社会人の誰もが少なからず気にしている口臭。その日常的な予防策としては、おしゃべりなどで口を動かし「だ液」を出すことが大切だという。
さらに、口臭の大きな原因となる「口内環境」「食生活」について、五味クリニック院長の五味常明先生にうかがった。
―口臭の原因としては、だ液の不足のほかにも何かありますか?
「口内環境が不潔なときですね。虫歯や歯周病はもちろん、食後の食べかすが付着したものが腐敗して歯垢や歯石、舌苔(ぜったい)になったときは危険。
特に舌についた白い苔状の『舌苔』は要注意です。これは口内の細菌や新陳代謝によりはがれ落ちた上皮細胞などが、舌の表面に付着したもの。口腔ケアを怠ったり、胃腸の調子が悪いときにはできやすくなります」
―たまに歯ブラシでこすったりしていますが、それでOKでしょうか?
「歯ブラシでゴシゴシこするのは、舌の表面にある味蕾(みらい)の機能を壊してしまう危険性があるのでNG。舌苔をとるには、ガーゼややわらかいハンカチを指に巻きつけ、舌の奥から3~4回ほど往復しながらやさしく舌の表面をこするといいでしょう。やりすぎはよくありませんが、少なくとも週1回程度は舌のクリーニングを行ないたいものです」
【口内を清潔にするお役立ちグッズ(1)】
肉の食べすぎ、タバコ・酒・コーヒーはNG
―それから、ニンニクとかを食べた後も気になりますよね。あっ、焼肉食べてきたな…ってわかりますから。
「そうですね。ニンニク、ニラなどのニオイの強い食べ物を食べた後は、自分では気づかなくとも強い口臭がしている可能性があります。そのニオイを消すには、牛乳を飲むのがオススメ。牛乳は胃酸に反応して脂肪膜に変化し、ニンニクを包み込んでニオイを上がりにくくしてくれます」
―ほかに、食生活などで気をつけることは?
「朝食を抜いたり、食事のときあまり噛まないで食べる人、硬い食べ物が苦手であまり食べない人は、だ液の分泌が促進されないため口臭が強くなりがち。
また、肉などの酸性食品を多くとりすぎると、口や体内が酸性になってニオイの原因に。お酒やタバコ、コーヒーなども同様に口内環境を酸性にします。
ホウレンソウ、ニンジンなどの緑黄色野菜、ヒジキ、ワカメなどの海藻類、キノコ類、大豆、梅干などアルカリ性食品を適度にとるよう心がけましょう」
―口内のケアだけでなく、体内からも口臭を予防すれば安心ですね。
「最後に、口臭は胃腸や肝臓、腎臓などの機能低下や糖尿病などの内臓疾患が原因となることも。その場合は、口内清掃やマウススプレーなどで消すことはできません。早めに専門医に診てもらいましょう」
-口臭は健康のバロメーターでもあるんですね。日頃から気をつけたいと思います!
【口内を清潔にするお役立ちグッズ(2)】
●五味常明(ごみ・つねあき) 五味クリニック院長、医学博士。 1949年、長野県生まれ。一ツ橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践する【http://www.gomiclinic.com/】