この季節、いつもより抜け毛が多いと感じる人は少なくないだろう。原因は夏の紫外線ダメージや、動物の冬毛への生え変わりの名残(なごり)など一時的なもののようだが、なんだか心細くなってしまうのも事実。
健康な髪を保つには、なんといってもデイリーケアが大切。とりわけ、毎日のシャンプーで知らず知らずのうちに頭皮や髪にダメージを与えている場合も少なくないとか。
そこで今回は、ついやってしまいがちな間違ったシャンプー法について、東京・恵比寿のヘアサロン「瞳工房(とうこうぼう)」の村上寿昭(ひさあき)氏にうかがった。
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頭皮は「畑」、毛髪は「作物」とイメージすると、わかりやすいでしょう。カサカサに乾燥した頭皮は、枯れた畑と同じ。毛根は根を伸ばすことができず、毛髪も育ちません。畑を元気にするためには、毎日のシャンプーが大切。正しい洗い方でしっかりと頭皮の汚れを浮かせ、マッサージにより血流を促してあげましょう。
それでは、多くの人がやってしまいがちな間違ったシャンプー法を7つほど、ご紹介します。今日から正しい洗い方を実践して、健康的な畑と作物を育ててあげましょう!
NG1) シャンプーの前は頭をちょっと濡らすだけ
シャンプーをつける前に、お湯でサッと頭を濡らすだけで済ませていませんか? 実は汚れの約6割は、この素洗いの段階で落とすことができます。
全体をお湯でしっかりと濡らし、頭皮をしっかり洗いましょう。シャンプー前に汚れを落とすことで、シャンプーの泡立ちもよくなります。濡らした後は、髪を軽くしぼっておきましょう。
NG2) シャンプーをそのままつけている
シャンプーを手にとってそのまま頭皮につけると、最初につけた部分だけが濃くなり、頭皮に負担を与えてしまいます。特に洗浄力の強い石油系シャンプーは、その部分だけ乾燥させてしまい危険。
手の平にシャンプーを適量とったら、少しお湯をたらし、手の平で軽く伸ばします。手の平と頭皮でシャンプーを泡立てるイメージで、全体に広げていきましょう。
洗うのは毛髪ではなく、頭皮
NG3) 爪を立てたり、強い力で洗っている
かゆい部分など爪をたててゴシゴシ洗っていませんか? それでは頭皮を傷つけ、乾燥を招いてしまいます。洗うときは、手の平を丸め、指の腹を使うこと。毛穴の汚れをもみだすようなイメージで、地肌全体をマッサージするように洗っていきましょう。
NG4) 毛髪を洗っている
シャンプーで洗うのは、毛髪ではなく頭皮です。洗うときは耳の後ろから、前後に細かく動かしながら、頭頂部まで洗います。毛量の多い後頭部は特に念入りに。全体をぬりつぶすように、もみあげ、えりあし、フェイスラインなど、すみずみまでしっかりと汚れを落としましょう。男の身だしなみとして、ニオイの発生源となる耳の後ろも忘れずに。
NG5) すすぎの時間が短い
すすぎが雑な人は意外に多いものです。すすぎが甘いと、洗い残したシャンプーが毛穴をつまらせ、頭皮トラブルの原因に。もちろんためすすぎはNG。指の腹でしっかりとコシコシしながら、徹底的に流し洗いしましょう。
自然乾燥は絶対NG!
NG6) リンスやトリートメントを放置
香りがいいからとリンスやトリートメントをつけたまま放置したり、すすぎが不十分になっていませんか? リンスは毛先にほんの少量つけたら、放置せずにすぐにしっかりと流しましょう。リンスを頭皮につけるのは絶対にNGです。
また、地肌が弱っている人はリンスをしないほうがベター。リンスの脂で毛穴がふさがり、頭皮にダメージを与えかねません。
NG7) 生乾きのまま自然乾燥している
少し水分を残したほうが髪が潤うだろう…というのは大きな間違いです。髪は水分を吸わないので、濡れたままだとキューティクルが開いてどんどん水分が出ていきます。生乾きのままだと、雑菌が繁殖して臭くなるうえに、汚れもつきやすくなる。タオルで水分をおさえたら、ドライヤーで完全に乾かすのが正解です。
以上のポイントを守って正しくお手入れすれば、頭皮が清潔になって血流も促進され、健やかな髪が育つ畑ができます。マッサージ効果で顔のたるみも予防できますよ。
●村上寿昭(むらかみ・ひさあき) 東京・恵比寿の美容室「瞳工房」店長。渋谷、原宿の大手サロンに8年勤続。29歳で渡仏し6年間、ヘアーメイクを学んだ後、2000年5月に瞳工房を立ち上げる。“再現性の高いヘアーを作る”をモットーに、ショートからロングまで次の日から形になるヘアースタイルを提案。【http://toukoubou.jp/】
(撮影/五十嵐和博)