旅はまるでドラクエのようにパーティーが増えたり入れ替わったりする

みなさん、お盆はしっかり遊びましたか、旅しましたか? 私は岐阜の温泉で南米疲れを「旅汁ブシャー!」と流してきたよ。

さあ、ついに南米編のラストとなる今回は、私が出会った“旅人”たちについて、紹介したいと思います。

みなさんからよく「いつも写真は誰が撮ってるの?」と聞かれるんですが、その答えはズバリ、行く先々で仲良くなる世界の旅人たち=“旅友(たびとも)”! 私の旅は常に旅友に助けられ成り立っているのです。

南米には世界中から旅人が集まってきます。多いのは兵役終わりのイスラエル人、GWのウユニ湖には“鏡張り”目当ての日本人や韓国人。W杯シーズンは南米勢はもちろんヨーロッパ勢もいっぱい!

年齢は20代が一番多いけど、60歳以上の旅人も珍しくありません。経験豊富で、気力体力も充実した尊敬する先輩ですね。職業もいろいろで、世界遺産を撮りたい写真家は多いし、料理人、薬剤師、営業マン、銀行員、元CA、たこ焼き屋、自転車で旅する“チャリダー”も。

知らない土地で右往左往するそんな人たちが“旅友”になって、みんなで旅をシェアする。出会いの場は、主に観光名所や安宿。ドミトリーで部屋が一緒だったり、共同キッチンで共にごはんを食べれば旅の話に花が咲く。強盗にあえば慰めあい、それぞれの得意分野を生かして助けあい、情報交換をして旅は成り立っているのです。

イラン人のアリの作った夕飯超おいしい〜! 持つべきものは腕の良い旅友(笑)!

そんな旅友のなかで、リオのカーニバルのときに安宿で出会ったのがイギリス人のカフレ。彼女は初南米のブラジルで警戒しまくりビビりまくりの私を外に連れ出してくれた“夜遊びの恩人”笑)。

普段は銀行で働いているといい、旅で日頃のストレス発散なのか、とにかくテンションが高い。「一緒に旅する弟がおとなしくてつまらない」と言って、夜な夜な私を誘っては治安の悪いラパ地区でクレイジーナイト。

カーニバル中はポリスも多く比較的安全とはいえ、「パトカーに乗りたい!」とポリスにまでからむ彼女にハラハラしながらも、おかげでビビらずに南米を楽しむ心がまえができた。南米旅のスタートに彼女に知り合えて本当に良かった!

パトカーの荷台に乗ってもいいかと本気で交渉する無鉄砲な旅人

ワイルドタイプのヒッチハイクがカッコいい!

アルゼンチンはパタゴニアの山のふもとで、突然、熊が出てきた! とビックリしたのがヒゲモジャの大男、イラン人のアリ

長距離バスで仲良くなり一緒に旅することに。プロのフォトグラファーの彼が持ち歩く高級カメラ機材が強盗にあうんじゃと心配だったけど、さすがに熊狙(ねら)うより人狙うよなー(笑)。

イラン人の一般的なイメージはわからないけど、アリはいつも大声で豪快に笑い親切。料理上手でみんなに作ってくれたマッシュポテトは激ウマ☆ けど、量がアリと一緒じゃ多すぎる。

ペルシャ語のフォーチューンブックで私の運勢を占ってもらうと「太陽がこのまま旅を続けると良いと言っているというので、そうさせてもらうことにしよう。イエーイ! イランを案内してくれると約束したので、いつかまたこのコラムに登場するかも?

ペルシャ語(ファルシ語)で書かれたフォーチューンブック。全く読めない

そして、旅で私が目標としてるのが国際交流。だけど、やっぱり初対面で文化の違う人と四六時中一緒にいるってなかなか大変。そんななか、ウユニ抜けツアーで、たまたま4WDの車をシェアしたのがオーストラリア人チームだ。

数日をともにし、世界最高地にある露天温泉に入ったり、ウユニ塩湖でトリックアートしたり、ラパスのおばプロを見たり…。オーストラリアに住んでた私と、移民に慣れているオーストラリア人だったから文化の差を感じず円滑な共同生活ができたよ。

学生時代の友達男2人で旅をする、長身グレッグ&フリーランスで映像制作をする野生児ジャロッド。ウユニがストで道路封鎖され誰もが街から出られなくなったとき、彼らは男2人だからできるワイルドタイプのヒッチハイクで、颯爽(さっそう)とウユニを去って行った。本能のままに旅のコマを進める。これがもううらやましくて、そして絵になる。私も男だったらこんな旅してみたいなー。

こんなヒッチハイクかっこよすぎる。映画のワンシーンかと思ったよ

日本の個性的な旅ガールも!

さて、世界各国だけでなく日本人の旅ガールも、もしかしたら男子より多いかもってくらいで、旅ルートは意外と華やかです。旅のスタイルもバラバラの個性的な旅ガールをご紹介。

まずは、たて笛を吹いて旅する不思議少女(?)モカ(25歳)。旅に出た理由は「見たいものを今、自分の目で見たいから」。学生時代からアジアやヨーロッパ旅行、タイでのボランティアを経験し、現在訪問国数は20ヵ国。

イースター島に響き渡る日本の曲「チェリーByスピッツ」にちょと涙しそー(笑)

とにかく腹が減っては旅ができないタイプで、バックパッカーにまじってひとり大きなトランクを転がし、その中にはトラベルマルチクッカー(旅人ご用達の熱の起こせる調理器具)やお醤油やお米など食材がギッシリ!

パサパサのパンをかじる私はその和のにおいにヨダレ。う、うまそー……。フィッツロイ登山ではドラえもんのように塩昆布を出したかと思えば、咳喘息(せきぜんそく)で苦しむ私にチューブ生姜ドリンクを作ってくれたり。「その国ではその国の食事を」という私の旅ポリシーは、彼女によって崩された(笑)。

3ヵ月30万円という最低資金で旅していたため、かなりの節約が必要だったモカ。時にはリコーダーとギターセッションの路上パフォーマンスで1時間2~3千円ほど稼いでいた。ついに資金切れで帰国するも「今後は未知。来月どこでなにしてるかも未定」と笑う彼女はメンタルが強い。

そして、私が旅で「先生」と呼んでいたのが“孤高の旅人”スーちゃん(33歳)。

日本ではエステティシャン、スポーツトレーナーとして働く彼女は「皆で渡れば怖くない」という日本人的な群れる習性がなく自立している。

ネットにはびこる旅ブログの古い情報に流されず、独自の情報収集術を持ち、旅ルートの少し先にいてくれると本当に助かる(笑)。例えば、アタカマ砂漠ツアーでは今まで無事故のツアー会社を勧めてくれたり、ラパスで一緒に買い物に行くと、もはや現地人より安くアンデス布を買うことができた!

ガラパゴス諸島で再会。意外とご当地グッズ好きなスーちゃんはガラパゴスT

スーちゃんが初めてひとりで海外に行ったのは26歳のとき。それから「世界」に興味を持ち始め、東日本大震災をきっかけに出発を決意。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南米、中米と旅し、現在はグアテマラ滞在中。今後は残金と相談でアフリカに戻りたいそう。

今までで一番気に入ったという、アフリカのルワンダについての言葉が印象的だった。

「20年前に国内で大虐殺が起きたにも関わらず、今は皆が共に生きている。たった20年でこんなに変われるものなのかと、信じられないくらいに素敵な国。訪問したアフリカの国のどことも違う国民性がある。決して便利な生活がそこにあるわけではないけど、初めて『住んでみたい』と思える場所でした。『アフリカの奇跡』と呼ばれる理由が、行ったらきっと納得できます」

私もいつか、いってみたいなー。

元ギャル(?)に波乱万丈の旅ガールまで

一見、旅人っぽさを裏切るこんな人も。プリクラを見せてもらうかぎり元ギャルなんだけど、本人いわく「てか、ギャルじゃない(笑)! 証券会社でバリバリの(?)営業職というアリサ(20代)。

イースター島では一緒に泥棒被害に遭遇し、パソコン、HD、現金がテントからなくなった時、2人でビクビクしながら毎日を過ごした。その教訓から、最近はバッグセーフという金網をバッグパックに巻いていてヨーロピアンに笑われるらしい。

ユニークな言葉のチョイスやコミュニケーションが上手なのは、ギャル&営業時代に培ったものなのか。頭が良くバランスの良い旅人。元ギャルなのにわがままひとつ言わないし(笑)、モラルも危機管理能力もある。

リオデジャネイロのコルコバードの丘でキリスト像とアリサ

学生時代にヨーロッパ、アメリカを、社会人になってからは中東を周り、今回は「本やテレビで見ていたものを自分自身で確かめたいし、人生いつ終わるかわからない。円安の今行かないと!」と、本人よりも大きいバックパックを背負い南米とアジアを放浪中。

彼女はとにかく荷物が多すぎるので、私の得意とする整頓術をいつか教えたいと思ってたけど、もう来年には帰国で社会復帰予定だとか。ボリビアで定番の「ボリパー」をかけて北斗晶のようなソバージュになったことを後悔しているらしい(笑)。

最後に、この旅人ははずせない、波瀾万丈のド根性山ガール、メグ(30代)。

たったひとりで誰もいない世界一美しいアウストラル街道(チリ)を、その距離25kmと勘違いして、実際は35kmを泣きながら歩いた話に私は爆笑。iphoneを紛失すると泥棒市で買ってみたり、クジャクにド突かれてアゴを切ったり、普段なら大抵遅れるブラジルのバスに5分前行動されて荷物だけ持って行かれたり。元法律事務員とは思えないメグの珍道中は止まらない。

かわいらしい容姿で、W杯ではYahooニュースに日本人サポーターとして写真掲載されたメグ。フィッツロイの朝焼けがよく似合う山ガール

アジアや南米を中心に旅を続け、現在23カ国訪問中。「南米に恋をしたから!」と今回、南米を再訪した彼女。標高6000mワイナポトシ登山では、7人中4人が脱落したホワイトアウトの中、「君には無理」「下山するなら早い方がいい」と言われながらも「前に進まないで失うものの大きさを考えたら、下山しますと言えるワケがなかった」と、涙を凍らせながら登頂成功させた。

でも、こんだけいろいろあるのに、旅で一番辛かったのは「荷物から醤油がこぼれて最悪だったこと」だとか(笑)。勇気と根性とおっちょこちょいな、スペイン語の話せるハイレベルな旅人。帰国後は旅関係のライターを目指す。

次の旅はヨーロッパスタート

こうして見ると、旅は本当十人十色。広い世界での偶然の出会いから、その瞬間を誰かと共有するのはとても貴重。

日本人もしかり、各国の現地人や旅人に会えたことを感謝してます。世界遺産や絶景も一緒に見る人によって、その景色が倍美しく見えたり、その逆もある。旅での出会い運が旅を左右するといっても過言じゃない(笑)!

次はヨーロッパスタートにしようと考えてるけど、旅はいつも流動的。さてどうなることやら。あと1ヵ月ほど日本で旅資金を稼ぎつつ和食でパワーチャージさせていただくよ!

次はみんながもっと一緒に旅してる気分になれるようなコラム書きたいと思ってます。では、みなさん! 次の旅で会おう! 旅人マリーシャのこと忘れないでねー!!

W杯での本誌用の水着撮影も、旅友たちのサポートで無事にのりきることができました!

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】