本命とはいかないまでも釣り友Kがガンゾウヒラメを釣り上げ、どうにか面目を保った!

「なんとか魚を釣り上げなければ!」と1日釣りを決意し出港した週プレ釣り部。どんよりした曇り空という恵まれない条件のなか中深場釣りに挑戦。狙うは“アカムツ”だが、坊主続きだった週プレ釣り部に目標達成できるのか?

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「はいっ、では始めましょうか、ここの水深は底まで220mです」

40分ぐらい走っただろうか、アカムツのポイントに着いたようだ。潮は薄暗く濁り気味。この辺りの海底は比較的平坦で、砂地と低い岩礁が点々としている。

サバの切り身とホタルイカのエサを付け、毎度のことながらドキドキする第一投目。スルスル道糸が出て行く。以前、ライントラブルで道糸をかなり切ってしまっていて、糸量が気になっていた。

……もうすぐスプールの芯が見え、「あっあっ~糸が無くなるぅ~」と思った直後にオモリが着底し、ひと安心。

下ろした仕掛けのオモリが着底するまでに、実際は20~30mくらい余計に糸が必要なのだ。潮が早ければ早いほど糸がたるんで「糸ふけ」は出る。

この糸ふけを巻き取り、道糸がほぼ直線になったところで、オモリを底から2m上げて魚信を待った。自分は、この時の仕掛けの状態は、2本ハリ胴付きでハリス長50cm、ステ糸50cm(オモリを付ける先端の糸)。つまり、下のエサは海底から2m+50cm=2.5mに、上のエサは底から3.5m辺りだ。船の揺れを計算に入れると、エサは底から1.5m~4.5mの間に位置しているのだ。

待ち始めてすぐに、なにやらモゾモゾしたアタリ。追い食いを待ったがその後はなんの変化もない。重いオモリが底を叩いたのか、小魚がエサを突っついたのか、高級魚が触っただけなのか見極めが難しい。この見極めはどやっても経験を積むしかない。そして、臨機応変に手際よく、効率的に我慢もほどほどに次の手を打つことが肝心だ。

……一応、上げてみようとスルスル巻いていくと、なんの抵抗もせず上がってきたのは、本命ならぬ小型のシロムツ! 朝一はシロムツのスクール(群れ)に当たったらしく、しばらくシロムツのみが全員に釣れ続いた。

シロムツはクセがないので塩焼きはもちろん、天ぷらにもオススメ

釣れたのは確かに魚だけど…

第2投目はサンマの切り身とホタルイカの組み合わせ。リールの回転が弱まり、フワッと着底。さきほどと同じ辺りにまでエサを上げると、何かモゾモゾ……クンクンっと竿先にアタリがあった。少し弱いなと感じながら、竿をわずかに上げてみると、その瞬間、グンッグンッと竿先が海中に沈んだ。

きたぁー! 軽く合わせて、電動リールのスロットルをしぼる。グイーン、グイーンッと巻くほどに重たさが伝わる。時折、魚の引き込みが強く、糸が巻けないでドラグが滑っていく。

「これは大物か?」と船長もコックピットから乗り出して見ているほどの引き。200mの底から上げてくるので長丁場になりそうだ。

「なんか、ええもんきたかなぁー、無理しないでねぇー」という船長だが、その顔は何かを察したのか、厳しさはなく柔和な面持ちだ。

またもや強烈な引き込みっ! ん? あれっ、もしや? いや、そうであってほしくない。疑心から確信に変わったのはそんなに遅くなかった。

通常、アカムツは最初、鋭角的な魚信だが、底から20mくらい上がったところで大人しくなって、一度重量感がなくなるはず。そして、上げてくる途中で何度か頭を振り、ラスト70m前後で再び暴れて上がってくる。

しかし、現在食いついている大物(?)は終始暴れ通しで、強烈な引き込み。この魚信、この海域では……確信しました! シャーク! 鮫なのです!

とはいえ、一縷(いちる)の望み(大アカムツか大アラ)に期待してしまうのが釣り人。あと50m……40m……相変わらず引きが強いっ! しかし、引き上げていくうちに見えてしまった白い腹。はい、案の定、サメでした。このサメは「ドチザメ」という招かれざるお客様なのだ。食べられないことはないが、噛(か)まれたら嫌なのでハリスをハサミで切り離しリリース。

サメとはいえ大人しく、水族館などでも飼育されているドチザメ

釣り友Kがヒット!

新しいハリスを付けていたら、釣り友K氏の竿が大きく曲がっている。サメにげんなりさせられて近くに寄っていく気力も湧かず、チラチラ様子をうかがっていると、どうやらK氏のアタリはサメではないらしい。そして、上がってきたのは「ガンゾウヒラメ」。まぁまぁのサイズだ。

通常は推進30mほどの浅場に生息しているはずだが、一体なぜ釣れた?

一方、ふたたび仕掛けを投入した私には相変わらずの「シャーク」ばかり。もう興ザメです。結局、朝6時から昼までやった中深場釣りでは、本命の「アカムツ」の顔は拝めず、シロムツ、ユメカサゴ、ガンゾウヒラメ、そしてサメで終わりました。

背ビレのトゲが痛々しいユメカサゴ

 

(10月5日配信予定の第3回に続く)