちもち食感の薄皮とクリームのコンビはまるで洋風大福! 108円と格安なのもうれしい(マンゴーマンゴー味、いちごみるく味は各120円) 昨年11月の発売以来、累計450万個とものすごい勢いで売れ続けている「もちぽにょ」。もちもち食感の薄皮とクリームのコンビはまるで洋風大福! 108円と格安なのもうれしい(マンゴーマンゴー味、いちごみるく味は各120円)

最後に、コンビニ評論家の吉岡秀子氏がオススメしたいご当地コンビニがあるという。それは……。

「鉄道系のご当地コンビニ、アズナスです! 関西を中心に展開する阪急・阪神系列のチェーンで、鉄道系だけあって車中で食べやすいグミやチューイングキャンディ、おつまみなどのポケット菓子の品ぞろえが圧巻。さらに店舗によって缶詰が大量にそろっていたり、鉄道グッズや関西のお土産が豊富だったりと、それぞれの店舗でも商品のラインナップが違うので楽しいんです」

実際に行ってみると、確かにあった鉄道グッズ。電車の車両柄の靴下やトートバッグまで。いったい誰が買うんだろう……と思ってしまうが、そのユニークさはいかにも大阪らしい!(笑)

皆さんも、出張や旅先で普段見かけないご当地コンビニを見つけたら寄ってみては? 新たな発見ができるかも?

 鉄道系コンビニが面白い!「アズナス」(関西などが中心) 鉄道系コンビニが面白い!「アズナス」(関西などが中心)

 電車に乗る前にポケットやカバンにちょっと、というお客さんが多いためポケット菓子の品ぞろえはものすごい。このようなポケット菓子の棚が店内に2、3ヵ所あるから圧巻 電車に乗る前にポケットやカバンにちょっと、というお客さんが多いためポケット菓子の品ぞろえはものすごい。このようなポケット菓子の棚が店内に2、3ヵ所あるから圧巻

*価格はすべて税込みです